引退しない社長(親)とGoogleの20%ルール

ある企業に訪問した時、社長から専務をご紹介いただきました。
社長は80歳代。
そしてご子息である専務は、50歳代半ば。

「もうそろそろ代替わりを」という話があるようですが、専務はもはやそのつもりはないようです。
待ちくたびれたというのでしょうか。
ご子息である専務が30歳代、親である社長が60歳代のころから「近々引退するから後は頼む」と言われ続け20年間。
もはや、ご子息である専務は、「オヤジの言葉を真に受けるのは辞めた」そうです。

 

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遅すぎるバトンタッチ

Michal JarmolukによるPixabayからの画像

80歳代になっても会社を譲らない先代

冒頭のお話は実際にあった話です。
非常に自己主張の強い社長(親)なので、会社のことのほとんどは誰にも権限移譲することなくこの年までやってきました。
会社自体は、あまりに体質が古く、今のご時世にあってメールアドレスさえないという会社です。
電話と、体当たり営業だけで何とか持っている卸売業者ですが、仕事は先細り。
ご子息である専務は何度か、自分独自の経営手法を試そうとしたようですが社長である親はそれを許さなかったようです。

もともとかなり厳しい社長ですから、専務は途中であきらめ事を荒立てないように、ただただ社長の言うなりに仕事をしていたそうです。
ときおり将来のことが心配になることもあったそうですが、どうせそれを社長にぶつけても嫌味を言われるだけ。
結局、時が流れるに身を任せ、自分が50歳代になってからは、自分の引退年齢まで親である社長がずっと最前線に立てばいいと思っていたようです。

それから間もなく、社長は80歳半ばで急逝されました。
その時息子である後継者はほぼ60歳。一般的には当時引退年齢間近な状態です。
他に何の選択肢もないまま、親のやってきたことをそのままやることに専念しました。
しかし会社はそこから10年と持ちませんでした。もともと社業は厳しい状況に追い込まれており、先代の号令でムリヤリ売上を保っていましたが、先代がいなくなった会社でその体制を維持することはできませんでした。

後継者の選択肢は年月とともに減っていく

たとえば、人がかかる病気は、その病状が進めば進むほど打つ手が少なくなるというのが一般的な理解だと思います。会社経営においても同様で、傷口がまだ小さいうちに対処すれば、その後何年も生き残ることは可能です。しかし、同じ経営者が長く君臨することで、その傷に気付かず、あるいはその傷を見ないようにして、化膿させてしまうこともあるように思います。
もちろん、経営者の交代を行わなくとも、誰かが傷を見つけ、それを社内の課題として取り上げ、会社を改善していく仕組みはいくらでも作ることができますし、実際にそういった仕組みが機能している会社は沢山あります。しかし、残念ながらワンマン経営の会社はそれが難しい。社長に意見をするなど、末端社員にはできるはずもありません。

そこに意見できる稀有な存在が、子どもである後継者です。
しかし先の事例では、後継者自身がその意見を持たなかったのか、その意見を口にできなかったのか、あるいは先代が聞く耳を持たなかったのか、残念ながら会社は開いた傷口に気付くことなく死んでしましました。しかも、これでは「後継者の役不足」がその原因と言われても仕方のない状況で終わってしまいました。

少し割に合わないように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、理不尽だとか文句を言ったところで仕方がないことで、何をどういったところで後継者の選択肢は傷の深さを深めるほどに打つ手が減っていきます。
そして後継者は、そのあせりを抱くからこそ、先代と闘うか、先の事例のようにあきらめてしまうかのどちらかになってしまう傾向があるように思います。

どこでバランスをとるか?

tommy pixelによるPixabayからの画像

「〇歳になったら引退する」という言葉には注意を!

実際によくある相談は、親はたとえば「65歳になったら引退する」「70歳になったらあとはよろしく」などと割と気軽に言います。後継者である子どもは、これを割と真剣に受け止めてそれなりに準備をしようとします。生真面目なんですね。で、いざ、その起源である65歳のとき、70歳のとき、親は引退するのかと言えば、恐らく自分がそんなことを言ったことさえ忘れているのではないでしょうか。逆に、「あの時こういったじゃないか」と詰め寄ると、大抵は「お前がまだまだしっかりしていないから」などと言って後継者の問題である、という風に結論付けたりするのが最も多いパターンです。

これを相談に訪れた後継者にお話をすると、「まるで、覗き見されているかのような不思議な気持ちです」なんておっしゃる方が多数います。
それは私に千里眼の力があるわけでもなく、それだけ多くのところで同じことが繰り返されているということなのです。

まあ、軽くとらえれば、「ああ、また言ってる」なんて言う風に、そもそも親の言葉を信用しないというのも一つの手段ですが、前半でお話ししたようなことになってしまうとなかなか厄介です。だから後継者は結構焦るわけです。まあ、後継者が社長になる昇進テストと考えると、毎回ダメ出しをされ、その理由が後継者の未熟と言われれば、なんだかがっくり来てしまいますね。しかも、日々の経営において、後継者の提案はあまり取り入れられることが多くないことも多いでしょう。出口のない問題にぶち当たってしまうのが、後継者のツラいところです。

Googleの20%ルール

ところで、Googleが実際に実施していた、20%ルールはご存知ですか?仕事の時間の内20%は強制的に、今担当している実務とは違う仕事をする、というものです。これがすごいな、と思うのは人のモチベーションの厳選のけっこう中心に近い部分にあるのが「自主性」である、ということを見抜いて、上からの指示でやる仕事と、誰にも指示されずにやれる自分で自主的にやる仕事を、絶妙な配分でやるようルールづけたことです。

きっと、後継者の多くは、「もうこの会社ではやっていけない」なんて言う風に、モチベーションのレベルはマイナス状態になっているのではないでしょうか。もしそうだとすれば、その原因は、がんじがらめな環境で、自分の自主性が損なわれてやらされ仕事になりがちなところにあるのではないでしょうか。もしそうだとすると、ある程度親の意向を汲みつつも、自分独自の領域ということを持つのは一つの落としどころになるような気もします。先代との交渉がうまくいくかどうかはわかりませんが、一日のうちの20%、あるいは、週5日勤務であればそのうちの一日を誰にも邪魔されない自分の時間として確保できるよう交渉してみてはいかがでしょうか。

ちなみにGoogleにおいて、この20%の時間で数々のヒット商品が生まれました。後継者としては、そんな会社の発展を新たに作り出す仕込みをその自由時間にやってみるというのは一つの落としどころというような気がします。当初はなかなかに孤独ではあるかもしれませんが、少しずつ形ができてくれば賛同者も現れるはずです。

後継者の役割は会社の未来を創り出すこと

後継者の役割を、親の会社を存続させること、という風に理解している人が少なくないと思います。しかし、私は少し違った考え方を持っています。親の始めた会社や事業はあくまで創業時に世の中から必要とされていた会社であり事業です。後継者の役割というのは、そこまでで蓄積されたリソースを使って、新たな価値を世の中に提供することだと思っています。親の事業をそのまま受け継いで、今なお潤沢な需要があるならそれをつきつめればいいのですが、今すでに「営業が以前より難しくなった」「価格競争が激しくて利益が出なくなった」という状況があるとすれば、新たなビジネスモデルを創り出す必要があるタイミングだと思います。そういう意味でも、20%ルールというのは「今の売り上げを確保する」現業の維持と、「3年先、5年先の売り上げを確保する」という会社の未来を創り出す礎になると思うのです。

これを先代に納得してもらうのは簡単ではないかと思うのですが、50歳も半ばを過ぎてからぼろぼろの会社を譲られて対応することと比べれば気持ち的にはやりがいが見いだせるような気がするのですがいかがでしょうか。

 

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