親子経営、親子での事業承継というと、やはり大きな課題が後継者教育でしょう。
親である先代からすれば、なかなか後継者が独り立ちしない、積極性を見せない、自覚が足りないという風に見えることが多いのではないでしょうか。
そしてそれを後継者の問題とし、後継者にたとえば、経営塾に通わせるとか、経営者コミュニティに参加させるとかされることも多いでしょう。
しかし私の知る限り、それが功を奏することは稀です。
後継者の立場においても、早く一人前になりたい、先代の支配下から飛び出して活躍したいという人が多いと思うのですが、そういった能力が発揮されることはあまり多くはありません。
なぜかというと、実は後継者教育が実効性を持つためには、先代である親こそが変わる必要があるにもかかわらず、それを説く意見はあまり聞いたことがありません。
この視点が抜け落ちているから後継者が育たないのです。
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Contents
後継者教育は後継者が子どものときから始まっている!?
親子の関係こそが後継者教育の一部
まず、理想のリーダー像というのはどんなものかを考えてみましょう。
しっかりした自分の判断基準を持ち、物事の決定に責任を持つことができる人。
そして、部下や顧客に対して愛を持つと同時に先見性を発揮し、彼らに会社の未来像を示し、そこへ向かう行動力を持った人間。
他にもいろいろあるかとは思いますが、この辺にしておきましょう。
で、そういった後継者を育てるというのは、ご想像の通り大人になってからすべてを満たすことは難しいでしょう。だからこそ、過去のリーダーは「帝王学」といった後継者に特別な教育を施したわけです。
この帝王学、細かく見ていくといろんなジャンルがあるとは思うのですが、私の個人的な見解は「人間教育」が中心にあったのではないかと思うのです。
人として尊敬されない人が人の上に立つことはできません。
ではその人間教育というのは何でしょうか。
ここで誤解されがちなのですが、他人の価値観に合わせてこじんまり生きるという教育を施せば、たぶんリーダーと呼ばれるバイタリティは発揮できません。なぜならば、その人本人の個性より、誰が言ったかわからない「常識」に合わせているにすぎないからです。
具体的な例を挙げて説明します。
たとえば、居酒屋でAさんはとにかくお腹が空いていて、すぐにでも「やきそば」が食べたい状態だったとしましょう。世間的に「おとな」な人ならばそれでも周囲の雰囲気を察して、焼きそばが食べたいという思いを言葉にせず、みんなと一緒に焼き鳥やサラダをつつくかもしれません。人の和を乱さない、正しい大人の在り方と言えそうです。
この大人な人間関係や考え方をビジネスに持ち込むと何が起こるでしょう。業界の常識やしきたりを真に受けて、そこに対する改善策があることも気づかないある意味従順、ある意味思考しないビジネスパースンになってしまいます。おそらく、こういった人を育てることが後継者教育とは言えないと思います。他人に同調することしかできない人は、リーダーというよりフォロワーです。
つまり、「世の中の常識に合わせて生きよ」という教育は、後継者の個性を殺してしまうことになりかねません。
しつけに厳しい経営者である親
私がきいた範囲によると、親は破天荒なのに、親である経営者は後継者に対して非常に厳しいしつけをしてきた人が多いようです。少し嫌な表現をすると、親に従順で、社会に従順な子どもとして育てようとしている傾向が強いように思います。そして親に従順に育てられた子供は、成人しても親に逆らうことができません。普通ならば社会人になることで、自分の上司は親ではなくなるのですが、子ども時代の関係性を保ったまま大人になり、大人になってからも「従順を誓った親」が上司であり続けるというのが、親子経営のジレンマを生み出します。
後継者は経営者・リーダーという独創性や、責任感を発揮する立場にあるのに、親という従順を誓った上司が常にい社内にいるという状況が何十年も続くのです。
もし今、親子の確執がそこにあるとすれば、その矛盾が原因である可能性はかなり高いと思われます。
手放すことが大事
ここで考えられるのは、今までの親子の関係の中で培ったパワーバランスを手放す必要が出てきます。子どもが小さいうちは子どもを守るため、親は子供にしつけをしました。しかし、大人になった今、親は子供から手を放す必要が出てきます。それは、子どもである後継者への影響力を限りなくゼロにすることが必要となります。それについては、親に関して言えば非常に大きな葛藤ではあると思います。だからこそ、親子の事業承継というのは、親と子が双方に成長し、今までとは違ったゴールを意識するようにならなければうまくいかないのです。
任せられない先代・任せられたくない後継者
最良の後継者育成
ときおり耳にするのは、親が仕事をできなくて急遽親の会社を継いだという後継者の話です。彼らは紆余曲折ありながらもなんとか自分の道を見つける物のようで、大きな借金を抱えながらも何とか親の会社を切り盛りするようになっていることが多いです。それはなぜかというと、後継者は自分でやり切るしかないからです。それこそ血反吐を吐くような苦労をするのですが、それでも数年頑張れば上手く会社を立て直していたりします。しかし、多くの親である経営者は「子にあまり苦労をさせないよう」自分でついつい手を出してしまうのです。自分で手を出すから後継者はいつまでも頼りない。いろんな事例を見ていて思うのは、最良の後継者育成というのは、「完全にやらせてみて、手も口も出さない」ということじゃないかと思います。
それで会社がつぶれるなら、それはその程度の能力だったということなのでしょう。そこはある程度覚悟せねばなりません。どうせそういった後継者をこの後生きながらえさせても、ダメになるのを先延ばしするだけです。後継者が若い家なら他の人生も歩めますが、年を取ってからでは別の道を選びにくくなります。後継者のためを思うなら、早く手渡し、早く去るのが最良の後継者育成です。
後継者は本当は任せられたくない!?
もともと起業指向がある後継者であるならともかく、大抵の後継者は本当は会社を任せられるのは少し嫌だな、と思っているケースが多いと思います。本人は自分のそんな気持ちに気付いていないのですが、会社を譲ってほしい、自分に権力が欲しい、と言いつついざ全部渡されると躊躇する、後ずさりする後継者は少なからずいらっしゃると思います。私自身そうでしたが、彼らもまた、少し意地悪な表現をするといいとこどりをしたいのです。自分が思う通りに会社を動かし、何かあった時の責任は親に任せたい。そういう環境を望んでいる後継者はけっこういるんじゃないでしょうか。
それでも、完全に任せられたらやらざるを得なくなるのですが、大抵はそうではないので責任のなすりあいが起こります。中途半端に親が会社に口を出すと、後継者はそれを口実に上手くいかなかったことを親のせいにし始めます。そういった逃げ道を残すから、後継者は永遠に一人前になりません。
それでも親は会社から手を放したくないから会社に干渉するし、それは結果として後継者に言い訳を許します。結局、親が会社に干渉するということは、後継者の育成を妨げることになります。親が後継者を鑑賞したり、監督していながら、後継者が自覚を持たないというのは、まさにアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態と言えるでしょう。そうやって負担を負ったエンジンはどんどん発熱してダメになってしまうのではないでしょうか。これが親子の確執と言えるのかもしれません。
大事なのは信じ続ける事
じゃあ親が子供に会社を任せたとします。風の噂に、番頭さんが会社を辞めたと聞いた。会社の業績がずいぶん大変な状況にあるようだ。そんな話を聞くと、ついつい自分が戻っていって立て直しを・・・と思うかもしれません。しかし、それは子どもの能力や、子どもの未来を信じていないということになります。自分が育ててきた子供を信じるなら、とことんまで信じて待つということを提案したいと思います。その結果がうまくいかなかったとしても、それは前述の通り、結局いつかはうまくいかなくなるものの結果が早くわかってしまっただけです。それぐらいの割り切りが必要なのではないでしょうか。
かなり無茶を言っているのは承知の上ですが、親子での事業承継というのはそれほどまでに大変なことである、ということではないかと私は考えています。
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