後継者が親の会社を辞めたくなった時考えたいこと

15年ほど前、当時、日本でトップクラスの経営コンサルティング会社、船井総研の五十棲剛史さんの本を読んだときのことを今でも覚えています。
当時、親の会社を継ごうと入社したにもかかわらず、仕事でも成果を出せず、会社のマネジメントについても今一つ実績をあげられず悩んでいたときに出会った本です。
売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。 』という本だったのですが、むさぼるように読んだのを覚えています。
中小企業の会社規模が一定以上に伸びないのは、経営者が現場の仕事に干渉しすぎることにある、という内容でしたが、まさに自分の会社のことだと思ったからです。

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中小企業が一定レベルから伸びなくなる理由

責任感の強い経営者程、会社を大きくできない!?

様々な中小企業を見ていると、いろんなことがわかります。
社長と数名の社員という小さな会社では、社長は社内の隅々までを把握しています。
社長の責任感が強ければ強いほど、判断を人に任せずすべて自分で行います。
社員の仕事すべてに目配りをしていて、自分の考える理想形から外れた作業手順を踏む社員を見つけると、しかりつけることもあります。
「ワシが言った通りやれ」

これは何を意味しているかというと、自分の頭では考えるな、と言っているのです。
自分では考えず、すべては社長に伺いを立てろといいっている事と同義です。だから社員は自分では考えず、すべての判断を社長にゆだねます。
情報と権力はすべて社長が握っています。

この経営スタイルは、会社のアウトプットはすべては社長がコントロールしているため、品質などの保持がしやすい一方、組織としての発展は難しくなります。社長は自分の見えない部分を作りたくないから、組織を大きくするのを無意識に避けるのです。本人は気づいていないことが多いのですが、顕在的には「会社を大きくしたい」と言いつつ、心の奥底では「自分の管理を手放したくない」という思いが綱引きをしています。結果として、会社は一定程度まで伸びると、どこかのタイミングで一気に売り上げを落とすような事件が起きます。

それが、冒頭で挙げた書籍、『売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。 』において「売り上げ2億円の会社が10億円の壁を突破できない原因」と言います。

逆に、会社を大きくしたいなら、社長の監視の目とこだわりを隅々にいきわたらせるのではなく、社員を信頼し、任せることが大事だといいます。

中小企業の経営者が子どもに経営権を渡せない原因

このお話の延長線上に事業承継の問題があります。
社長は自分の権利と監視を人に手渡すことができないというぜんていになると、これは会社の継承においても同じことが起こります。
やはり社長は自分で会社を見たいという思いが心の奥底、無意識にある一方で、表面上では「そろそろ会社を次代に渡さなければ」という思いがあります。つまり、口では「会社は任せた」といいつつ、会社の手綱ははなさないという状況が起こるわけです。

この状態をややこしくするのは、無意識な自分に気付かない社長(つまり後継者から見た親であり先代)は、会社の手綱を放さないそれなりに合理的な理由が必要となります。その理由こそが、「後継者はまだまだ未熟である」というものです。たまたま見つけたもっともらしい理由に、先代はすがりつきます。「後継者は未熟だからワシは引退できない」こういうと、自分が会社の経営を手放すことへの後ろ髪をひかれていることを自分の問題ではない形で説明できてしまいます。また、世論的にも、「たいていの会社は、後継者の問題で会社がうまくいかなくなる」ということが信じられていますので、納得感もあるわけです。

少し厳しい言い方をすれば、「子どもが親離れをしない」などと言いながら、親がずっと子供に付きまとうような行動をしているといえるのではないでしょうか。

後継者がダメになる理由

Marina DavydenkoによるPixabayからの画像

「未熟判定」され続ける後継者

前述したような理由で後継者は「未熟判定」され続けます。
じゃあ後継者はそれに反発すればいいのですが、反発できない事情があります。それは自分に自信がないし、不安だし、やっぱり自分でもまだまだだと思っているからです。親からの未熟判定を言い返すほどの自信はないんです。
なぜならば、比較の対象が親であるベテラン経営者だからです。

何十年、会社の中心に君臨してきた親との比較で、自分がベテランだ!と言い切れる人はそうそういないでしょう。
また、親である先代社長は前半でお話ししたように「自分のやり方こそ善である」ということを社内で強硬に推し進める人である可能性が高いと思われます。それはすなわち、あなたのやり方はたとえ合理的判断で正しかったとしても、親の眼から見ると誤りである、というケースはよくあるんじゃないかと思います。また、その判断理由をしっかりと説明してくれるならいいのですが、たぶんそれもないでしょう。後継者である私たちは、なぜダメなのかわからないけど、ダメなのだと教育されます。

これは少し意地悪な言い方をすると、「正解を提示されず、お前は間違えている」と言われ続けているということになります。いったいどこに正解があるのか?と求めるわけですが、世界は先代である親の胸の中にあるだけです。すると自然に後継者は親に依存せざるを得ない状況になります。なにしろ正解はそこにしかないのですが、常に親の顔色をうかがいながら仕事をする後継者の出来上がりです。

一見線の細い後継者が多いのは、常に判断を親に仰がざるを得ない環境と無縁ではないと、私は考えています。

後継者が会社を辞めたくなる本当の理由

親子で経営している際に、後継者が多く訴える悩みの一つが「親の会社を辞めたい」というものです。この、会社を辞めたい気持ちというのは、多くの場合「人間関係の問題」という認識がされていることが多いと思います。親とそりが合わないとか、周囲の社員とうまくコミュニケーションが取れていないとか。
しかし、もう少し深く考えていくと例えばこんな理由に行きつくかもしれません。
それは自分がここに必要とされているように思えないとか、この場に自分がいることが不自然に感じられるとか、自分の能力がこの場で活かされることがないとかいった思いがあるのではないでしょうか。
単にだれかと馬が合わないというより、自分がここに必要とされていないということのほうが案外重い理由のような気がします。

多少人とうまくいかなくても、自分が必要とされているならきっとそんな問題とも戦っていけるとおもうのです。
けど、そもそも必要とされていない場に自分が立っていることが、ツラくて仕方がない、ということもあるのではないかと思うのです。

無意識とはいえ、親は子どもである後継者をそんな状態に追い込んでいることが多いと思います。後継者の自信を喪失させ、居場所をを失わせているのです。

そしてこういった問題は、「素直な後継者」ほど如実に現れます。
親に反抗的な後継者は、自分が追い詰められる前に会社を飛び出したり、親を追い出したり、そもそも会社を継ぐなんて言っていないかもしれません。親に対して貢献したいという思いを持った後継者ほど、こういった無意識の関係の中で非常に苦しむのです。

後継者が自由を得るコツ

PexelsによるPixabayからの画像

「親の会社を継ぐ」という感覚を捨てる

親の事業、親の会社を継ぐ、という言葉のなかには、親のやってきたことを尊重するという印象を強く意識したりはしないでしょうか?親のやってきたことが善であり、それが残すべき価値があるという前提に則っています。もちろん、これまで事業として継続してきた以上は、社会の中で価値ある存在であったことは間違いないとは思います。しかしそれは、過去の時点で終わっている可能性もあるわけです。いくら営業努力をしてもなかなか売り上げが上がらないとしたら、それは後継者の資質や器の問題というより、親の事業、親の会社が経年劣化している可能性を疑うことも必要です。

そしてそれは、結果として親の過去の一部を否定することになります。少なくとも、今の会社を改革すべきという主張は、親にとっては自分の過去の否定につながります。

実は、親子経営っていうのは、そういう面倒くさい話が裏で動いています。
会社改革すれば親は自分を否定されたと感じる。
親が自分の会社を手放さないそぶりをすれば、後継者は自分が認められないと感じる。
この二行に集約すると、すごーく子供っぽい話だと思いませんか?
相手の売り言葉をそのまんま受け入れて、どんよりしてるわけです。
売り言葉に買い言葉という関係性さえ成り立っていない。

このサイクルを変えるには、相手の売り言葉を真に受けないことから始める必要がありそうです。
そのためにも、後継者は親の会社を継ぐという感覚、親の物を大切に受け継ぐという重々しい感覚を感じることをやめることをお勧めします。

人生の意味を考えてみる

私たちは親子の経営となると近視眼的になりがちですが、後継者である私たちが生まれた理由は親の会社を継ぐためなのでしょうか?
私はそうではないと思っています。
みんなそれぞれに、「幸せに人生を謳歌する」ことが誰の頭上にもある生きる目的だと思います。
どんな仕事を選ぶか、何をするか、といったことはその手段にすぎません。

多くの人は、親の会社を継いで、発展させることが、自分の幸せにつながっていると信じて親の会社を継ぐのでしょう。
じゃあその幸せの根源には何があるかというと、たぶん、親に認められたいという欲求があるんだと思います。
親に認められるために、親の会社を継ぎ、親の会社を発展させる。
それが自分の幸せです、と。

泣かせる話ですが、これはかなり危ない思考だと思います。
なぜなら、親は後継者が会社を継いで、発展させても後継者であるあなたを認めるかどうかはわかりません。実はそのことに対してジェラシーを感じる事さえある可能性もあります。
じゃあどうすればいいのって話ですが、答えはシンプルです。

自分の人生の満足を、他人にゆだねないでください

ってことです。
人が認めてくれたから幸せ、認めてくれないから幸せではない、ということでは努力がまったく意味をなさなくなってしまいます。どんな努力も相手にちゃぶ台返しをされる可能性があるのですから。

自分が満足できるために

大事なのは、人に認められることではなくて、自分が満足するためにはどうすればいいかを考えることだと思います。
オリンピック選手が、金メダルを取ってうれしいのは努力が報われたからです。銀メダルだと悔しいのは、金という他人からの称賛を軸にするからで、結果は銀であれ金であれ、自分が自分の能力を最大限使って生きることに対する満ち足りた思いを実感すれば銀でも十分充実した人生になりうるはずだと思うのですがいかがでしょうか。
これもやっぱり、メダルという他者の評価にこだわるか、自分ができることを最大限チャレンジするかの目標設定の違いで明暗が分かれるんじゃないかと思います。

他者の評価で生きるのか、自分の満足で生きるのか。
そこを考えると、後継者という稼業もなかなか悪くない立場と思うのですがいかがでしょうか。

 

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