後継者

後継者は商品やサービスの提供方法を変えるだけで満足してはいけない!? ~ビジネスモデルの転換を考える際の道筋

日々状況が変わっていくのを感じます。
新型コロナウィルスのニュースもそろそろ飽きてくると、状況が変わらなくとも心境の変化が訪れることもあるでしょう。

地震のような災害であればその中心地を除けば、対岸の火事のような感覚を持つ人も多いと思います。安全な地から、同情の支援をして、それが美談になる。地元の惨状はそんな美談にかき消される程度ではないのに、といぶかしい思いがあったりもしたのではないでしょうか。ここに被災地と、それ以外、という分断が生じがちでした。

しかし、今は悪い言い方をすれば、世界中が被災地となりつつあります。
外出自粛の中ではストレスも大きく、それは心理的なもののみならず経済的にも待ったなしの状態に陥っています。

今の後継者のみなさんの会社の状況はいかがでしょうか。
取り急ぎの融資や助成金で延命を図っている会社もあると思います。ただ、現在の状況をみると、半年程度の短期的な延命ではどうにもならない雰囲気が漂っています。もし間に合うなら、この社会に適合したビジネスを再構築していくことを始めなければならないのではないでしょうか。
今は後継者・跡継ぎとして先代の後ろにいるのかもしれませんが、この会社を継ぐのはわたしたちです。
この状況に即応した会社に変化させる一つの考え方として、会社を「要素」ごとに分解して、再構築する方法を考えてみたいと思います。

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社会が変わった時、自分の会社は・・・?

商品や情報の提供手段を変えただけで終わってはいけない!?コロナ対策

泣きっ面にハチとでもいうのでしょうか。
決してゆとりのあった状況でもない中で、コロナ禍での悪影響をうけ、日本、いえ世界経済の停止状態によって会社の屋台骨が揺るがされているケースを今目の前にしている人も多いと思います。
そういう私だって、ある日突然、支払いができずこのブログのサーバーを止められることになるかもしれません。

おそらくこの状況下における第一フェーズは、ひとまず延命措置をすることだったと思います。人間で言うなら酸素を吸入し、点滴を打ち、会社を何とか生き永らえさせる方向に必死です。飲食店では来店客がなく閑古鳥が鳴くのでテイクアウトやデリバリーでしのいでいるところも多いと思います。
私は当面はこれも打開策の一つだと思いますが、コロナの影響が年単位で続くとすれば、こういった対策もだんだんとすたれてくるように思います。

今まではテイクアウトやデリバリーに対応している飲食店が少なかったから喜ばれていますが、猫も杓子もデリバリーとなればその価値は下がっていくことは必至です。
しかも、飲食店の価値は食べる物の味だけにとどまらず、自宅でないということが重要かもしれませんし、お店の独特の雰囲気が大事なのかもしれません。
テイクアウトやデリバリーでは、味一本の勝負でもあり、そしてそれは味気ないパッケージと、自宅の食卓という日常的なシチュエーションでかなり毀損されてしまう可能性はあります。

私の親の会社である保険代理店も、周囲の感じとすれば「従来は面談していたものを、オンライン対応すれば何とかなるかも」と思っている人が結構多いように思います。ただ、私はそういう考え方は、その場しのぎに過ぎず、すぐに次のフェーズに移行していくと思っています。そもそも、人を介さず保険が理解し、検討でき、購買することができれば、それで十分事足りるからです。
飲食店がデリバリーという、「食べ物の提供手段を変えた」というレベルの変化なのに対し、保険業界は「オンライン」という情報提供の手段を変えただけ、というその場しのぎの対応と言わざるを得ません。

しかも、保険のような予防商品は、積極的な勧誘行為が伴わなければ売れない商品なので、その商品の在り方が根底から変わる可能性は大いにあると思っています。

社会の価値観の変化は商品の価値を一気に下げる

ところで、コロナに関しては、世界中が被災者といいました。
これと酷似した状況を考えるとすると、例えば世界大戦のような大戦争でしょう。
世界大戦当時は物理的な破壊による死生観や価値観の転換がありましたが、今回は新型コロナという病気の影響による経済的な破壊による価値観の変化が、過去の大戦と同じくらいのインパクトで起こるのではないかと思っています。

これは個人的な直観なのですが、顧客から見た商品やサービスの在り方のみならず、それらを提供する企業側も、働く意味や価値さえも相当に変わるんじゃないかと考えています。となると、コロナが収束して、元の仕事に戻ることがどうなの?ということを考えてみる必要がありそうです。
だから、「耐え忍ぼう」という考え方は、ちょっとどうかと思います。
耐えるという行為を永遠に行うことはできません。
それが当たり前というぐらいに普通のことにならないと、長期的に状況に対応することはできません。

だから耐えるじゃなくて、当たり前と捉えるベースが必要になります。
つまり、今の状態に何かを無理して仕事をしているとしたら、今を乗り越えられても早晩それが難しくなるという事が予想されます。
人は一度知ってしまったことを意識して忘れることは難しいように、一度獲得した価値観を捨てるのも難しいと思います。
コロナの影響下だから、というものが次第に、「それが当たり前」にかわっていきます。
後継者としては、そこを見越したビジネスモデルの検討をしておく必要があるのではないかと思います。

完ぺきである必要はない

とはいえ、今まで考えたこともない人がいきなり、ビジネスモデルの転換を考えよう、なんていわれても難しいと思います。
そもそも、それをいきなり成功させよとか、いきなり完璧な形でアウトプットせよとか、たぶん、ビジネスコンサルタントだってなかなかできることではありません。
私はそういうものは、
1.もしかしたらこうかも!?というひらめき
2.ひらめきを小さくテストしてみる方法を考え、試す
3.実践していく中で出てきた新たな疑問や悩み、気づいたことを振り返りまた実行
というパターンの中で、「そうか!」という更なるひらめきが出てくるものと思っています。

ひらめき(それっぽい言葉で言うなら仮説)を得たら、それを実行するとすごい勢いで学びが始まります。
だから、ひらめき、小さくテストするながれを次々と繰り出すこと。
これこそが、取り急ぎの後継者の課題ではないかと思っています。

今こそ会社改革のはじめの一歩を

今だから後継者が動きやすい3つの理由

後継者にとって、コロナの影響下は出社人数を減らすことが必要とされています。
工場などではそれは難しいと思われますが、たとえば先代である親と意見が合わない場合、先代と自分の出社タイミングをずらすことが可能です。
一つ目の理由は、親の監視を逃れて独自のスタイルで仕事をする時間ができるという事になります。
さらに、親子で違った時間帯に出社すると、親に見えないところで極秘プロジェクトを立ち上げやすくなります。
もちろん大掛かりなものは難しいかもしれませんが、小さなトライアルなら行える可能性は高いと思います。

さらに、一般社員の多くは日常業務がかなりのウェイトで軽くなっているのではないでしょうか。
いつもなら日常業務でいっぱいいっぱいの状態だったとしても、今は例えば在宅ワークをせよ、と言っても在宅でする仕事などさほどない、という事はないでしょうか。
となると暇を持て余した社員たちも少なからず罪悪感を持ちます。
ならば、余計な仕事を無理やり作ってやらせるより、未来に向けた小さな実験を繰り返すには最高の環境と言えるでしょう。
これが三つ目の理由です。

頭脳労働には「キャッチボールの相手」が必要

さて、そんなに恵まれた社内改革において、不足している者が何かと言えばお金です。
こういった緊急事態において、出ていくお金は出欠のようなものですから、厳しく監視をする必要があります。
だから、そうそう簡単にお金を使うことは難しいと思います。

一方、私達が見落としがちな出血がじつは今や社内のいろんなところで起きています。
それは、社員という人的リソースを使い切れていないことそのものです。
人が密集することがいけないという事で、在宅勤務を命じているなか、出社を全くしないか限定的な出社にしていると思います。
しかし、こういった事態を想定して仕事の内容や評価を準備してきた中小企業はごくわずかでしょう。
時間で制約された働き方しかしらない社員が在宅でいったいどんな仕事をするのでしょう。
ましてや個人情報や機密情報の持ち出しが厳しい昨今、ITツールが発展する一方で不自由もかなりあります。

そこで、自分が使いやすい相手でいいので何人かをピックアップしてミーティングしてはいかがでしょうか。
もちろんリアルである必要はないので、ZOOMなどのリモート会議でOKです。

そしてかれらと何を話すかと言えば、
「今の状況が今後10年続いても会社として成り立つ仕事の仕方」
がテーマです。

これは社員から意見を引き出すというより、自分の考えの「壁打ちの相手」をしてもらうくらいの気軽さで話すのがいいと思います。
実は私もよく社内で、自分の考えの「壁打ちの相手」をしてもらうことがあります。
相手はたいていもっとも社歴の短い社員で、比較的頭の柔らかい人が対象です。
別段素晴らしい意見がなくてもいいので、こちらが言った意見に自分なりの感想を載せて返してくれればそれでOK。
自分の思考がクリアになるうえ、たまにそんな対話からすごくびっくりするようなアイデアが出てくることもあります。

もちろん、そういった内容で話がすいすい進めばOKですが難しければ、まずは「自分達の会社は何を持っているのか?」を考えてみてはいかがでしょうか。

会社のリソースを洗いだそう!

ビジネスモデルを変えよう、というとどうしても何か新しいことを始めるとか、新しい分野に打って出る、という事ありきの話になりがちです。
しかしこういった話が空虚になりがちなのは、実現性が乏しく感じられるからです。
では、現実的な議論をどう行っていくのか、というと、まずは自分たちがもっているものを再整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

簡単にやり方を考えてみましょう。
まずは、会社が何を持っているかの項目をあげていきます。
たとえば、

①ヒト
②モノ
③カネ
④情報
⑤時間
⑥知的財産

といった分類があるようです。

ここで、たとえば「ヒト」について考えるなら、人数にもよりますが社員一人一人の得意なことやスキル、資格などを今の仕事と関連させずにピックアップしていきます。
固有名詞で彼らのことをとらえ、さらにそういった彼らを未来にわたって活かすとすれば、どんな仕事(これも今のビジネスにおける役割分担というより、世の中にどんな価値を生み出す能力があるか)を考えて行きます。
実はこれをやるだけで、かなり社内の雰囲気は明るくなっていきます。
たとえば、Googleのスプレッドシートなどに全員で書きだすなどして、完成させていくと面白いことがおこるかもしれません。

モノについては、商品・製品・原材料や設備・什器や社屋や工場です。
これらは例えば、広大な土地があるならそれもリストアップすればいいですし、商品や原材料、機械設備なども今の仕事と関係のないところで、何を生み出せるかをすべてリストにするだけですごい価値が見えてくるかもしれません。

お金や、時間に関しては、今、何にどれだけの配分をしているかを考えてみます。
お金は、仕入れのためなのか、それ以外の投資なのか、人に対してなのか。
時間については、一人当たりの労働時間を人数でかけてみて、その総数の何割が製造に向けられているとか、何割が営業に向けられているとかを見ていきます。
すると今の会社の傾向が見えてきますし、じゃあ将来に対して、そのお金や時間の使い方をどうするのかを考えてみます。

情報に関して言えば、業界などで必要とされる情報はもちろんですが、顧客情報について、特殊なものを持ってはいないでしょうか。
もしその情報を活かすとしたら、どんなことが考えられるでしょうか。
知的財産なども同様ですね。

こういったものを一覧表にすることで、自分たちが世の中のあまたの企業の中でどのような立ち位置にいるのかがぼんやりと見えてくるのではないでしょうか。
今までやっていたことを続ける以外に、今の少し自由の制限された時代にできることはないでしょうか。
そんな思いを持ちながらボンヤリその一覧表を眺めてみてください。

場合によっては、毎日見つめて、社員に一日一個でも何か気付いたことを付箋やSNSで伝えるような工夫をしてもいいでしょう。
きっと遠からず面白いアイデアが出てくると思うのですが、いかがでしょうか。

時間があるなら今すぐやろう

こういった非常事態には、経営状態や業種によっては日々忙しく駆けずり回っている経営陣も多いと思います。
その反面、普段の活動ができず、時間を持て余す会社もあると思います。
もしこれを読まれた後継者が後者の状況で(恐らくこの記事にたどり着いた時点で後者である可能性は高いのではないでしょうか)、どうすればいいんだろう?ともやもやしている状態なら、今すぐここに書いたことの一つでも二つでも、はじめてみてはいかがでしょうか。

どんな小さな一歩でも、踏み出しさえすれば一歩前の視点が次には控えています。
進歩というのはそれの繰り返しです。
まずは、最初の一歩を、是非踏み出しましょう。

 

 

そんな考え方の転換につかえる手軽な場、考え方の壁打ち相手探しとして、後継者のみなさんが集える場所を作りました。
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