後継者

後継者の経営革新は先代にとってなぜ「気に障る」行為なのか?

親子で経営していると、よく経営方針のずれが出てきます。それは話し合いで解決すれば、と思うのですがそもそも、話し合いが成立しない。
感情的になって、ケンカで終わるということが多いのではないでしょうか。
そこには実は、こんな心理背景があるのです。

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会社としての進化は先代にとっての苦痛

後継者が質問すると怒り出す先代(親)

後継者と親との関係の中で割とよくある話です。後継者は割と会社全体のことを始めるときにまずは「効率化」や今までやってきたことの「整理」から取り掛かる方が多いように思います。そうすると何が起こるかというと、今やっている作業が必要なものなのか、やり方として合理的なのかを判断するために、過去の経緯を知る必要があります。
これは仕事の手順だけではなく例えば、会社に借入金がある場合、それが今の状況での返済が良いのかそうでないかなど、いろいろと状況把握が必要となります。

だから、親に対して、いちいち聞くわけです。
「なぜ、こういう方法でやってるんですか?」「こういうことを始めた経緯ってあるんですか?」「これをやめたらまずいですか?」
これに対して親はどういう反応をするでしょうか。
私が予言者になって、その様子を再現してみましょう。こういう問いかけを親に行うと

・カリカリと怒り出す
・そんなことどうでもいいから目の前のことをやれ!とどやされる
・今大事なのはそんな事じゃなくて売上を上げることだ
・仕事もできないくせになにをいうか
・自分(先代自身)で考えてやってることだから口を出すな

などなど。
すごくまとめて言うと、感情的になり、自分は正しいことを主張し、あなたに介入させまいというふるまいをするのではないでしょうか?
もしこれが当たっていたとしたら、次も読み進めてみてください。(逆に、読み違えたら、ここから先はあなたにとってあまり価値のない情報です)

責められる親

後継者・跡継ぎである子どもにしてみれば、過去の経緯を知るため、つまり過去を尊重するためにわざわざ聞いているにもかかわらず、親である先代はカリカリと怒り出す。なんとも不可解な状況が目の前に現れます。
これは何が起こっているかというと、先代である親は後継者・跡継ぎであるあなたから過去を「責められている」ような感覚に陥っている可能性が高いと思われます。

恐らく、会社を変えていかなければならない、という話の前提には「今のままではダメだ」という含みがあると思います。
すると、「今の会社」の状態を作ったのは誰かというと、これまでの経営者。つまり、先代である親です。
親である先代は会社に対する責任感は当然強く持っていますから、その会社が「何か手を加えなければならない状態=欠けている部分がある状態」であるということを指摘されるのは割と苦痛なのです。

ただややこしいのは、親である先代はたぶん、自分がなぜ感情的になるかがわかっていません。中には無意識に「俺を責めるな」という人もいるようですが、たぶん、
会社を変えなくては!という意識 = 過去の会社の否定
という自分の中にある図式に気付いていない方が大半だと思います。

これが、「話し合いをすればなぜかケンカになる親子」の根っこにあるパターンの一つです。

先代である親は責任感が強い

Andrew MartinによるPixabayからの画像

「会社周りの事件は自分の責任」説

これまでで見たとおり、責任感の強い先代(親)は、だれかから「会社の改善すべき項目」を指摘されるとおなかのなかがざわざわするような感覚を持っている可能性が高いです。それは、相手が例えば、銀行や税理士であっても同様です。とくに、けっこう大きな借り入れがあるとか、売上がうまく上がらないとかいう状況がある場合、もうその事実確認をしたくないので銀行や税理士から避けるような行動をとることもあるかもしれません。会社に対する批判は、自分への批判。そんな批判はまっぴらごめんと思っているからです。しかし、彼らは仕事で話をしてるだけですから、事実を事実として話すし、こちらも社外の人間との対話ですから感情をあらわにするわけにもいきません。出来るだけ平静を装って話をすることでしょう。しかしそれを身内の人間にやられれば、感情を抑えることができません。

また、後継者・跡継ぎである私たちは、言動にこんな癖を持っていないでしょうか?

「〇〇な(よくない)状況だから、□□すべき(改善案)」

もう少しシンプルにも式化すると、

「ダメな状態だから、よくなるための行動をとるべき」

という物言いをしがちです。

単に、「こうしたほうがもっと良くなる」と言えばいいのに、相手を動かそうとするばかりにまずは現状否定をするのです。
そしてその現状否定が親を意固地にさせているのです。

恐怖心を植え付けて動かそうとするクセ

こういった物言いをしがちなのは、別に後継者・跡継ぎ特有のものではありません。世の中でそれだけ使いまわされている言語パターンなのだと思います。
たとえば、親は子供にこういいがちです。
「早く宿題しないと、明日大変な思いをするよ」
「ちゃんと学校に行かないと、ロクな大人になりませんよ」
「いい子にしないと、クリスマスが来ないよ」
どれもこれも、恐怖心をあおってますよね。これ、親子だけでなく学校での先生と生徒、会社での上司と部下など、どこに行ってもこういうパターンで人を動かそうとする人と出会います。

この手法で人が動かないと、行き着く先は「相手がどれほど恐怖や不安に震えるか」というところに行くわけです。悪徳セールパースンはそういった人の恐怖心をあおって、契約を迫ることが多いと思います。

このパターンが染みついているが故、後継者・跡継ぎである私たちは「現状否定」から入って親を動かそうとします。そしてそれが親を意固地にさせるというちょっと皮肉な状況に陥ってしまうのです。

安全を確保すると素直になれる

Mauro SeguraによるPixabayからの画像

心の鎧を脱ぎ捨てるために必要なこと

きっと、先代である親はずっと一人で会社を切り盛りし、誰にも語れない悩みを抱えたままここまで事業を続けてきたんだと思います。社外には敵ばかり・・・というほどには被害妄想が強くないにしても、内側の、しかも自分の子から自分の在り方を否定されるというのはけっこうなダメージなはずです。後継者・跡継ぎである私たちは意識していませんが、「今はダメだから、こう変えよう」という言葉の使い方が、そうやって親を追い詰めている可能性は非常に高いと思います。じゃあ、これまで孤独に戦ってきた親がその鎧を脱ぐのはどういう時かというと、ここには味方がいる、という時です。これは物理的にもそうですよね。敵に囲まれてるところで鎧は脱げませんが、味方の中にいれば鎧を脱いでも大丈夫。

後継者・跡継ぎである私たちは、そういった状況を創り出す、という戦略が考えられるわけです。もちろん年長者でもあり、会社を切り盛りする上司である親がむしろ自分たちのような部下に配慮すべきじゃないか、と思う方もいるかもしれません。けど、それができるならすでにやっているでしょう。おそらく先代である親は、私が説明したような心の動きをつかみ取れていませんし、そこにうまくいかない原因を求めていません。これに気付くのはかなりな心理的な痛みを伴う作業ですので、本人がその気がなければその心の動きを教えたところで理解しようとしません。拒絶反応が出てしまうのです。

だから先に気付いた後継者・跡継ぎである私たちがやるべきです。

で、やることは簡単です。親の功績をしっかりと認め、尊敬していることを口に出すことです。そのうえで、「こういうことをやってみたらどうなるか試させてほしい」というように、現状否定を伴わない提案をしてみてはいかがかと思います。しかも、「自分が正しいからやる」という姿勢ではなく、親の胸を借りる的言い方のほうがうまくいく可能性が高いと思います。

急がば回れ

こんな振舞、こびてるようで嫌だなぁ、と思われるかもしれません。まあ、そこはご自分のやり方でうまくアレンジしていただければいいと思います。ただ、ケンカになって物事が前に進まないより、多少面倒な物言いをしてでも物事が前に進むほうが、後継者・跡継ぎの私たちにとってはありがたい話なんじゃないかと思います。実はこれも葛藤の一つで、恐らく後継者・跡継ぎの立場としては、親を認めてはいるものの、それを本人の前で口に出すのはちょっとしたためらいがあると思います。それはなぜかというと、親に負けを認めたくないからです。そもそも相手を褒めることができるのは、実は余裕の表れなんです。それができないということは、自分に余裕がない状況であるということです。解っちゃいるけど・・・ってことなんでしょうね。そういった親をたたえる言葉が本人を前にして自然に出るようになった時、後継者・跡継ぎが親に対する心理的葛藤を卒業したタイミングじゃないかな、と思います。

こびた感じがするかもしれませんが、これもトレーニングと覆って試してみるのも一考かもしれませんね。(ちなみに、私も苦痛です・・・)

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