テレビ番組のエンディングと後継者のマネジメントの意外な関係とは?

ずいぶん前の話ですが、おじさんたちが中島みゆきのCDを買いに走った時代がありました。
それは、人気テレビ番組「プロジェクトX~挑戦者たち~」という番組の主題歌でした。
そんなおじさんたちは、ぼそっとこんなことを言っていました。
「CDを聞いても、テレビで聞いたときほど勘当しないんだよね・・・」
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あの感動を再び。
そういう思いで、人は主題歌を手に入れたりするわけです。
映画のサウンドトラックなんていうのは、まさにそんなビジネス。
けど、冒頭のように音楽だけ聴いても、あの時ほどには感動できない。
テレビや映画では、エンドロールの画面を見ながら涙を流したのに、
一人音楽に耳を傾けていてもいま一つ思いが盛り上がらない。

まあよく聞く話ですよね。

確かに、曲はそれ単体でも素晴らしいものだと思うのですが、映像と一体ほどのインパクトはない。
さらに、エンドロールと背景の映像だけ見ても、実はさほど感動しないものです。
実際には、その番組や映画の中で主人公に感情移入し、物語を”体験”した状態で流れるからこそ、その曲は音楽単体以上の力を発揮するのではないでしょうか。
つまり、単に「聴く」だけではなく、「体験」が必要なわけです。

 

これ、仕事の世界でも同じことがいえると思います。
たとえば、会社の方針を決めるとき。
その過程を経験せずに結論だけ告知される。
「わが社は、これからこういう方針でやるから」
社員にしてみれば、映画というストーリーを伴わない状態で、テーマ曲を聴かされる状態です。
つまり、よほどいいことを言われても、感動はほどほど。
感情移入ができない、単なる「お仕事」で終わりがち。

そういう意味から考えると、こんな風には言えないでしょうか。
たとえ回り道になったとしても、意見の交換があって出てくる結論であることが大事だ、と。
自分の感覚からすれば「明らかにずれている」という意見にも耳を傾けて、時には失敗も経験させる。
そんな体験の中から出来上がった方針なり、戦略なりというのは、体験を伴っているだけに単なる「結果の告知」とは違う意味を持っていると思います。
人の心を動かすには、単一の素晴らしい「結果」を見せることだけでは足りない。
その過程を経験させることだと思っています。
紆余曲折、試行錯誤を、メンバーで体験していくことが重要なのではないでしょうか。

 

さて、後継者の立場となると、人を動かす必要が出てきます。
たとえば、社員を一つにまとめ、会社の新しい方向性を打ち出す。
また目の前の問題として、先代の頑固な考えをなんとか変えたいと思うこともあるでしょう。
その時に私たちは、いきなりエンディングを見せようとしがちにはなっていないでしょうか?
それでも人は従うかもしれません。
しかし、心の奥底からそこに向かおう、と感じているかどうかは疑問です。

体験の中から作り上げるものは、考えや方針の強制ではありません。
自分の内から出てくるものです。
それを表出させるために、一見、無駄に見える会議も議論もまた、その体験の一部と考えられます。
メンバーや先代にどういう体験をさせるかをデザインするのは決して簡単ではありません。
わかりやすい「やり方」を指導してくれる人もいなければ、回り道に見えることもあるでしょう。
それでも結果としては、実はそれが最短距離なのかもしれないな、と思うことが多々あります。

このところ「体験をデザインせよ」ということを繰り返し言っています。
それが言葉で強制するより、強力に相手の変化を促すことがわかったからです。
人を変えたければ、何を体験させるかを考える。
体験には、あなたが何百回説得するよりも、強い力があると思います。
ぜひ、そんなことを意識してみてください。

きっと、何かが動き出すはずです。

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