後継者

私が後継者のコミュニティを作ろうと思った理由

私が後継者のコミュニティを作ろうと思ったのはもうずいぶん前のことです。
地元では、同業他社と二世会・二代目経営者の会というのをリアルでやっていたのですが、そこに限界を感じたのです。
何が限界かというと、同業他社で組織した結果、その業種限定の話ばかりに終始しがちだったのです。そもそも業界全体が小さく知人でいく中、その業界のなかだけでの事業の最適化は意味がない、というのが私の考えでした。しかし集まったメンバーはどうしても、その業界の話から外に出ない印象が強かったのです。

しかしこれが、業種をまたいだ後継者・跡継ぎのコミュニティなら、もっと普遍的話ができるのではないだろうか。そんな思いがきっかけでした。
もちろんその背景には、多くの後継者・跡継ぎの方が同じ悩みを持っているという前提があったのですが。

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悩み多き同族企業の後継者・跡継ぎ

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前向きな話か愚痴の会か

世の中には若手経営者の会というのはいろいろあります。こういった会には、肉食系のITベンチャーの社長はたぶん、あんまり加入することはありません。どちらかというと既存企業の経営者やその後継者・跡継ぎがこういう会に所属する傾向があると思います。実際に私もいくつかの経営者の会に所属した経験がありますが、そういったところに集まる後継者・跡継ぎの方には一定の特徴があります。一つは、「愚痴の会」になりがちなこと。親が悪い、世間が悪い、社会や景気が悪い、というい話が主な話題で、懇親会の旅に同じような先代批判が繰り返されていたりします。さすがにちょっと不毛だなぁ、とおもってその会とは距離を取るようになりました。ある会では、やたらポジティブです。会社をデカくしなければ価値はない、とばかりにみんな鼻息が荒い。そして金遣いも荒い(苦笑)。けどなんだかちょっと無理してる感があるんですね。しばらくすると、会社がうまくいかなくなった人が出てきたり、ある日突然見かけなくなったりする人が出てくる。何だろうと聞き回ってみると、会への活動に熱心すぎて社内から不満の声が沸き上がりクーデター的なことがおこったとか、会社のお金で贅沢しているから社員から突き上げを食らったとか、会社の風紀が悪くなってガタガタになったとか、いろんな事件が社内で起こっていたようです。無理な前向きモードもちょっと考え物だなぁ、とぼんやり感じたものです。

とはいえ、同族企業の後継者・跡継ぎには必ずそういった特殊な立場を理解しあえる仲間が必要だ、という思いは少なからずありました。残念ながらそれに適したコミュニティがない以上、自分で作るしかない。そんな風に思い始めたのです。

友人の苦悩、自分の苦悩

そもそもそんなコミュニティの大事さを感じたのは、ある友人の悩みでした。彼もまた同族企業の後継者・跡継ぎです。彼は自分はあまり親の仕事には向いていないと思っていたものの、状況から考えると自分が継ぐしかない、という思いで親の会社を継ごうと頑張りました。しかし、どうもうまくいかない。やればやるほど、親の仕事があわないのです。そこである時親の会社を辞めて、全く畑違いの仕事を始めました。それで悩みが消えたかというとそうでもなかったようで、こんどは親の期待にこたえられなかった罪悪感にさいなまれたようです。結局彼はどこまで行っても、自分の心地よい場所に出会うことはなかったようです。

実は彼の身近には同じような立場の人間は何人かいました。私もそのひとりです。しかし、人間、人には弱みを見せたくないものです。私自身、親の会社を継ぐことに対する苦悩を外には一切見せないよう気をつけながら強がって生きていました。つまり、彼は自分一人がこんなことで悩んでいて、こんな話を誰かにするとか、誰かと共有できるとは思わなかったのかもしれません。結果として、彼はその胸の内を打ち明けることなくこの世を去りました。その理由が、親子の事業承継にあったかどうかはわかりませんが、少なくとも何かしらの関連性はゼロではないと思っています。

まずは自分の弱さから

多くの後継者・跡継ぎが悩みを抱えているにもかかわらず、表向きは強がっている実態がなんとなくつかめてきました。悩みという弱みを見せてはいけない、後継者たるもの強い人間でなくてはならない、という思いもあるのでしょうか。たいていの後継者は自分からはそんな悩みを訴えることはほとんどありません。しかし例えば私が自分の悩みを吐露すると、彼らもまた「実は・・・」と自分の悩みを話し始めたりします。ならば、とこのようなブログを立ち上げてみると、全国から様々な後継者・跡継ぎの方から悩みが寄せられるようになってきました。このとき、私はこう感じるのです。「ああ、悩んでいたのは自分だけじゃないんだ」と。そうして安心するのです。その安心は、また頑張ろうという活力につながります。あらためて感じたのは、悩みを語ることができれば、たとえそれが即座に解決できなかったとしても、それなりに次への活力はわいてくるようになるということ。それならば、単に悩みを語れる仲間を作ればいい、ということを実行することにしました。それが、経営者ONLINE倶楽部の考えの発端です。

書くことの癒し

Oberholster VenitaによるPixabayからの画像

悩みを心にためない3つの方法

ところで、悩みを心にためると、どんどん重く引っ張られるような思いがあります。私たち大人は例えば「人前で泣いてはいけない」と言われるから泣くことをガマンしますが、実は、泣くというのはいろんな心の中のものを洗い流す効果があると言われています。そんな大事なことを私たちは妙な常識感で制止されているんですね。まあ小さな悩みや一時的な悩みなら、泣かずに耐えられることもあるかもしれません。しかし、後継者・跡継ぎがうける悩みというかストレスは持続的なものが多いのです。これは徐々に心を蝕んでいくので厄介です。どこかでそれを発散させる必要があります。

しかし多くの場合私たちは、「楽しいことをすれば気がまぎれる」と言いますがこれは私は少し違うと思っています。楽しいことをすれば確かにその時は悩みのことは忘れられますが、それは悩みと向き合ってない分、楽しいことが終わってもなお、心に重く沈んでいることを感じることが多いのではないでしょうか。これは単に一時的に悩みに目を向けないでいるだけなのです。ではどうすればいいかというと、私はある程度悩みを直視し、そこから目を逸らすのではなく、それをしっかり受け入れていくことが大事だと思います。そこでできる悩みの重さの解消法としては、
①悩みを話す
②悩んでいる自分を他人事のように見る
③悩みを書く
という三つがおすすめです。

まずはじめの悩みを話す、ということですが、皆さんも経験はないでしょうか。悩みを他人に相談した時、解決策は明確にならずとも、それを友人に話し、真剣に聞いてもらえただけで随分と心が軽くなるとか、悩みに対して対峙する勇気が湧いたという経験はないでしょうか。恐らく多くの人がそんな経験をしていると思います。人は悩みを他人に相談するとき、意外と解決策よりも聞いてもらい、共感してもらうことを求めている事の方が多いのではないでしょうか。そうやって、誰かが自分を受け入れてくれていることを確認することで、前向きに動き出す活力が湧いてくるのです。

二つ目の、悩んでいる自分を他人事のように見るというのは、言ってみればリアルな自分は映画の主人公。もう一人の自分が、少し斜め後ろの上の方から悩んでいる自分を見て、「おお、なやんどるなー、自分」なんて言う風に自分を見ているイメージをします。これをメタ認知というのですが、こうすることで感情に溺れることなく状況把握をすることができます。すると、八方塞がりに見えたことが実はそうでないことがわかるとか、かなり深刻な悩みが実はちっぽけな悩みに感じられるとか、悩みに対する重みが変わってきます。そうすると、太刀打ちできない問題だったものが、意外と何とかできる問題に変わる可能性が高くなります。

三つ目の悩みを書くというのは、その名の通り、悩んだことを頭の中に浮かぶ言葉で書き留めていくことです。手書きが望ましいのですが、ブログのようなものに書くとか、LINEで自分だけのグループを作って、そこに書き留めるというかたちでもOKです。方法は何でもいいのですが、脳内にある事を言葉にして自分の外に吐き出すということです。これはうつ病などの治療などでも効果を発揮していると言われています。私の私見では、頭のなかを自分の外に出すことで、脳内でその悩みに関する思考の一部の負担を軽くする効果があるんじゃないかと思っています。たとえば、買い物リストを頭で覚えていようとすると、ずっと意識が頭の中の買い物リストから離れませんが、買い物リストを紙に書くことでリストを脳から忘れてもいいという許可を出せます。すると、脳の負荷が下がりますよね?これと同じように、悩みを書き出すことにより、脳内から一部カットされるんじゃないかと思います。

実は、後継者ONLINE倶楽部というコミュニティではこのうちの①と③は実現できることになります。話すという機会はリアルイベントで作りたいと思いますが、話すということと書いて伝えることは昨日的にはあまり変わらないと思います。伝えて、相手のフィードバックを得るという作業は、Facebookのグループのなかでのコミュニティということで、比較的活発に行われます。さらに、それを伝えるに際して、Facebookにかくわけですから、書いて頭のなかを空っぽにする動作がここに含まれてきます。そういった場を提供しているのが、後継者ONLINE倶楽部です。

愚痴の会にならないために・・・

ただそうなると、その場が「愚痴の会」になるけいこうがあります。どうしても悩み、つまりネガティブな感情を共有する場所ですから、愚痴だらけになりがちです。ただこれが面白いもので、後継者・跡継ぎのかたで、親子関係に悩みを持たれている方はみなさん似たような経緯をたどって成長していかれます。はじめのうちはとにかくうちのオヤジ・おふくろはこんなことが問題で・・・ということで、一方的に親の問題点を挙げる人が圧倒的です。確かに非常に個性の強い親であることが多いのですが、おっしゃることはよくわかります。ただそれもだんだんとニュアンスが変わってきます。そういった親がいて、色々と不都合もあるけど、そういった環境において自分がどうあるべきか、というのを考え始めるタイミングがあるようです。そういう気づきを得た人は、例えば自分の過去の投稿や、新しく加入されて親の問題点を激しく指摘する投稿を見ると、なんとなく「ああ、自分もあんなふうだったんだな」というのを妙に懐かしく感じることもあるようです。いろんな段階の人たちが存在することで、いろんな気づきがある。それが後継者ONLINE倶楽部の特徴です。

その多くは、当然参加者個人の自発的な学びや気づきのたまものなのですが、私の方でもそういった方向感をつかんでいただくヒントのようなことを投げかけることもあります。拙著『親の会社を継ぐ技術』をほとんどの方が読んでくださっていることもそういった空気ができる理由なのかもしれません。

未来に向けて

この後継者の会が、未来に向けての様々な力になるようにしたいと思っています。そこにはたとえば、これから会社をいろいろと変えていきたいという人が集まっています。ということはつまり、そこでのアライアンスが発生するかもしれません。また、大規模災害が起こった時には、相互扶助のコミュニティになるかもしれません。なんにしても、私が意図しない発展性をもってそれぞれが成功パターンをつかんでいただけると面白いな、と思っています。イメージしているのは、令和時代の松下村塾。ここから素晴らしい経営者が巣立っていくといいな、とおもいます。(何も教えませんが・・・笑)

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