後継者

社長になんかなりたくない、という後継者の心の内

「社長なんかなりたくない」
そういう人が今は多いそうです。
まあ普通のサラリーマンだったらそれでいいのですが、同族企業の後継者だとなかなかそうも言えないのかもしれません。

そんな社長になりたくない後継者。
これからのことをどう考えて行けばいいのでしょうか。

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社長になりたくない理由

あるアンケートから

WEBメディアの記事 社員アンケート「社長になりたいですか?」(INOUZ Times) によると、一般社員の方が社長になりたいかなりたくないか、またその理由が掲載されていました。
社長になりたくないという人が65%。
その理由は大雑把に、三つに大別されるといいます。

①大変そうだから
②自分は器ではない(からできない)
③社員の立場が楽だから

それぞれの言い分をまとめてみました。

①大変そうだから
・すべての責任をとらなければいけないし、敵に回すひとが増えてしまうのが嫌だから。(20代/女性)
・社長になったからといって幸せになれるとも限らない。(20代/男性)
・そんな胃が痛くなりそうな仕事をやりたいと思ったことは一度もないです。(30代/女性)
・そこまで責任を持てない。(30代/男性)
・気苦労が増えるだけで大変だからです。クビか社長になるかの選択を迫られたらクビを選びます。(40代/女性)
・プライベートが無くなってしまってワークライフバランスが取れず、金銭面で不自由が無くてもストレスが貯まる一方。(40代/男性)

②自分は器ではない(からできない)
・自分はついていくタイプの人間だから。(20代/女性)
・コミュニケーション能力もなく、仕事をとってくる自信もないし、社員に給与を払う自信もないからです。(30代/女性)
・他人の人生を背負う勇気は到底持ち合わせていないので。(30代/男性)
・自分は人を引っ張っていくというのは苦手。根っからの子分肌なので。(40代/男性)

③社員の立場が楽だから
・経営がうまくいかなくなったら借金を背負ったりなどリスクが大きそうなので、一生サラリーマンでいい。(20代/女性)
・人をまとめたり、売り上げを考えたりするのは正直面倒です。雇われの身が自由です。(30代/女性)
・一国一城の主は魅力ですが、全てを傾けるほどの情熱を仕事に対して持っていないのでサラリーマンで結構です。(40代/男性)

これらをさらに大雑把に言語化すると、

他人の責任までもってまで、なんでそんなしんどいことをしなければいけないのか?

という思いがありありと表現されているように感じられますが、いかがでしょうか。

「社長」という仕事に憧れがあった時代

私の世代だと、子どものころには「社長」という仕事にはどこかしら憧れのようなものがあったような気がします。実際に私と同世代の経営者は、学生時代から「必ず経営者になる」という思いを持っていた、という人が何人かいます。社長というのは会社というヒエラルキーのなかのトップということもあるでしょうし、高収入なイメージもあったでしょう。

じゃあネガティブなイメージがあるのかないのかというと、社長は大変であるという一面も知られていましたが、一般的にはむしろゆとりをもって仕事をしているイメージのほうが強かったかもしれません。世間的には私が子どものころは、社長はそんなにあくせくするイメージはありませんでした。しかしそれはあくまで大企業のイメージで、ウチの父親(中小企業の創業社長)は、「社長は一番たくさん働くべき」と言っていましたし、座右の銘が「人の倍働いて肩を並べる」ですから、私に関して言えば父が社長という仕事は「割に合わない仕事」というイメージの象徴でした。もちろん、そんな役割を父は嬉々として楽しんでいたようですが、私にはできないな、と子ども心に思ったことがあります。

どうやら1970年代あたりの起業ブームに起業した私の父世代では、社長というのはとにかく忙しくモーレツに働き、努力の末現在の地位を勝ち取ったというストーリーが出来上がったのかもしれません。世の中にスポ根もの(スポーツ根性物語)が流行った時期とも合致することから、根性物語が美徳とされる時代にこういった起業し、努力の末勝ち上がった社長の物語はしっくり時代に溶け込んでいったのかもしれません。

根性の前提は「苦境」

こういった根性物語の前提は、「苦しい現実」が必要です。すべてがひらひらとうまくいってしまっては根性物語は成立しません。だから、人は努力と根性を語り、それを有難く感じるような社会になっていったのではないでしょうか。根性や努力をことさら強調する世代の親を持つ子供は二つに分かれました。その努力や根性を素直に受け入れる人たちと、そういったものを毛嫌いする人たちです。私は後者に分類される人間の1人だと思うのですが、こういう世代にとっては「歯を食いしばって耐え忍び、いつか来るであろう明るい未来を待ち続ける」というストーリーにはあまり共感できないのです。すると、ことさら「努力と苦労」が強調された「社長」という役割なんてとんでもない、と思い始めます。もうその立場に立つことが、理解不能なのです。こうなったら後継者としては、ババ抜きのババを押し付けられたようなもので、誰かに渡せないかばかりにとらわれてしまう可能性は高いと思います。

それでも社長になりたい人

FunkyFocusによるPixabayからの画像

 

 

ネガティブな要素とポジティブな要素

そんな現代においても、未だ社長になりたいという人は多数存在します。そういう人はどういう人かというと、前提にある苦労を乗り越えてでも手に入れたいものがある人です。例えば、その報酬に魅力を感じる人もいれば、社会的立場に強い関心を持つ人もいるかもしれません。あるいは、自分が開発した商品やサービスを広める為とか、何かしらの夢を実現するためという理由もあるかもしれません。昭和の時代でいえば、収入に対するモチベーションは日本人全体が高かったので、収入をたくさん得られそうというだけで、社長という役割にあこがれを持ったのかもしれません。

恐らく大事なのは、社長という役割を得る人にとっての、

ポジティブな要素 > ネガティブな要素

という図式が成り立つとき、人は社長をやりたいと思うのでしょう。
そこで振り返って考えてみたときに、同族企業の後継者・跡継ぎにとっては

ネガティブな要素は沢山思いつくけど、ポジティブな要素は思いつかない。
つまり、やらされ仕事である、というところが基本的なところにあるのではないでしょうか。

やらされ仕事で務まるほどには楽ではない

実際のところ、経営者という役回りはやらされ仕事でやり切れるほど楽というか、簡単な役割ではないと思います。おそらくいくつもの山を越え、谷を越え、ということが起こる中で、常に前向きに進んでいくことが求められます。これはそれなりに、自分独自の「やりたい」というエネルギーが必要になります。もしそれを持てないとしたら、早い段階でお断りするのがよさそうです。

ただ一方で、結果として・・・ということにはなりますが、人として成長する機会はすごくたくさんあります。私自身、親の会社を継いだ後継者なわけですが、この立場で親の会社に入ってけっこう長い間色んなことで苦しみました。仕事があわないとか、人がついてこないとか、親と意見が合わないとか、周囲の人間がウザく感じるとか。長いことそんな悩みを持ち続けたのですが、その結果、自分の外側を変えよう変えようと何十年も努力をしたけどうまくいかないことがよくわかりました。逆に、自分の内面を磨くと、外が変わらなくとも全然問題に感じなくなることを学ぶことができました。こうやって文字で書いただけでは伝わりにくいかもしれませんが、もう違う世界を生きているかのような解放感です。これ、きっと、経営者という役割を受けず、様々な問題で八方塞がりにならなければ、気づかなかったことじゃないかもしれません。八方塞がりになると、人は上に上がるしかなくなります。ほんの少し上に背伸びすると見える世界が変わるのです。

終局の目的は「幸せな人生」を謳歌する事

少し話は変わりますが、私たちが働き、日々の生活を行い、時に趣味や仲間との触れ合いに興じ、何かを得ようと努力し、何かを失って悲しむということは、すべてある目的につながっていると思います。それは、幸せな人生を送る、という目的です。仕事選びも、後継者として会社を継ぐことも、すべてそのための手段じゃないかと思っています。だとすると、幸せな人生に続く道はどこにあるかというと、それは誰にも分りません。だからいろんな道を行っては戻り、深入りしない間でも覗いてみて五感で感じ、感覚的なフィードバックを受けることで心境が変わり、考え方や物事のとらえ方が変わるということが起こります。つまり私は、幸せな人生を謳歌するコツは、いろんなことをそれなりに体験してみることだと思っています。辞めるときは決心さえすればいつでもやめられます。だから、とりあえず覗いてみる。覗いてみて一時的にはどっぷりつかってみる。それで合わなければ辞める。そんな感じでもいいような気がします。

ある人が言ってたことがとても印象に残っています。
人の人生ってジェットコースターのようなもので、ドキドキして怖くて、不安がいっぱいなんだけど、それを楽しむのが人生なのかもしれない。
あんなに怖いジェットコースターにあれだけの人が並ぶというのは、人生と似ているからかもしれない。

人生も、楽しんでみたらいいのかもしれませんね。

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