親の会社を継ぐ後継者は、早く会社を自分のものにしたいと考えがちです。
その結果何が起こるかというと、社員との確執です。
後継者は親である先代との確執のみならず、社員とも分断されがちです。
その時に侵しがちな間違いについて見ていきます。
私の著書です。
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「強制」で人は動かない
強制すると反発する
人間の特性として、何かを強制すると、すかさず反発したくなるところがあります。
分かりやすい所では、子どもに「勉強しなさい」なんて言うと、「今しようと思っていたのに、やる気なくなった」という口答え。
これはただの口答えじゃなくて、実際に気持ちがそんな風に動くようになっているようです。
ただ、私たちは大人ですし、社員は雇用という契約関係にあるわけです。
そうすると、嫌々でも命令には従わなくてはなりません。
だから、心の中に浮かぶ反発をいなしながら、人は命令に従います。
心の反発を抑えるものは、「恐怖」です。
叱られたり、解雇や降格への恐怖。
つまり、「強制」というのはあまりヘルシーなマネジメント手段とは考えられなさそうです。
しかし、後継者がリーダーシップを発揮しようとする中で行いがちな過ちが、この「強制力で人を従わせようとする」ことなのです。
社員は従って当然という後継者の驕り
こういったことの背景には、後継者の驕りがあります。
親である先代が、比較的強いリーダーシップで社員を率いてることが多い。
後継者はそれを見て、同じようにやろうとするわけです。
しかし実際のところは、先代と社員というのは意外と、先代の愛を感じていることが多い。
色んな苦境を共に切り抜けてきた戦友的な感覚もあるかもしれません。
そういった、見えない絆がある先代と同じやり方を、後継者は表面的になぞりがちなのではないでしょうか。
二つ目の間違いは、先代と同じようにマネジメントしようとする、という事です。
たとえば、同じことを言っていても、ある人から言われたら納得するのに
別の人から言われたら、白々しく聞こえることってありませんか?
まさにそういう風に社員からは見られている可能性が高いのです。
後継者の関心の矛先
後継者はどこを見て社員と接しているか?
後継者の皆さんに問います。
皆さんは社員さんの、何を知っていますか?
あんがい、社業におけるスキルとか、真面目さとか、仕事に関連した部分しか見ていないとしたら黄色信号です。
社員は、無機質な部品ではありません。一人の人間です。
そして人間は、合理的理由よりもむしろ、感情で動く生き物です。
であるならば、チームを作るためには、社員の感情をとらえなければならないのです。
そこで大事なことは、社員が「ここが自分の居場所である」と感じられていること。
それは、私たち後継者がちゃんと社員の事を見る、という事です。
社員の持つ価値観やプライベートなどを含めて、人として付き合うという事です。
実は、先代は、言葉の表現が上手でない人も多いですが、意外と社員の事に関心を持っています。
だから長年ついてくる人がいるのです。
そんなところを意識しながら、後継者自身のチームを上手に作ってくださいね。
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