ミシュラン認定された旅館を後継者が方針変更した話

たまたまある本で、こんなお話を目にしました。
・主人公は観光旅館の3代目女将
・ミシュランに二年連続掲載された旅館を経営
・稼働率95%という人気旅館
・この女将が、ある時を境に旅館をやめ研修施設に転換

もうこれだけで、「何が起こったのか!?」と思う内容です。
残念ながらご本人にお目にかかったことはないので、本やネットの情報しかありませんが、後継者の生き方の一つの参考としてこの方を参考にすることはできないでしょうか?

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順調な会社を一気に転換

経営がうまくいっている会社の方針を大きく転換した理由

多くの後継者・跡継ぎは、親から引き継いだ会社を育て、大きくすることを目指すのではないでしょうか。場合によっては会社を引き継いだ時点で借金まみれ担ていることも少なからずあるようです。そんな状態からなんとかプラスの状態にしたい。そして、売上をあげ、社員を増やし、支店などの拠点を増やし、目に見える生かを出したい、と考える後継者が多いのではないでしょうか。多くの事業承継にまつわるコラムや専門家も、それをゴールとして設定している場合が多いように思います。

そういった力の入り方は時として親子の確執を生む原因になったりするかもしれません。重い責任を果たさなければならないという、焦りにも似た感覚が自分の進路を閉ざすものすべてを敵とみなし、蹴散らそうとしがち。そして、そういった、本来の目的とは違うところで力を使い果たしてしまう、なんていう笑えない話もあるのかもしれません。

ところで、今回とりあげる方は、旅館ふかざわの三代目女将の深澤里奈子さんです。
この方は、社員教育、とくに社員の自己肯定感を挙げるということを非常に意識しておられたようで、その結果冒頭のようにミシュランガイドに掲載される、平均稼働率90%以上の人気旅館になりました。
2000年に引き継いだこの旅館を、彼女は2016年突如としていわば研修施設として大転換を行います。
その後、「人生に変化が起こる宿」ということで、今も人気を博しているとのことです。

そのような転換を行った理由については、活字としてはこんなことが書いてありました。

ミシュランに選ばれるくらいだから、とても腕のいい料理人がいた。ところが職人特有の言葉遣いの粗さや、管理型のマネジメントが感覚的にあわず、長年心の中で葛藤を抱えていた。

天外伺朗の「フロー経営セミナー」塾生 参加者の声

つまり、この料理人との葛藤から自分を解放するために、料亭旅館をやめたというのです。いろんな記述をかき集めてみると、「そもそも教育事業をやりたかった」という思いを語られているシーンもありました。なるどほ、社員教育の中で社員の自己肯定感を上げるための研修をやるくらいですから、そもそもそういうことをしたかったのかもしれません。

現在経営されている施設、「湯河原リトリート ご縁の杜」 のWEBサイトを見させていただくと、「自分に正直に生きる」というテーマを持ったコンセプトのようで、まさに彼女の生き様そのものと言えるかもしれません。

上手くいっている会社を捨てる勇気

多くの場合、事業承継で親の会社を譲り受けて、会社が順調なら内部的な調整はするとしても、ビジネスその物に大きく手を入れることはあまりしないのではないでしょうか。しかし、彼女の場合は、社員教育を一生懸命やって、引き継いだ旅館も非常に順調だったのに突如それをやめてしまったわけです。それが自分の生き方ではない、という違和感があったのでしょうね。ただ、なかなか普通の感覚ではできることではないと思います。損得勘定で言えば、今うまくいっているものをやめて違うコンセプトの宿にするなんて、リスクしかないような気もします。得になることなんてあんまりないんじゃないかと思います。それでも、自分のあるべき生き方と違う、という思いがグッと大きくなって、今のままでは自分的にやっていけないという思いに至ったのでしょう。

とはいえ、どうもご本人はそんな大それたことをやっている感覚はなかったようで、「自分の想いに自然にしたがったら、こんな風になっていた」的なコメントをどこかで見たような気がします。

私たちはどこを目指すか?

程度の差こそあれ私たちも考えておきたい問題

このケース、あまりに刺激が強い話です。ただ、事の大小をいったん脇に置いておいて考えてみると、確かに自然な流れのような気がします。もともと、親から受け継いだ観光旅館を良くするために何が必要かを考えたのでしょう。施設の大幅なリニューアルをするのは資金的にきついし、特段の観光名所があるわけでもない。そういったときに考えたのは、旅館におけるソフトウェアの部分で、人材教育だったわけだと思います。そして彼らが気持ちよく働くことで、お客様にも気持ちよくなっていただく。そのカギが社員さん一人一人の自己肯定感だったのでしょう。

きっと、彼女自身、いろんな人生経験の中で自分の心のこと、生き方のこと、さんざん考えてきたからそういったところに着眼したのだろうと思います。そうして旅館として非常にいい経営状況になったわけですが、そこでも何か満たされないものがあったのでしょう。そして、考えたときに、かつて社員の自己肯定感をあげることに腐心したことを思い出し、それをもっと広く影響を与えたい、という思いが止められないほどに広がったのではないでしょうか。そう考えると、すべてはつながっているというか、スティーブ・ジョブズのいうコネクティング・ドッツはここにもあったんだな、という思いを感じます。

後継者が家業を継ぐ際に感じる葛藤

彼女ももちろん普通の人間で、ここでは料理人との関係だけが挙げられていますが、きっとそれ以外にもいろんなことがあったんじゃないかと思います。それは多くの後継者も同じです。しかし、そういった葛藤があるから、その先に「どこかに光があるはず」という思いを捨てずに探求し続けることで、いつか、巡り合える自分の生き方というものがあるような気がします。それは、家業をそのまま活かす場合もあるでしょうし、そうではない場合もあります。しかし、今回のお話では、料理人という従来の料亭旅館としてはコアなリソースと決別することで、新たな道が開けています。これと近いことがおこるとすれば、私たちが頼り切っている何かコアなリソースと決別する前提で見たときに、新たな道が見えることもあるのではないか、と思うのですがいかがでしょうか。

いずれにせよ、家業をそのままの形で引き継ぐだけが事業承継ではない、と私は考えています。そのリソースを何かの形で活かすことを考え続ければ、自分の生き方に沿った結論が見えるのではないでしょうか。その探求は、インスタントには答えが出るものではないと思いますから、見つかるまで探求し続けましょう。

 

 

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