跡継ぎ・後継者として会社を何とかしたいけど何をやっていいかわからない人へ

親の会社を継ぐ跡継ぎ・後継者にとって、会社を変態させるというのが大きなテーマの一つだと思います。
特にここ数年、社会はすごい勢いで変化しています。
それに伴って会社が社会で担うべき役割も変化しているはずです。
たとえば、私の実体験から言うと、父の時代には商品を広く知らしめ、販売することが社会の中での役割でした。
しかし、近年は、同業者があふれかえる中で、新たな価値提供を考えるフェーズに来ています。

跡継ぎ・後継者は、そういった状況を察知しているにもかかわらず、動きが取れないことも多いようです。理由は二つ。一つはどう変化させていいかがわからないということ。もう一つは、変化させようとすると、そこへの抵抗が起こることです。
この二つの壁を、どう乗り越えていくかを考えてみましょう。

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サナギは蝶になる計画書を作れない

会社の未来は誰も予想がつかない!?

親から引き継いだ会社、今のままではだめだ。そう思っている跡継ぎ・後継者の方は多いと思います。じゃあ、どうすればいいかというと、それもなかなか思いつかない。とにかく毎月の業績は伸ばさなければならない、というプレッシャーもあるので結局日々の業績に一喜一憂。いつもと同じことを、いつもよりたくさんやることで、なんとか会社の成長をさせえている。そんな状況にある後継者の方、結構多いのではないでしょうか。

もちろん、それで少なくともあと10年、20年単位で、会社が伸びる、もしくは大きく衰退することはない、と考えられる状況ならそれでいいと思います。しかし、きっと多くの跡継ぎ・後継者は、一抹の不安を感じているのではないでしょうか。自分が引退するまで、今のままではもたないんじゃないか、と。

だから、何かしなきゃならないと思うのですが、特別なアイデアも思いつかないので、ついついいつもの仕事の中に埋没してしまう。そうやって日々が過ぎていき、自己嫌悪に陥る。挙句の果てには、「自分には経営の才能はないのでは…」なんていう風に自分を責め始めたりします。それって、結構しんどいですよね、精神的に。

ところで、先日たまたま100均ショップのダイソーに行く機会がありました。何気なく看板を見ると、Since1977とありました。比較的新しいビジネスモデルという印象を持っていましたが、結構歴史のある会社なんですね。そしてその経緯を見てみてびっくりです。

まず、創業者は奥様の家業であるハマチ養殖業を継いで失敗。そののち、職を転々としつつ、移動販売業を始めます。そしてあまりに忙しく働く中で、値札をいろいろ付け替えるのは大変ということで、すべて100円均一にしたそうです。しかしはじめは「安物買いの銭失い」とお客さんからバカにされる日々でしたが、良いものを100円均一で売るととたんにお客さんの反応が変わることに気づきました。そしてこのお客さんの反応を全国に広げようということで、多店舗展開を一気に進めたそうです。

そして、ダイソーを世の中になくてはならないものに育てよう、とここまで頑張ってきたそうなのです。

創業者の矢野社長は、移動販売業を始めた時点で今のような会社になることを予測していたでしょうか。おそらく、そんなことはないと思います。ほかにやることがなかったから移動販売を始めた、というのが現実でしょう。そして、ほかの人がやらなかった、「全部の値札を100円に統一しよう」というちょっとした思い付きがきっかけで会社をここまで伸ばしたのだと思います。100均ショップの成功は後付けで、さまざまな人が解説していますが、スタートはちょっとした思い付きだったのではないでしょうか。

成長はどの方向へ進むのかがわからないもの

野心の大きな経営者なら、初めから世界に通用する会社を作ろう!という思いで会社を始めることもあるかもしれません。しかし、実は成長する会社の多くは、先ほどのダイソーのように、今ある環境の中でもがいた中のほんのちょっとした工夫が大きく結果を分けることになった、というケースが多いのではないでしょうか。

たまたま最近読んだ本の中で、天外伺朗さん(元ソニーの役員で、CDやAIBOの開発に携わった方)がこんなことをおっしゃっていました。

サナギが自分の未来への目標を定めるとしたら、どんな目標や計画を作るでしょうか。きっと、彼らは自分が蝶に変態することを予測できないから、サナギとして良くなることを計画したり、目標にしたりするだろうね、というのです。たとえば、バカでかいサナギに成長するとか。はたから見れば笑い話かもしれませんが、私たちが考える目標も実はそんなものかもしれません。ダイソーの社長が移動販売をしている時の目標は、きっと今日の売り上げが昨日よりも高くなることだったと思います。その時点で、100均ショップで全国制覇なんて、考えてもいなかったでしょう。

つまり、可能性として、私たち自身はもちろん、私たちの会社も、ある時何かがきっかけで今からは想像もできないほど成長する可能性はあります。そこへ向かう道筋は、今の私たちにはわかりませんが、絶対にそこへ行けない道だけははっきりしています。それは、同業他社の真似をし続けることなのではないでしょうか。なぜなら、他者と同じことをやっていては、同じフィールドでの小競り合いの中で埋没してしまうからです。

時間がなくて面倒だったので全部の商品を100円にした、というわりと軽いニュアンスの決定や工夫。これはきっと当時他に誰もやっていなかったことでしょう。つまり、「自分の頭で考えて」試した結果、「安物買いの銭失い」といわれ、良いものを100円で売り始めた、という道をたどって今があるわけです。

跡継ぎ・後継者が今やるべきことは、小さな工夫を一つでも、二つでも、できる範囲でやり始めてみる。これはきっと、会社の未来のイノベーションの種になるはずです。

HG-FotografieによるPixabayからの画像

跡継ぎ・後継者が受ける抵抗

結果に固執してはいけない!?

跡継ぎ・後継者が何かを思いついたとします。そしてそれを実行に移そうとしたとします。するといろんな抵抗があるでしょうし、反発もあるでしょう。先代である親はいい顔をしないかもしれないし、古株の社員だって、そんなことしたって無駄だ、とあなたを説得しようとするかもしれません。そういった反発を受けると、私たちはどうしても感情的になりがちです。自分は会社のことを考えていってるのに、誰もそれに協力しようとしないとか、これをやらないと会社の未来は真っ暗なのに、誰もわかっていないとか。それは私たちにとっては厳然たる事実なのでしょうが、相手にとってはそれをどれだけ伝えても動こうとしません。

相手が動かないとなると、跡継ぎ・後継者である私たちは、そのアイデアに余計に固執し始めます。はじめのうちは、「こんなことをやればいいかもしれない」なんていう程度の思い付きだったのですが、それを試すことができなくなると余計に気になるものです。たとえて言うなら、いつか買おうと思っていたものが、売り切れになったのを知って無償に我慢ができなくなる状態によく似ています。そうすると、自分のアイデアを採用する、というひとつの結果に固執し始めて、結局そのことが頭から離れなくなります。

Alexas_FotosによるPixabayからの画像

そうなると私たちは、自分の考えの柔軟性を失い、相手の自分の考えに従わせようと以上に固執するようになってきます。それが原因で、会社を飛び出したり、社内で浮いてしま後継者、結構いるんじゃないでしょうか。私たちにはリーダーとしてのプライドもありますから、自分の言った通り先代や社員を動かしたいという思いが強いのはよくわかります。(私もそんな思いを長く抱えていた経験もあります)しかし面白いもので、人は支配しよう、支配しようと思うと、支配されてくれないのですが、その手綱を緩めると急に距離が近くなることもあったりします。こういう時に、いったん、自分の考えを「強制するためにはどうすればいいか?」ではなく、「自分の言うことに従いたくなるにはどうすればいいか?」を考えると妙案が出てくることがあります。

ある企業が起こした小さな変化

株式会社メカという会社があります。この会社が、経営コンサルタントである神田昌典氏の著書に何度も出てきます。この会社、飲食店で使うフライヤーの油のろ過機を製造販売している会社です。もともとろ過の品質を売りにしていたのですが、ライバルも増えてきて、だんだんとビジネスが難しくなってきた時期があったそうです。この時に、二代目経営者となった大城洋美氏は、この油ろ過機が導入企業の従業員を守る、ということに気づいたといいます。具体的には、営業が終了した深夜に、まだ熱い油をバックヤードに運んだりする作業が必要であったものを、この会社の製品は自動ろかという形で移動作業をなくしています。これは利便性ということだけでなく、熱い油を運ぶことによる従業員の労働災害の防止、さらにはこの作業を嫌がるアルバイトが辞めていくことを防止する効果もあることに気づかれたそうです。

これまでの、ろ過品質にくわえ、飲食店経営者に対する数々のメリットは、別次元でこの会社の製品の差別化に寄与して、業績はV字回復したといいます。この事例、商品を変えることなく、商品の持つ波及効果をしっかりと自覚し、セールスポイントのつかえ方を変えただけでこれだけ会社が変化していきました。このようなことをきっかけに、大城社長の個性がうまく社内に浸透しているいい事例だと思います。もう少し付け加えると、大城社長の素晴らしいところは、ついつい親から受け継いだ会社に「何かを足そう」「何かを刷新しよう」という思いを持ちがちなのに対して、いますでにあるものに着目し、そこに新たな光を当てたことではないかと思います。

跡継ぎ・後継者が、会社を変態させようとすると、どうしても大きく鉈を振るうことが多いと思います。ただ、一見小さなこと。例えばこの事例のように、商品のとらえ方の角度をほんの少し変えるだけでも会社が変わるきっかけになります。この会社は、油のろ過機のメーカーから、飲食業界の従業員を労災から守る会社という一面も加わったのです。今後の展開のバリエーションが増えたことは間違いないと言えそうです。

詳しくはこちらに日経MJの記事があります → こちら

大事なのは小さな工夫の積み重ね

親の代から会社を預かった跡継ぎ・後継者として、自分としての成果を生み出したい、という思いを持つ人は多いと思います。それは、親のやっていた仕事に自分の仕事を上乗せしても、自分たちの手柄になりにくい、という部分とつい関連性があるように思います。だから、どんどん新しいものを会社に入れ込もうとしがちにはなります。それは、悪いことではないですが、社員たちの拒否反応をおこしたり、すでに会社が持っているリソースを使いきれなくなったりするデメリットもあります。

もちろん、前半でお話ししたとおり、親のやっていたことに単純に仕事を積んだところで、時代から少しずれてきていて修正が必要なこともあります。

だから、跡継ぎ・後継者が何をすべきかは、会社のステージや状況によって変わってくると思います。ただ、どういった形であれ、何か大きな大手術を一気に行うというよりも、小さな改善、小さな工夫を積み重ねていくのが、もっとも現実的なのではないかと思います。そして大事なのは、その工夫は自分で、あるいは社内で、ちゃんと考えたことである、ということが大事だと思います。一番残念なのが、同業他社の真似。もしまねをするなら、せめて異業種の真似をすべきだと思います。なぜなら、異業種の事例はそのまんままねすることができないので、多少なりとも考える、という動作が必要になるからです。

答え合わせ

さて、ここでまとめとして、冒頭の問いの答え合わせをしておきましょう。
初めにこういいました。

一つはどう変化させていいかがわからないということ。もう一つは、変化させようとすると、そこへの抵抗が起こることです。

一つ目の、どう変化させていいかわからない、ということに関して言えば、大きなことを一気にしなくていい、ということです。
日頃のなかでの小さな気付きを大切にし、それを実行していく。
きっとそれなら誰でも心がけ次第で、できるはずです。
いきなり大きな変化を興そうと考えるから「何をやっていいのかがわからなく」なるのです。サナギが蝶になれると知ったとして、「どうすれば蝶になれるのだろう?」と考えても何もわからないのと同じです。ただ、今できることをコツコツやるだけです。
そういったことの積み重ねが、どこかのタイミングで何かしらの触媒と触れ、一気にスパークすることがある(かもしれません)。
まあ、ここは「偶然」という要素も多分にあるかと思いますが、大事なのは小さな変化を見逃さない、ということでしょう。

小さなことを始めたら、しっかりとその結果何が変化したかをしっかり五感で感じ取ることが大事だと思います。
その変化を体験した時、さらに一つ次元が上がったところでの気づきなり、工夫が思いつくはずです。
小さい工夫をやって、その効果に目を凝らす。

 

二つ目の、変化に対する抵抗については、もう答えは明らかです。
一つ一つの変化は小さなものだから、抵抗も小さいのではないでしょうか。
例えば製造業で、生産ラインを一から見直すとなれば、反対も多いでしょうが、小さな工程一つの見直しなら「やってみて考えよう」という落としどころに至る可能性は高いでしょう。
一気にやるのではなく、小さく積み重ねる。
それが一定の閾値を超えた時点で、グッと加速し始める可能性は高いと思われます。

結論めいた話をするならば、考えて考えて、実行できないよりかは、ちょっとした思い付きを可能な範囲で形にしてみましょう。
それで、半歩前進すれば、違った景色が見えるはずです。
その次の半歩は、今からは想像できない半歩になっているのではないでしょうか。

 

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