ある二代目経営者とお話ししました。
彼は古くからの友人でもあります。
彼は悩みも多く、社員は次々と病気で倒れ、社内は殺伐としているそうです。
先代は最近は社内の影響力を弱めたとはいえ、未だ会社に来れば言いたいことを言う。
「問題山積なんです」
という彼の話を聞いて、あれっ?と思うことがありました。
彼の話の内容が、どこか他人事のようなのです。
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相談の主を、仮にK君としましょう。
K君は言います。
「いやぁ、大変です。番頭のAさんが、事務社員の話をちゃんと聞かないんです」
「そうそう、専務のBさんは、ちょっと考え方が極端で・・・」
なるほど・・・と私。
で思いつくことをいくつかアドバイスしました。
二代目であるK君に。
するとK君は言います。
「そうですよね。僕もそう思うんです。
番頭のAさんがそうなったくれたら・・・」
私はさらに言います。
そうなんだ。
で、K君としては、こうすれば?
K君は答えます。
「そうそう、そうなんですよ。僕もそう思います。
専務のBさんがそれに気づいてくれれば・・・」
ここでは繰り返しませんが、延々とこれを繰り返します。
私は、K君のふるまいについて話をしています。
しかしK君は自分では何もしない。
何も変化しようとしない。
すべて、自分ではなく番頭や専務や誰かがそうなるべきだ、と。
きっと無意識にこれを繰り返しているのでしょう。
これって、会社がうまくいかないのはすべて他人の責任。
自分は傍観者として、「だめだめ、そんなんじゃだめ」と心でつぶやくだけ。
それで会社がよくなるか。
悩みが解消できるか。
・・・んなわけあるはずがないですよね。
自分は安全地帯に引きこもってる。
でもって、指図さえしないんですよ。
安全地帯から指図だけするって、ちょっと嫌ですよね。
それでも、指図という主体的な行動がある分まだましです。
K君は自分が責任を負う指図さえしない。
誰からも嫌われたくないし、責任も取りたくない。
そう言ってるように思えてなりません。
何の責任も持たず、心の中で評論だけしてたって事態が好転するはずもなく・・・。
『成長マインドセット』(吉田行宏)という本に面白いワークが紹介されていました。
今ある悩みというか、会社が理想的な場でない責任割合をこたえてくださいというもの。
本の中では、
役員( )%
リーダー( )%
スタッフ( )%
自分( )%
という区分でした。
二代目の方や後継者の方はこんな感じで替えてみてもいいかもしれません。
先代( )%
番頭( )%
スタッフ( )%
自分( )%
こうやって、全部で100%になるように、問題の責任を振り分けていく。
で、この責任というのを、「当事者意識」という言葉に入れ替えてみる。
あるいは、件のK君なら、自分の責任割合(当事者意識)は相当低いかもしれません。
それはつまり、自分でコントロールできないところに責任を求めていること。
結果として、何一つ変わらない、という現実が現れます。
こうやってK君の話を俯瞰してみると、バカバカしい話に見えるかもしれません。
他人事だとそれがわかるのですが、自分事になると気づかないこともある。
人の振り見て我が振り直せ・・・ではありませんが、人のふるまいを一度自分に当てはめてみてください。
そうすると、今まで気づかなかった問題の根っこが見えてくるかもしれません。
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