できるできないで決めるか、やりたいやりたくないで決めるか

親の後を継ぐ後継者の多くの方が、訴えるのが経営に対して「自信がない」という言葉を発します。
そりゃあ、やったことのないことですし、それを相談できる友だちがいるかというと、なかなかいないと思います。
自信がないのは当たり前です。

しかし改めて考えてみてほしいのですが、あなたはこれから「できることだけ」をやって生きていくつもりですか?

 

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なぜ「できる」気がしないのか

進歩のない人生

正直に告白すると、私自身、あまり未知のことへのチャレンジは得意なほうではありません。根が臆病で、失敗を人前でさらすことが大嫌いなので、新しいことを始めるには相当躊躇しがちです。
子供のころ、少年野球をやっていて、補欠のうちは気楽でよかったのですが、セカンドの守備で試合に出ろ、といわれた時は本当に嫌でした。

そんな私ですが、子供のころから考えると、半強制的にいろんなことに挑戦せざるを得ないシーンをいくつも経験してきました。学校の勉強はどんどん難しくなるし、体育の授業ではやったことのないことをやらされる。高校の時初めてバレー部に入部しましたが、やったことのないレシーブとかトスとかには、ずいぶん苦労させられました。

それでも、一つ一つやってきて、一つ一つクリアしたからきっと今の自分があるのだと思います。子供のころは、新しいことへのチャレンジがほぼ強制的にやってきましたから、いやいやながらもそれをこなすことで、少しずつでも成長してきたのだ、と今振り返れば思うわけです。

社会人になったらどうでしょうか。この時点でもおそらく、いろんなチャレンジが待ち受けています。初めて会社の電話に出るとき、はじめて取引先の人と名刺交換をするとき…いろんなはじめ手をクリアして、人生というゲームはほんの少し前に進みます。会社の電話に出たことのない昨日の自分は過去の人で、今の自分は電話に出たことのある人に変身するわけです。

もしこの「初めて」の体験から逃げ続けているとどうなるか、というと、永遠に、できない人でい続けることになります。つまり、進歩のない人です。

誰もが通ってるから自分もできるという感覚

では、誰もが会社の電話を取るし、誰もが名刺交換ぐらいはします。はじめはちょっと緊張したり、いやだったりするかもしれませんが、それは次第に当たり前になっていきます。きっと私たちはそのことを知っているから、自分にもできるであろうと知っているから、いやいやながらもチャレンジします。

では、経営に関しては、なぜとてもじゃないけどできそうにない、と感じてしまうのでしょうか。それはたぶん、身近にそれをうまくやっている、自分と同レベルの人を知らないからかもしれません。さらにいうなら、初心者が経営者として成長する姿をまじかで見ることがないからじゃないでしょうか。

私たちが目にするのは完成形の経営者で、あの人はきっと初めからあんな感じだったと思い込んでいるのではないでしょうか。私たちは完成形のあの人と、未経験の自分とを比較するしかないのです。そして最も身近な完成形というのが、先代たる親なのではないでしょうか。何十年も経営者として君臨し、しかも、子供のころから敬うべき存在としてもいこまされてきた私たちにとって、あまりにも遠い存在にしか見えません。

Einfach-EveによるPixabayからの画像

「自信がない」という言葉の裏にあるもの

スケープゴート

親が経営者である場合、その子供は性格上ある特徴を持っているケースが多いと思います。それは、完璧主義である、ということです。完璧主義という言葉に「ん?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。もう少し具体的に言うと、間違うとか、失敗するとか、そういったことがとにかく嫌で、さらに言うなら、それを人に悟られるのが何よりも恥と考えがちな人を言います。

後継者の立場にある方は、何かを始めるときには入念にチェックし、調べ、石橋を叩いて渡る傾向を持っている人が多いのではないでしょうか。

こういった慎重にミスや失敗を犯さないように日ごろから気を張っている後継者ですから、常に何かがあった時の保険を持っておきたい傾向があります。経営に関して自信がない、という感情は、こんな理由で出てきます。
自信満々でやっていてうまくいかなかったら恥をかく。だから、自信がないからいやだ、といっておいたにもかかわらず、後継者として経営の手綱を引いてほしいという要請があったから、仕方なく引き受けたんだ、という言い訳ができる状況を周到に作っているのです。

まあ実際に経営がうまくいかなくなった時、そんな言い訳が成り立ったところで現実世界では何の意味もないのですが、実は人間というのはそういう風に非合理にできていて、現実との整合性よりもむしろ、自分の心理的な納得感のために無意識に行動する傾向が強いのです。

人は自分をだます天才です。そして、自分をどうだますのかといえば、「慣れ親しんだ今までの場所から出ない」ように仕向けるのです。
なぜならば、今までの場所にいれば、ひとまず安全です。今までその場所で生きていて、今まで生き永らえたという現実があります。しかし、今の場所を一歩踏み出すとそこは未知の世界です。未知の世界にはどんな危険が待ち受けているかわかりませんから、人の無意識はそんな道の場所に踏み出さないように、巧妙に自分をだますのです。

このケースでは、自信がないという感情を湧き上がらせて前に進ませないようにしたうえで、かりに前に進んだとしても、自分のせいではないという状況を自分の心の中に作り出し、自分が傷つかないように守ってくれているわけです。

それでも前に進み始めるとき

自信がない、という状況でも人は前に進む時があります。その一つは、前述の通り、誰もがやっていて、誰もができている状況の時。この場合は、みんなできているんだから、自分もできるはず、という意志の力で自信のなさを押さえつけることができたりします。

もう一つあるのは、強い思いがある場合です。たとえば、学生時代を思い起こしてみてください。好きな異性がいたとして、必ず付き合えると思って告白をしたでしょうか?まあ慎重な人はそういう確証がなければ告白しなかったという人もいるでしょうが、どうしようもない気持ちになった時、玉砕覚悟で告白した経験のある人も多いでしょう。ダメ元というやつです。

異性関係のみならず、ダメ元で行ってみよう、ダメもとでやってみよう、そんなことは日常でもあるのではないでしょうか。この時に心の中で何が起こっているかを考えてみると、きっとだめだろうな、というきもちに今すぐ何とかしたいという気持ちが勝っている時ではないでしょうか。

経営でもほかのことでもそうなんですが、自信がない、という状態を乗り越えるのは「やりたい」という気持ちです。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

どんな気持ちで親の会社を継ぐのか

やらされ仕事とやりたい仕事

ここで大事になってくるのが、「やらされ仕事」でやっている以上は、永遠に自信のなさからは逃れられない、ということです。
そもそも自信がないから…と動くことをためらっている後継者は、おそらく「親の会社の仕事が好きで好きでしようがない」というタイプというよりも「親が商売やっている以上は、自分が継ぐのが当たり前でしょ」という気持ちで今の立場にいる方が多いのではないでしょうか。

あからさまにやらされ仕事とは言わないまでも、「頼まれたからやっている」「親の顔色を見てきた結果、今の立場にいる」「親孝行と思ってやっている」という方、結構多いんじゃないでしょうか。これ、自分軸で決めたというより、親という他人軸で今の立場についているという前提になりそうです。

広い意味でいうとやらされ仕事なんですね。

で、やらされ仕事である以上は、今の自信がないを乗り越えたところで、永遠に何かしら自分にストップをかける思いが沸き立ち、その都度、歩みを止めたり、辞めたくなったり、という思いから逃れられないんじゃないかと思います。
大事なのは、親や周囲のために会社を守る、という考えを取るよりむしろ、自分が自分の人生を充実させるために会社を預かるというメンタリティに至る必要があるのではないでしょうか。やらされ仕事から、やりたい仕事へ後継者という役割を変えていく必要があります。

生きがいを感じるためのチャレンジ

さて、人の無意識は、「自信がない」とか「怖い」とかいろんな感情を駆使して未知の世界を見させないように私たちを引き留めます。ただ一方で、たとえばドラクエやファイナルファンタジーのようなゲームを人はなぜやるのでしょうか。難しいし、時間もかかるし肩も凝る。何時間やっても金銭的報酬があるわけでもない。仕事はお金がもらえる分、まだマシな感じです。

なぜそういったゲームを人がするのかというと、キャラクターに同化し、その成長を見るのが楽しみ、と感じている人は多いのではないでしょうか。難しいけどできないわけではないレベルのゲームをステップバイステップでクリアしていく。ゲームにおけるキーワードは成長だと私は考えています。

つまり人の根源的な欲求の中に、成長したい、という思いが組み込まれていると考えられます。ゲームにおいてはリスクがないのでどんどん進めますが、人生においてはリスクがあるので進むのに躊躇します。しかし、大事なことは、難しいところへ飛び込まなければ、ゲームも人も成長はありません。

後継者という立場も、会社経営も、人生も、自分という物語を紡ぐゲームと考えたなら、未知の場所へ飛び出し、成長することがその世界観を最大限楽しむコツではないでしょうか。

実は、幸せを生涯の研究テーマとした、ミハイ・チクセントミハイ博士はまさにそういった適度なチャレンジが心理的に幸せな状況を作るといっています。

まとめ

私達は「自信がない」という言葉や感情で、自分の心が傷つかないように守っている状態と言えます。
この「自信がない」という状況を脱するには、やってみるか、完全にその場から立ち去るかのどちらかではないかと思います。
もし、やってみる、という選択をするなら、やらされているというメンタリティを脱することが、自信がない病克服の最大の一手と言えるでしょう。
逆にその場から立ち去った場合、その場はホッとすると思います。
ただ可能性としては、違う形で同じような問題が追いかけてくるんじゃないかと思います。

何かのかたちで、けじめをつけざるを得ないのだと思います。

幸せは適度なチャレンジの先にある、とチクセントミハイは考えているようです。
不安で足がすくむことに対してチャレンジを行うと、きっとそれは幸せに出会う一歩になるのではないかと思うのです。
そう考えたときに、自信がないからやるとかやめるとかいう風に考えるのではなく、やりたいかやりたくないかという自分の内側にある基準に従うのが健全な気はします。
なぜなら、足がすくむことにあえて飛び込むには、やりたいというエネルギーが必要だからです。
そしてそのエネルギーのある所に進まなければ、きっとどこか味気ない人生で終わるのではないでしょうか。

親の会社を継ぐというのは、職業選択ではない、と私は思っています。
ある意味生き様の選択ではないでしょうか。
そう考えたとき、決めたときはまあ空気に流されて決めたとしても、あとからでもそれなりに意味のあった選択にしたいものです。
そのために自分がやりたいことは、自信の有無で選ぶことの内容にしたいな、と個人的には思いますがいかがでしょうか。

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