後継者がたどる3つの段階

私が このブログを始めたころ、
中小企業の事業承継がうまくいかないのは、
創業社長・先代の問題であると思っていました。

彼らが、その座を譲らないからうまくいかない。
むしろ、どんな形であれ、彼らが経営を手放せば
うまくいくものだと考えていました。
しかし、最近の相談事例を見ていると、
どうもそれだけでは解決しないことも多いように思います。

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ある時期、わたしはこう語っていました。

中小企業が事業承継を成功させる方法。
それは、ある日突然先代が後継者の前から姿を消すことである。

まあ、確かに極端です。
しかし、そういった混乱の中で、後継者はいやおうなく一人前になる。
いつかやってくる問題ではなく、
すべての目の前の案件が緊急事態。
次から次へと降りかかってくる問題は、
後継者にとっては初めて触れることばかり。
先代は当たり前にこなしてきた通常業務が、
後継者の目には、非日常の業務の連続。

日頃こなしている先代は、その匙加減を経験から知っています。
だから、危険度のアラームは比較的緩め。
しかし後継者にとっては、匙加減なんてわかるはずもない。
毎日、24時間、頭の中のアラームはなりっぱなし。

そりゃあ大変です。
しかし、徐々に慣れてくる。
やってみて、結果を見て、もう少しゆとりを持っても大丈夫だとわかる。
そうなり始めると、後継者は経営者となり始めます。
ほんの少しだけ心に余裕ができると、情報を集め始め、
もっといい方法はないのか?と探り始めます。
それが落ち着いたころ、事業承継は完了。
そんな風に評価されるのでしょう。

この方法は、劇薬ではあります。
しかし、あながち間違いではない、と今でも思っています。
ただ、今私が考えていることは、当時と少し違ってきています。

 

事業承継の問題は、代を譲ろうとしない先代に問題がある。
私はずっとその考えを中心に持ってきました。
ですから、解決策としては、
いかに先代が会社以外のところに生きがいを持っていただくか?
というのがテーマでした。

しかし現実はそう簡単ではない。
なぜなら、そこには覚悟の定まらない後継者の存在があることがよく分かったからです。

後継者が口にする悩みは、今私が認識している範囲だと、2つのフェーズがあります。
第1フェーズは、少し厳しい表現をするなら、自覚の欠如です。
自分に経営者が務まるか心配。
会社の将来が不安。
親の会社の仕事が好きになれない。
若い後継者の場合、こういった訴えは多い。

その背景には、自分で積極的に後継者としての道を選んだケースは意外と少ない、という現実があります。
自分は長男だから。
親を放っておくわけにはいかない。
物心ついたころには継ぐものだと思い込んでいた。
などなど。
これ、世間では立派に見えるかもしれませんが、積極的に選んでないんです。
状況から”仕方なく”継いだ、という言い訳をしているにすぎません。

自分がやる、と決めていないから、二つの間を考えが揺れます。
長男だし、親を放っておくわけにはいかないし、そういうものだと思っている自分。
そして、これは本当に自分のやりたい事じゃないと思っている自分。
やると決めていないので、不安ばかりが目の前に現れます。
逆に、もうほかには道はない、と覚悟を決めれば
「どうすればうまくいくか?」を考え、情報を集め始めるのに、
決められていないから、不安で動けなくなってしまいます。

第二フェーズは、逃避・攻撃です。
辞めたい。
独立したい。
親を会社から外したい。
といった話から、
先代を許せない気持ちが強くなってきたり、
先代を恨んだり、自分の立場を恨みます。

この時期に特徴的なのは、
〇〇だから、××しなくてはならない。
という言い回しです。

ここでも決断を避ける傾向が出てきます。
辞めたいならやめればいいし、独立したいなら独立すればいい。
親を会社から外したければ、法的な措置をとればいい。
本気で決断すれば、その方法を模索するはずです。
しかし、実際にはそこまでの行動を起こさず、心の中で悶々とする。
親にその意向さえ話さないのです。

いやいやそうはいっても、
親は聞く耳を持たない。
そんなことをしては世間体が。
自分の立場が。
そんな風になり、動けなくなってしまう。

これらの根底にあるものは、
リスクをとってでも決断し、
行動することを避けている現実があります。

(あ、こんなことを言われたからと言って、
いきなり辞表を出すなんて言い出さないでくださいね。)

その理由はシンプルで、本当の意味で”自分は”どうしたいのかがわかっていないのです。
自分がどうしたいかわからないのには、さまざまな理由があります。
その一つが、子は親の生き方をコピーして大人になる、ということが言えるでしょう。
良くも悪くも、親の価値観の中で子は生きていくのが普通です。
しかし、それは後継者の本心でないことも多い。
それを開放しなければなかなか本当に自分が望むことは見えてこない。

これはある日突然の出会いでわかることもあれば、
じっくり時間をかけないとわからないこともあるでしょう。

いずれにせよ、先代が変わらなくとも、
後継者が変われば見える世界は変わります。
後継者が変われば会社も変わります。
実は、今持っている憤りの正体は、
後継者という立場からもたらされるものでもなければ、
親による自分らしい経営への妨害によるものでもない。
さらに言うなら、仕事があるとか合わない問題でもないことが多い。
自分が本心から決めていないことに原因があるように思います。

そして、第三のフェーズ。
ここで枝分かれがあります。
ここに到達する人は、さまざまな問題を乗り越え、
自分の在り方、決断を行っていきます。
仕事に楽しみを感じ、生きがいとさえなっていくでしょう。
しかし、ここまでたどり着けずに終わる人もいます。
第二フェーズまでで、自分の本心が心の奥底に隠れたまま引っ張り出せなかった人たちです。
この場合、延々と「何かが足りない」という思いを持ち続けるのかもしれません。

 

今あるモヤモヤを打ち破るには、自分の殻を飛び出す必要があります。
その結果、何が起こるのかはわかりませんが、
少なくとも今の延長線上を生きることと比べ、
何かのきっかけをつかめる可能性は高まるでしょう。

そのためには、今ある人間関係、今ある状況から離れたところで、
多様な価値観に触れることも大事です。
人の生き方は人からしか学べません。
ぜひ、違う世界をのぞく努力をしてみてください。
きっと何かのきっかけがつかめるはずです。

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