後継者の多くは、悩みを抱えています。
しかし、その悩みはどこからやってきて、どうつながっているという感覚が今一つ明確でない、という感じはないでしょうか。
どこかつかみどころのない感じがするから、解決へ全力を尽くそうとしてもその力が逃げてしまいがち。
もし、そんな印象を持っているとすれば、今日のお話は少しは参考になるかもしれません。
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Contents
後継者の悩みを5つの視点で見てみると・・・
後継者がもちがちな悩みや不満
家業を継ぐ後継者の悩みってどんなものがあるでしょうか?
・先代である親のふるまいがウザい
・何かやろうとすると、親が口を出すからいやだ
・親である先代は「〇歳になれば引退する」と言いつついつまでも引退しない
・何かといえば、「後継者が成長していない」と自分のことを低く扱う
・後継者である自分にまかせた、と言いつつ自分に何の相談もなく重要なことを親が決める
・従業員は自分のいう事を聞かず親のいう事を優先する
・社内の風土を変えようと思うと、先代の鶴の一声で元に戻る
・お金に関して、親が財布を握っていて不自由(お金の使い方の感覚が会わない)
・すぐに親が感情的になる
・毎日いうことの変わる親の言葉に振り回されている
・将来の事業に不安
・自分が経営できるか不安
・自分の仕事の能力に限界を感じる
・家業の職種は自分に合わないと思っている
・従業員が自分のいう事に従わない
・取引先や金融機関が自分より親を優先する
・・・などなど。
まあ、挙げればきりがありませんが、この辺りはたぶん多くの後継者が深くうなずきながら読んでいただいてるんじゃないでしょうか。
後継者の持ちがちな悩みを5つの視点で整理する
では、この問題を5つの視点で見てみましょう。
①後継者と親の人間関係の問題
②後継者と親以外の人との人間関係の問題
③会社や事業の問題
④親の問題
⑤後継者自身の問題
悩みの内容 | ①後継者と親の人間関係の問題 | ②後継者と親以外の人との人間関係の問題 | ③会社や事業の問題 | ④親の問題 | ⑤後継者自身の問題 |
先代である親のふるまいがウザい | 親の行動と後継者の感性があわない | ※親は恐らく不都合を感じていない | 親の行動を受け入れられない | ||
何かやろうとすると、親が口を出すからいやだ | 口を出したい親と出されたくない後継者の行動の不一致 | ※親は恐らく不都合を感じていない | 口出しする親をスルー出来ない | ||
親である先代は「〇歳になれば引退する」と言いつついつまでも引退しない | 周囲は振り回されがち | ※親は恐らく不都合を感じていない | 後継者は振り回されている | ||
何かといえば、「後継者が成長していない」と自分のことを低く扱う | 後継者としてはもっと自分を尊重してほしい | ※親は恐らく不都合を感じていない | 後継者としては自分が尊重されていないむなしさを感じる | ||
後継者である自分にまかせた、と言いつつ自分に何の相談もなく重要なことを親が決める | 後継者は不都合を感じている 確執の原因となりがち |
※親は恐らく不都合を感じていない | 後継者としては自分が尊重されていないむなしさを感じる | ||
従業員は自分のいう事を聞かず親のいう事を優先する | 従業員はもっと自分を尊重すべきと後継者は考えている | ※親は恐らく不都合を感じていない | 後継者としては自分が尊重されていないむなしさを感じる 親は自分をサポートすべきと感じる |
||
社内の風土を変えようと思うと、先代の鶴の一声で元に戻る | 後継者としては邪魔をしてほしくない | 従業員は、後継者に従うべきか先代に従うべきか迷う | マネジメント手法が統一されず振り回される | ※親は恐らく不都合を感じていない | 後継者としては自分が尊重されていないむなしさを感じる 親は自分に従うべきだと感じる |
お金に関して、親が財布を握っていて不自由・お金の使い方の感覚があわない | 後継者としては、もっと自分の自由にやらせてほしい(見られたくない) | お金周りの戦略が明確化しない | ※親は恐らく不都合を感じていない | いちいち親にお金の使い方を説明すると、反論されたりイヤミを言われるのは嫌・自分を認めてほしい | |
すぐに親が感情的になる | 後継者としてストレスを感じるので、感情的にものを言わないでほしい | ※親は恐らく不都合を感じていない | 親の怒鳴り声にビクビクしている | ||
毎日いうことの変わる親の言葉に振り回されている | 振り回されてる | 振り回されている | ※親は恐らく不都合を感じていない | もう親に従うのはウンザリ? | |
将来の事業に不安 | ビジネスその物の変革が必要 | ※親は恐らく不都合を感じていない(今までの延長で何とかなると思っている、あるいはそれ以外の視点はない) | 不安を感じつつ動けない A:親が動きを制限するから or B:自分として思った道が見えないから |
||
自分が経営できるか不安 | ※親は恐らく不都合を感じていない | 社内は親が作ったブラックボックスがある | |||
自分の仕事の能力に限界を感じる | ※親は恐らく不都合を感じていない | 自信がない | |||
家業の職種は自分に合わないと思っている | ※親は恐らく不都合を感じていない | 他の仕事ならうまくできるはず・・・? | |||
従業員が自分のいう事に従わない取引先や金融機関が自分より親を優先する | 従業員は親に従っておいたほうが無難と考えている? | ※親は恐らく不都合を感じていない | 従業員は親に従っておいたほうが無難と考えている? | ||
取引先や金融機関が自分より親を優先する | 取引先は、先代を信頼している | ※親は恐らく不都合を感じていない | 取引先は、先代を信頼している。ならば先代は自分を尊重させるよう指示すべきでは?と思う |
後継者は常に当事者
なぜ親は「不都合を感じていない」のか?
大きな表を作りました。
中身的には、納得できる部分もあれば、できない部分もあるかもしれません。
それでもまあ、一度は受け入れてみて、やっぱり違うと思うなら、この先は読まなくても結構です。
この表は、後継者の視点で認知した、後継者の悩みとそれが関連する人や組織との関係性を考えてみた表です。
ここで非常に目に付くのが、親の視点。
たぶん、先代である親は、ほとんどのことに関して何ら差し迫った不都合は感じていません。
親子の確執、なんてことが起こっても、親が割と平気な顔をしているように感じられるとしたら、きっとその理由はここにあります。
親は、後継者が自分の考えを受け入れてないであろうことは察していると思いますが、そのことに対して取り立てて不都合を感じていないように思えます。
このブログ内では何度も語っていますが、親は自分でも気づかない心の奥底では会社を譲りたくはないからです。
深層心理では、今まで通りの形で仕事がしたいのです。
だから、後継者がうまく社内に溶け込めなかったとしたり、能力や資質の不足を感じたとき、心配はするかもしれませんが絶望はしません。
何かがあれば自分の生きているうちは、自分が会社を切り盛りしていくという覚悟を持っているからじゃないかと思います。
後継者の悩みが解決しない本当の理由
後継者の悩みをそこそこ抽象的に表現すると、
①親が自分の思うように動いてくれない、サポートしてくれない
②周囲の人が自分を尊重してくれない
③自分の能力や行動に自信が持てない
という三つに集約されるのではないかと思います。
ここに後継者特有のむずかしさがあるのですが、後継者の心の奥底には「好きでやっているわけではないけど、親の顔を立てるために親の会社に入社した」という思いがあるのではないでしょうか。
自分のためにやっているというより、親や、会社のためにやっている、という感覚です。
この感覚はすなわち、自分の責任回避を創り出します。
だから
「親が(悪い)」
「周囲の人間が(悪い)」
と、他人の行動に対することに悩みます。
本来なら、社員がついてこないならば、どうすれば社員がついてくるかを考え、学ぶのが一般的です。
自分の問題としてとらえるべきところを、たまたま目の前に親という目立つ存在がいて、スケープゴートにできるわけです。
親は子である自分が後継者になることを望んだのだから、自分が後継者として采配を振るうのをサポートすべきだ、という前提を持ってしまうわけです。
こうやって説明文にしてしまうと、なんとも微妙な感じがしてきませんか?
けどたぶん私たち後継者は、こういった心理的な動きがある事が多いのではないかと思います。
少なくとも、過去の私を振り返った時、自分に関して言えば間違いないように思います。
本来自分が動かなければならないことを、誰かのせいにして自分が動かなければ、何かが解決するはずもありません。
現実世界の中で巧妙に覆い隠された形で、後継者は自分が動いていないことを棚に上げるような状態になってはいないか。
そんな事を確認するk十が必要かもしれません。
自分を守る本能が問題の本質を見えにくくしている
今回のお話は、非常に象徴的な一つのパターンだと思います。
こういった状況に限らず、様々な形で、私達の本能は、自分で自分を責めすぎないように問題を他人事として認識させる機能があるように思います。
そうなった時は必ずと言っていいほど、誰かに責任を押し付ける形の思考の偏りが見受けられます。
そういった脳のクセに任せていると、実は物事の真相が見えにくくなったりします。
冒頭でお話ししたように、どこからきてどうつながっているかがぼんやりとしか見えない悩みの場合は、そういったバイアスがかかっている可能性は非常に高いと思います。
すると、物事を他人のせいにして自分を動かそうとしないから、周囲とのずれが正されない状態になります。
自分一人が動けば解決できることを、関係者一人一人を動かそうとするからうまくすべてのスイッチを切り替えられず問題がぐるぐると同じところを回ったりします。
だから、まずはこういった「脳のクセに拠るバイアス」があって、自分が見ている世界は少し偏っているかもしれない、と気づくことが大事です。
そのうえで、「誰かが変わればいい」ではなくて、「自分がどう動けば心地よくなるか」を考えるようにしてみてください。
それだけで、悩みの多くは霧散するはずです。
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必要に応じて、直接アドバイスや相談もさせていただきます。
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