後継者・跡継ぎ・二代目経営者が、親の会社を継ぐ際のご相談の中で、たまにこんなものがあります。
それは社内の風紀、道徳観が乱れ切っている、という物。
始業時間になってもだらだらしているとか、使い込みのようなことが平然と行われていたり、社内不倫が横行したり…。
そんな会社に嫌気がさして辞めたいという後継者ももちろんいらっしゃいますが、何とかしたいという後継者の方もいらっしゃいます。
では、この会社を何とかしたいと思った後継者・跡継ぎ・二代目社長は一体どんなことから手を付けていけばいいのでしょうか?
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社内の道徳観の欠如はルールですべて解決するのは難しい
社員をクビにしても同じ事件が起きた会社
ある知人の企業で、二度にわたって使い込みを行った社員がいたそうです。理由は飲み屋のお姉さんに熱を上げていて、そこにお金をつぎ込んでいたそうです。
こう言った問題について、一般的には、「再発防止のためのチェック体制」や、「罰則の強化」、「注意喚起」そして社員を解雇するなどの対策が考えられると思います。
ただこれは対症療法であり、実は根本的な問題解決にならないことも多いようです。
件の会社では、「さすがに二度の使い込みというのは悪質」ということで解雇するに至ったそうです。しばらくは会社は問題なく回ったようですが、それから2年後、まったく違う人間が同じように使い込み(もちろん手口は別の形で)していたことが分かったそうです。
この会社、社長が1年のうち7割近く出張で会社を留守にしていました。
その働き方を変え、出張を最小限にし、少なくとも朝の朝礼は可能な限り社長が出席の上で行われるようになったそうです。それから約5年。似たような問題は起こっていないそうです。
社内の道徳観が低い会社の社長3つのタイプ
これは私の個人的な観察ですが、このような組織のリーダーというのは以下の3タイプにわけられるのではないかと思っています。
①自身のエゴで経営しているリーダー
②物理的に会社に居ないリーダー
③物理的にも精神的にも会社に居ないリーダー
まず、①の場合は、あくまで自分の儲けが会社経営の中心にあるということ。だから、会社がどういう状態でも関心がないリーダーです。こういう会社がそれなりに前に進むというのが不思議なのですが、案外、業績はいい会社も少なくないように思います。リーダーは自分の利になる事には貪欲なことも多く、その推進力で前進しますが、享楽的な部分もあり長期的に見ると少なからず不安は否めません。
②については、出張や飲み会などの外交に精力的なリーダー。社内への気遣いはされているので一定程度の車内の規律は守られていますが、あまりに会社にいなさすぎるとたまに問題を起こして、リーダーの耳目を集めるような出来事を無意識に起こしがちです。
さらに③となると、状況的には実は①と結構近いムードが社内に立ち込める可能性があります。リーダー本人も会社と向き合いたくない理由があるのか(多くは対人関係が上手くいっていない)理由をつけて会社を留守にしようとします。
こう言ったリーダーの会社で何が問題かというと、従業員はリーダーに承認してもらう機会が圧倒的に低い、ということです。
変な話に聞こえるかもしれませんが、たとえば家庭において子供が非行に走る理由の多くは、親にかまってもらえない寂しさからじゃないかと思います。だから、やんちゃをして問題を起こし、親の視線を自分に向けさせようとするのです。
一応は大人である人たち、しかも血のつながりのない社員間で、かまってもらうとか承認してもらうとかいうことを望むことなんてあるんだろうか?と思う方も多いかもしれませんが、私はけっこうあると思っています。
後継者・跡継ぎ・二代目社長が道徳観の低い会社を引き継いだら…
後継者・跡継ぎ・二代目社長がやるべきはじめの一歩
これは社内の道徳観が乱れていようといまいと、結構大事なことなのですが、ちゃんと社員さんとコミュニケーションをとることから始めて見てほしいと思います。
コミュニケーションと言っても、自分の考えを話すというより、皆さんの話にぜひ耳を傾けてください。
そうするときっと、いろんな思いや意見が出てくるのではないかと思います。
そのはなしをただ、「〇〇さんは、こうおもっているんだね」と意見一つ一つを受け止めていきます。
すると、社員さんはちゃんと承認してくれている、という安心感を持つことができます。その結果、誰も自分を見てくれないという虚無感を感じることが少なくなってきます。
また、誰かの目が行き届いている場所で、なかなか隠し事もできなくもなってくるでしょう。これは監視という意味でなく、信頼関係を裏切れない、という意味です。
どうしても荒れた組織を目の前にすると、
・先代の振る舞いが悪かったから
・社員の質が悪い
・社員の教育が悪い
などと、何か悪いものを探して、その悪い部分を摘もうとしがちです。
しかし、本当に必要なのは、悪いものを摘むというよりは良いものを育てるほうが優先順位がたかいのではないかと思います。
もしこのような組織を引き継ぐことになったら、まずは一人一人の気持ちを聞き出すよう気をつけてみてはいかがでしょうか。
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