後継者

社員の離職率の激しい会社と定着率の良い会社にみる意外なリーダー像

基本、コミュ障ですし、人が集まるところは大の苦手。
どちらかというと、一人こもって考え事するのが大好き。
私はそんな人間です。

それは子供のころから変わらず、友達の誘いに出かけることは10回中1回くらい。
当時はやった、地元にできたピザ食べ放題の店には、友人から度々誘われたものの一度もいかず。
学校を卒業してからも、同窓会への参加はほぼゼロ。

街中で、見知った顔を見かけても、目をそらし見つからないようにしています。
そんな私でもなんとか社長をやっています。
手痛い失敗はありましたが、何とか持ち直しました。
失敗と現在の間に横たわる違い。
それは、あるコツを学んだからです。


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私のブログを見て、私に対してストイックな印象を受ける方もいらっしゃるようです。
また、割と人前にでる機会もあるため、顔が広いと思っていただく方もいらっしゃいます。
それはそれでありがたい事なのですが、現実はちょっと違います。

冒頭にお話ししたとおりの、コミュニケーション障害気味なのが私の本当の姿。
お目にかかった方にそれをお話しすると、
「いやー、そんなことないでしょう」
とおっしゃっていただけるのですが現実はそうでもありません。
毎月のように会議をしているビジネスパートナーの方には、
「まあ、これだけつきあいの悪いやつも珍しい」
と言われ、たまに懇親会に参加すると、
「なにがあったんや!?」
と目を丸くして驚かれるしまつ。

 

それでも、きっちり仕事していればいいのでしょうが、
私の机周りはこんな感じです。

 

 

 

 

 

 

 

さすがに、個人情報だけは別途、管理してもらっているのですが、机周りは資料が散乱しています。
しかも、電話をとれば、資料は崩れてきますから、取らない(汗)
つまり、ダメダメな社長です。

 

いいかげん、書いてて悲しくなってきたので、この辺で本題に入りましょう。
こんな私も、自分が完璧でありたい、と思った事がありました。
なぜなら、高校野球のキャプテンは、たいていピッチャーであり、4番バッターだからです。

何が言いたいかというと、もっとも能力の高いものでなければリーダーになりえないと思っていたのです。

そんな私にとっては、ある会社の社長があこがれの人でした。
いつもピシッとスーツを着こなし、見るからにできる男です。
話す言葉は論理的で、熱い。
一部の隙もありません。
これこそが、リーダーのあるべき姿だと思っていました。
まさに、ピッチャーで4番バッターの、完全無欠のキャプテンです。

 

私はその社長を目標に、仕事に打ち込みました。
まずは自分がトップにならなくては、と。
そんな自分が部下を持った時に何を考えたか?というと、こうです。
せめて私と同じレベルの努力はするのがあたりまえだろ?と。

業績が振るわないなら振るわないなりに、私が認めるくらいの努力はしろよ、と。
もともとコミュ障気味の私ですから、これを口に出すことはありません。
ジロリと社員をにらんだかと思うと、残念な表情をしていたのでしょう。

 

一対一では思いを伝えなくとも、社員全体には檄を飛ばします。
もっとがんばれよ!と。
そうやって私が必死になればなるほど、社員の心が遠く離れていくのが何となく感じられます。
だから余計に焦ってしまい、さらに煽る。
まさに負のスパイラルですね。

 

しかし、さまざまな会社をみていると、こんな会社もあります。
ある会社の社長は、いつもだらしない格好で、ソファーで居眠りをしています。
薄いドアを一つ隔てた作業場では、社員がせかせかと働いているのに。
私がうかがうと、宝石でデコレーションしたゴルフクラブを自慢げに見せてくれます。
「どや、このクラブ、おもろいやろ」
いや、確かに面白いですけど・・・

別にその会社、ヤ○ザの事務所というわけではなく、まっとうな会社ですよ。
なのに、いつ行っても社長は居眠り、社員はあくせく。
ある機会に、社員さんに伺いました。
「御社の社長、仕事してるとこ見たことないんですけど・・・」
社員さんはこんなふうに応えます。
「せやろ。そのほうがええのですわ。社長が作業場に出てくるとよけいややこしいんです」

なんとも不思議な関係です。
その会社だけでなく、別の会社ではこんな感じでした。
社長が現場に出てくると、社員が駆け寄ります。
「社長!たのんまっせ。お願いやから邪魔せんとってください」
社長は、怒られてもうた・・・なんていいながら、和歌山の海に釣りに出かけていきました。

 

この二つの会社、実は社員が辞めることはほとんどありませんでした。
しかも会社の業績は、2社ともよかった。
なにより、会社の雰囲気は非常にいいのです。
私にとっては何が起こっているのか、理解不能でした。

 

気になっていろいろ話を聞いてみると、私のあこがれの社長の会社は、退職者続出。
私がお付き合いさせていただいた10年の間にほとんどの社員が入れ替わったそうです。
今や業績も非常に厳しい。
それに呼応するかのように、私の会社では社員がいっせいに辞表を持ってきました。

自分の能力を磨き、完璧を目指した会社からは人がどんどん去っていき、
いつも居眠りばかりしている社長の会社では社員が生き生きと働いて業績もいい。
このギャップは、いったい何があるのだろう。
私はその事が気になって仕方がありませんでした。

 

その結果、完璧であることを諦めました。
社員から見た私は、抜け穴だらけです。
前にお見せした画像のひどい机を見て
「社長、そろそろヤバくないですか?」
なんて軽口をたたかれる。
もう、自分の弱さを隠すことをやめたんです。

 

そうすると、人はその弱い部分をサポートしたくなるんですね。
最近では、
「どうせ社長は、○○は出来ないでしょ?私がやっておきました」
なんてことが出始めてきました。

余談ですが、私が外出中に、美人の営業の女性が来たりすると、
「○○の新規営業の方が来られました。
女性で、けっこう社長好みの美人です」
なんてメールが来るようになってます(笑)

 

冗談はともかく、強いリーダーは大変です。
それよりむしろ、弱さを見せたほうがうまくいくことが多い。
ただ、それは単に弱いところを見せるだけでは上手くいかないでしょう。
その前提として、やはり一定程度の信頼関係が必要なのです。

 

さて、かつての私はリーダーシップは人をぐいぐい引っ張る事だと思っていました。
しかし今は全くそうは思いません。
ぐいぐい引っ張っているつもりが、綱引きをしているチームは相当多いと思います。
むしろ、リーダーシップとは、リーダーを押し上げようとする力を社内に埋め込むことだと思っています。
それは、メンバーの心の中にある、モチベーションのタネを刺激する事です。

人が完璧であることはありえません。
不可能なことを目指すよりむしろ、弱さを補いあえる状態を作る事が必要になります。
実は、宝石入りのゴルフクラブの社長も、和歌山に釣りに行く社長を、その方法を心得ていたようです。
それが生まれついての人たらしなのか、いとしてそういう関係を作ったのかはわかりません。
ただ、私のようなコミュ障気味な人間にとっては、そういった振る舞いを行うにはいくつかのコツを知る必要がありました。

 

おかげで今では、昼休みに事務所の片隅での昼寝をそっとしておいてもらえる程度のコミュニケーションはとれているように思います。

 

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