後継者

家族経営がうまくいく、たった一つの方法 ~覚悟がないとはどういうことか

家族経営で、うまくいくコツってあるのでしょうか?
私がそれを聞かれたら、一言で言うとすると、こう答えます。

「自分以外の人や物事のせいにしない」

という事です。
詳しく見ていきましょう。

 

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まず、なぜ、家族経営が難しいかを考えてみましょう。
後継者・跡継ぎからすると、親の理不尽なふるまいを挙げるのではないでしょうか。
そしてその次には、家族的過ぎて、企業としての体をなしていないというあいまいなルールでの運営。
あとは、そもそも後継者・跡継ぎが、自分の希望でここに居るわけではない、という思いもあるかもしれません。

 

さて、どんな会社であれ、上司の理不尽なふるまいはあるものです。
サラリーマンの友人に話を聞いてみるといいのですが、時として開いた口が塞がらないような低俗な上司というのもどの会社にもいるものです。
そういった上司に出くわさない人は、相当めぐまれている人と言えるのかもしれません。
しかし、友人がそんな風に言うと、後継者・跡継ぎの方はこう思うかもしれません。
「そんな上司は、会社を離れれば合わなくて済む。けど、自分の上司は親だから仮に会社を辞めても必ず顔を合わせることになる」
なんて自分の不幸を嘆くかもしれません。

挙句の果てには、「アイツより自分のほうが不幸だ」なんて言う風に感じて、妙な満足感を感じているかもしれません。

1388843によるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

こんな状態があるとすれば、冒頭の「自分以外の人や物事のせいにしない」というコツは有効でしょうか?
きっと有効だと思います。

理不尽な上司のふるまいが問題だとすれば、自分にとってはどんな困りごとがあるでしょうか?
振り回されて自分のペースで仕事ができないとか、精神的に追い詰められてしまうとか、いろいろあるかもしれません。
けどそれも、すべてひっくるめて「自分を取り巻く環境」だと考えてみます。
そこで「環境が悪いんだ」と愚痴を言ったところで、何かが変わるでしょうか?
たぶん変わらないですよね。

で、冒頭の言葉です。
「自分以外の人や物事のせいにしない」

社会のどこに行っても「理不尽」というのはあるはずです。
その理不尽の1つが、親である上司のふるまいなのでしょう。
じゃあ、それは「親だから」不満が余計に増幅されるという事はないでしょうか?

子どもである後継者・跡取りにしてみれば、「親なんだからこうしてしかるべきじゃないか」なんていう期待があるんじゃないでしょうか。
それを世間の言葉で言うと、甘え、という事になります。
赤の他人に言われてもなんとも思わないことを、親に言われるとムカッとくることがあると思います。
それは、親に対する甘えと期待。
そういった自分の持っているどことなく、親にはこうあってほしい、親はこう振る舞ってほしい、という淡い期待(という名の甘え)を捨ててみましょう。
すぐには難しいかもしれませんが、そうなれるように頑張ろう、と意識するだけで随分変わってきます。

 

さらに、妙に家族的すぎる社内のムードもイライラの原因かもしれません。
なんだか、大企業っぽく、かっちりした会社にしたいのは、多くの後継者の思いじゃないでしょうか。
私もそんな時期がありました。
けどそれはたぶん、自分を守りたいからそうしたいんじゃないか、と私は自分に問いかけてみました。
組織化し、仕組化することで、自分が常に前線に出なくてもいい。
従業員という軍隊を作れば、自分は後ろで戦況を見守ればいい、という思いが半分。

後の半分は、家族的な中小企業であることの劣等感。
大企業に勤める友人なんかと話をしているときに感じる、どことなく田舎クサくて、泥臭い自分の会社に劣等感を感じていたのです。

だから、そこから抜け出したい、と思うのですがそういったイライラや、劣等感は実は会社の実情が感じさせるものではないことに、ある時気づきました。
どんな泥臭い中小企業の社長でも、すごく自信に満ち溢れていて、全国の経営者から注目を集めている人がたくさんいることを知った時です。
その人は少なくとも、大企業の社長より輝いていたし、なによりも生き生きとしていました。
ああ、会社についての劣等感は実は、会社への劣等感ではなくて、自分自身への劣等感を会社に転嫁してたんだな・・・と感じました。
問題は会社のあり方じゃなくて、自分のあり方だったんですね。

 

そして、家業は好きで継いだわけじゃない、といういわば言い訳めいた話。
「自分は好きで親の会社にいるわけじゃないんだ」
と跳ね返ってみるんですが、「じゃあ好きなことすれば?」というと、もごもごもご・・・
やりたいことって別にない。
だけど、ここではない、なんて言い張ってみるわけです。心の中で。

もうここまで言うと、自分に対する言い訳だなぁ、と感じ始めてる人もいるかもしれませんね。
たぶん、「家業なんて好きじゃないし、嫌々やってる」っていうのが、自分なりの逃げ道なんじゃないかと思います。
いやなのにやってやってる俺ってえらいとか、それが親孝行なんだから親は自分にもっと優しくしろとか、変な取引を心の中でやっちゃってないでしょうか。

 

で、これらの状態が、覚悟のない状態なのです。

後継者・跡継ぎ自身も、継がせようとする親も、周囲の先輩やコンサルタントも、なんとなく肌身で感じる「一歩引いた感」。
これがどこからやってくるのか表現できない人ばかりなんですが、私がはっきり言います。
「自分の問題」を「他の人や立場の問題」にすり替えている状態ことが、「覚悟のない状態」です。

後継者・跡継ぎに、腹をくくれという人は多いのですが、それを分かりやすく言うと、
人や環境のせいにするな
という事です。

 

そういった意識の転換ができれば、少なくとも、家族経営でうまくいかないという話は霧散します。
あとは、次期経営者として与えられた環境の中で、どうふるまうかが会社の行く末を左右します。
やっとスタート地点に立てた、という事になるのかもしれませんね。

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