後継者

経営理念は事業承継において万能なのか?

理念が大事。
権威あるコンサルタントの方が言いそうな言葉です。

確かにそれは正しいと思いますが、気をつけなければならないと思います。
人は、自分を良い人に見せるために、自分さえも欺きます。
耳障りのいい経営理念に賛同すると口で言っても、まったく違う行動をとる人はいます。
たとえば、社会の発展に貢献するとうたっておきながら、仕入れ先にムチャな値段を強要したり、
地球環境の恒常に寄与するとかいいながら、エコより経費節減のほうが大事だったり。

本気になれない理念は、本心を隠す隠れ蓑になってしまう危険があります。

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親子の事業承継に関して言うと、世の中、きれいごとを言う人ばかりです。
やれ、話し合えだの、やれ、ビジョンやミッションが大事だの、やれ、プライベートでコミュニケーションをとれだの。
ただ、言っておきますが、ミッションとかビジョンとか理念、確かに大事なんですが親子で話すとかなりの確率ですれ違いが起こります。
それは思考の深さと、視野が違うからです。

たとえば、経営理念にありがちな、
〇〇(自社が扱う商品)を通じて社会に貢献します
なんていう文言。

なんかもっともらしいですね。
けど、そもそも、本当に社会に貢献しようと思ってるのでしょうか?
私利私欲…というとちょっといやらしい感じがしますが、社長が自分のために商売してるんじゃないでしょうか。
自分の富とか、自分の地位とか、自分の生活のために。

もしそうだとすると、ズレますよね、やることが。

なんでこんなこと言うかというと、私の家業って保険屋さん。
で、たとえば「従業員さんのために!」っていう提案より、
社長が懐を肥やせる提案のほうが圧倒的に受け入れられやすいんです。

もちろん、それがダメと言ってるわけではありません。
それはそれでいいのですが、ただ、言ってることとやってることがかけ離れすぎると「ん?」と思います。
でもって、創業社長って、大胆に言うこととやることがかけ離れる人はけっこう多いです。

Ulrike LeoneによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

「言ってることとやってることが違う」問題は、たいてい社内では共有されてます。
従業員たちは、「またか」と思いつつ、社長はそういう人だから、と上手く自分のなかで翻訳しているはずです。
社長が世のため人のために頑張れ、っていうのは、営業をもっと頑張れってことだな、と。

しかし、事業承継においてのコアな価値観を共有するときにはちょっとした問題が出てきます。
親は本音と建て前を華麗に使い分けるのですが、後継者がそうとは限りません。
というかむしろ後継者は潔癖症なところがありますが、本音と建前の状態を嫌います。
社会に貢献するというなら、ホントに貢献しないと、と思うわけです。

 

ここが難しいところで、親の時代はモノ不足の時代でした。
だから、商品の普及=社会への貢献だったのです。
足りない社会を物で満たした。
つまり、親が私利私欲に働こうが、売上げ偏重主義であろうが、それはある意味当時の時代の価値観で言えば、社会への貢献でした。
もう少し広い視点で見れば、戦後の日本を脱して復興させよう!という視点においてもやはり社会貢献だったのです。
だからこの言葉に偽りはないのかもしれません。

しかし、今は社会のフェーズが変わり、モノを普及させれば即社会貢献という時代ではなくなった。
ここで、親と子の会社のあり方に関する考え方がずれてくるのです。

親と子では違うものの見方で、「社会貢献」をとらえているから、同じ言葉を使っていても違う動きをしがちです。
で、お互い、「なんでそうなるねん!?」と不思議がるわけです。

なんだかんだ言ってけっこう難しい親子の経営。
その原因は言葉ではなかなか解決しない、見えない意識の部分を源泉とする行動です。
すると、当然言葉で考え方をすり合わせしていくことも大事ですが、そこに期待しすぎないことが重要です。
言葉で分かり合えるというのは、幻想なのかもしれません。

ただ、分かり合えなかったとしても、受け入れることは可能だと思います。
なんでそうなるねん!?と思いながらも、「ま、ああいうひとだしね」と受け入れてしまえばけっこう楽です。
最終的な組織としてのアウトプットは、後継者が考えている者からずれることもあるかもしれません。
しかしそれもまた、後継者が常に正しいとは限らない以上、受け入れていけばいいのではないでしょうか。
そういった人としての大きさを育てることが、後継者の人生での一つの課題なのかもしれません。

Sasin TipchaiによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

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