後継者

親子の経営で経営ビジョンを共有してもケンカが絶えないのはなぜか?

教科書通りの話をすると、親子の事業承継では
「双方の考え方を話し合い、会社をどうしていくかというビジョンを共有せよ」
と言われたりすることが多いと思います。

しかし、たいていそれは無駄に終わります。
なぜならば、口で語ることは他人のみならず、自分をも欺いているからです。

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会社を作った創業社長。
そういう立場の人は、会社を愛し、会社の将来を常に考えている、と一般的には考えられています。
しかし、果たしてそんなにきれいなものでしょうか?
会社の将来を考えたら、どう考えても身を引くべき人が、身を引こうとしないケースは多い。
客観的に見て、会社の発展のために存在しているとはいいがたい状態の人も結構います。

こういう人を見ると思います。
会社そのものが大事だというよりも、
自分がそこに存在する場所としての会社が大事
と考えているのではないでしょうか。

批判を恐れず言うなら、自分がいない会社にはさほど関心がないように思います。
厄介なのは、本人はそうは感じていないからややこしいのですが…

 

すると、創業社長が去った後の会社のことはあまり意識しないわけです。
そりゃあ、自分が作った会社が未来永劫残っていてほしい、という思いもあるでしょう。
しかし優先順位としては、自分が現役の間の会社です。
未来のことは差し迫ったではないので、とりあえず今のところはどうでもいいのです。

これは創業社長を批判しているのではありません。
それが人としての基本的な特性だから仕方がないのです。

Ditto ShafarnahariyによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

一方、跡継ぎはどんな思いを持っているでしょうか?
大事なのは今というより、創業社長が去った後のことです。
今ならば、何かあっても創業社長が何とかするでしょう。
しかし、彼がいなくなった会社で、何かがあると困るのです。

だから今のうちに、創業社長がいなくてもいい状態を作っておきたいわけです。

こんな二人が、未来のビジョンをすり合わせたとしましょう。
いったいどんな風になるでしょうか。

 

創業社長は、あくまで現在の延長です。
そしてどこか実感がないはずです。
60歳の社長は、20年後に自分は会社にいないでしょう。
自分がいない会社のことを想像するなんていうこと、できるものではありません。
だから言葉は悪いですが、適当です。
さほど深くは考えられないのです。
逆に言うと、考えたくない。

後継者にとっては、未来はより具体的で、現実的です。
だから、実行可能な計画をもとに、夢のない夢を描きがちです。
なぜなら、その時ハンドルを握っているのは自分だからです。
自分にムチャ振りはそうそうしません。

 

こんなチームでも、話し合うとそれなりな結論が出たりするものです。
言葉にすると、そこそこもっともらしいビジョンが出来上がります。
しかし、その言葉としてのビジョンに対する重みも、具体性も、実効性も、双方まったく違う解釈をしているはずです。
だから、言葉では合致していても、
行動レベルで決定的に違いが出る
のです。

創業社長が口では「わかった」といって跡継ぎに従う姿勢を見せても、
まったく違う行動をとり始めるのはまさにこういった理由からです。
創業社長も悪気はないし、間違ったことをしているつもりもない。
ただ、無意識に出る行動が、跡継ぎの方の期待に沿うものではなかった、ということになります。

 

だから、私はそういった口頭での合意をあきらめろとは言いませんが、あまり期待はしないほうがいいでしょう。
それよりもむしろ、行動レベルで先代を動かすことを考える必要があるのです。

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