たった一つの感情で理解できる、兄弟への事業承継の難しさ~原因編~

一般的に、「兄弟は仲の良いもの」と考えられている風潮があります。
しかし、こと、経営を兄弟で行うとなると、信じられないほど多くのケースで、
コミュニケーションがうまくいってない事があります。
むしろ、上手くいっているほうがまれではないでしょうか。

それはなぜなのかを考えたとき、信じがたい感情がその奥に潜んでいることがあるのです。
——————————————
後継者向けセミナー開催日程はこちら

小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

本人も周囲も認めたくない感情

兄弟経営の根底にあるもの

まず結論から申し上げます。
兄弟経営がうまくいかない理由、それは、双方に

妬み

という感情が渦巻いているからです。

この事はにわかに理解できない方も多いでしょう。
また、あくまでも私の観察によるものですから、正しくはないかもしれません。

そう考える根拠を、少し丁寧にご説明してまいります。

兄弟経営の代表的なパターン

事業承継で、兄弟で会社を引き継いだ場合、主に次の3パターンの経営が考えられます。

  1. 兄弟がお互いを補完しあいながら経営を行う
  2. 兄弟でなれ合いの経営を行う
  3. 兄弟が反発しあう

当たり前といえば、当たり前なのですが、多くの場合この3パターンに集約されます。
1.については、もはや悩みも少ないでしょうから、この記事からは割愛します。

2.については、割と多いパターンです。
具体的に言うと、兄弟双方がこのままではいけない、と不安を抱えてつつも、
決定的な活路を見出すことができず、過去の延長線上で経営を行うパターンです。
兄弟間は、取り立てて仲が悪いわけではないけど、お互い小さな不満は抱えていることが多いようです。
しかし、「兄弟仲良くしなければならない」という常識に縛られ、自由に活動できているとはいい難い状況です。

このケースも、具体的なアクションを起こすことは少ないので、おそらくこのサイトを見に来られている人は、
このパターンではない可能性が高いでしょう。

そして、やはり現時点での悩みが大きいのが3.です。
兄弟だから、仲良くすべきとは思うけど、兄を、弟を受け入れることができない。
だんだんと、我慢ができなく、会社を分裂させる事が多いパターンです。
今回は、この3.についてのお話を中心に進めます。

なぜ兄弟はいがみ合うのか?

生まれたときから兄弟は戦っている

兄弟は仲良くすべき。
一般的にはそういわれることが多いのですが、現実はさにあらず。
その理由は、私の観察によると非常にシンプルです。
それは、親の愛を奪い合うライバルだからです。

まず、第一子が生まれると、その子は親の寵愛を受けます。
しかし、数年後、第二子が生まれた瞬間、第一子は大人になることを求められます。
「あなたは、お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、弟(妹)に譲りなさい」
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、しっかりしなさい」
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、弟(妹)の面倒を見なさい」

世間のイメージとして、長男(長女)は、「しっかりもの」「責任感が強い」「面倒見がいい」
という事がよく言われるようですが、それは親がそれを求めているから、長男(長女)は、
その期待に応えようとした結果、そのようにふるまうようになります。
つまり、長男(長女)は、生まれて数年で自立を求められるわけです。
そのころ、親は弟(妹)にかかりっきりで、第一子が親に認められるためには、

  • いい子になるか
  • いつも親を困らせるか

のどちらかを選択します。

「いい子になる」のなら親は大歓迎と思うかもしれませんが、
優等生を目指すことにより、人の目を必要以上に気にする子に育ったり、
失敗を人並み以上に恐れる子に育ったりします。
大雑把に表現すると、長男(長女)は、

  • 親にとってのイエスマン
  • 強い責任感を持つ
  • どちらかといえば保守的

といった性質を持って大人になることが多いと感じられます。

末子には反対の事が求められている

話が長くなるので、二人兄弟という前提で話を進めます。
保守的で責任感を持った長男(長女)に対し、末子となる弟(妹)は少し違った状況で育ちます。
弟(妹)は、小さいころは、兄(姉)の関心、親の愛情を一手に受けます。

とはいえ、親は兄(姉)に弟(妹)の面倒を見てもらおうとしますから、自己主張をしなければ親の目を引くことができません。
そういったことから、要望をストレートに表現するようになります。
ここが、兄(姉)との大きな違いで、兄(姉)は例えば、欲しいおもちゃがあったとしても、
親への経済的負担をおもんばかり、遠慮がちで、素直に「ほしい」とは言えない事が多いのです。

しかし、弟(妹)は、そういったことをあまり考えず、欲しい物は欲しいといえる。
親からしてみれば、具体的な要望があれば、叶えようとするので弟(妹)の要望はかないやすい。

また、親としては、兄(姉)には、早く大人になることを求めたわけですが、
弟(妹)には、いつまでも子供でいてほしい、と潜在的に思うようです。
なぜならば、親としては子供を依存させているほうが、「頼られる」実感を得られ、
心が満たされやすいからです。

末子が「甘え上手」「要領が良い」といわれるのは、
親への要求を、なんのためらいもなく口にできるところが大きいでしょう。
まじめな兄(姉)と違い、有名なアニメサザエさんでいうところの「カツオ」のような、
どこか茶目っ気のあるちゃっかりもの、というイメージといえばわかりやすいかもしれません。

また、末子の場合、失敗をしても、両親のみならず、兄(姉)もフォローしてくれることが多く、
失敗に臆さない性格に育つことが多いようです。
長男(長女)の完璧主義から考えると真逆といえるかもしれません。
まとめると、末子は

  • 親に頼ることを躊躇しない
  • 責任に縛られない
  • 失敗に躊躇しない

といった傾向が強いと思われます。

兄弟がぶつかるとき

こうやって見てみると、兄(姉)と弟(妹)は、それぞれ正反対の性質を持っています。
双方が尊重しあい、協力し合えると、強い組織ができそうな気がしますが、残念ながらそれがうまくいかないことの多いのが現状です。
それはなぜなのでしょうか。

それは、こう考えるとわかりやすいのです。
双方目指しているのは、親から認められることなのだという事です。
小さいころから、親の愛の争奪戦をしながら、兄弟は育ちます。
そういう意味では、生まれついてのライバル、といえるでしょう。

親に認められるために、兄(姉)はこう考えます。

親から譲り受けた会社を、何とか強く大きくしなければならない。
自分のことももちろん大事だけど、会社が一番だ。
今だけではなく、5年後、10年後、栄えていなければならない。
過去の遺産で今は何とか食べていけるけど、このままではだめだ。
だから会社の改革が必要なのだ。

では、末子はどう考えるでしょうか?

会社をどうこうするとかは、きっと兄貴が考えてるに違いない。
会社の財務だって、よくわからないから親や兄貴に任せればいい。
自分は目の前のことを精いっぱいやればそれでいい。
そうやって自分の成果を出すことが、重要だ。

大雑把に言うと、兄(姉)は全体最適を考える傾向が強く、弟(妹)は部分最適を考える傾向が強いのではないでしょうか?

それに対して、親である先代はどう反応するでしょうか。
多くの場合、兄(姉)はしっかり者です。
先代は、この兄(姉)に全幅の信頼を置いています。

しかし一方で、兄(姉)は会社を変えようとします。
それは、長子が持つ責任感からの事なのですが、
先代にとっては非常に大きなストレスです。
ひどい場合は、兄(姉)が考えていることは、先代にとっては理解不能かもしれません。
それよりも、素直に自分の技量を磨こうとする弟(妹)のほうが理解しやすい。

兄(姉)が正統な後継者としてのポストを得、力を発揮し始めると、先代は恐怖を感じます。
自分たちの居場所がなくなる、と。
そこで、過去の延長線上で個人技量を磨こうとする末子に肩入れをします。

兄(姉)は会社のためを思ってやっていることが、ことごとく先代と弟(妹)からの攻撃にさらされます。
当然、面白くはないでしょう。
家業を存続させよう、という先代の意に沿ったことをやってるはずが、先代を敵に回してしまいます。
親の要望である「会社を引き継ぐ」という事に対する責任を全うしよう、と考えた兄(姉)は、
認められるどころか、抵抗を受ける立場になってしまいます。

一方、弟(妹)から見れば、先代の求める力量を磨いているのに、
なぜか兄(姉)への信頼のほうが厚い。
いつまでたっても下っ端扱いをされることに不満を持ちます。

この不公平”感”こそが、兄弟不仲の起点になります。

思考のクセ

大人になっても争奪戦を続けるのか?

ここまで読んでいただけたとしたら、何かしら違和感を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
たかだか、そんなことで大の大人が分かり合えないのか?と。

しかし、三つ子の魂百までという言葉もありますが、子供のころの体験は、大人になっても色濃く残ります。
特に、何十年にもわたって形成された、思考のクセは大人になったからと言って、変わるものではありません。
そもそも、こういった心理背景があること自体、気づいていない人のほうが多いのですから、それを正すという行動もとれないのです。

なお、これは同じ会社の経営に携わる場合だけの話ではありません。
兄弟が皆サラリーマンをしていたとしても、親の介護や看病といった、
兄弟が力を合わせなければならないシーンには必ずと言っていいほど噴出する話です。

それが、相続争いという問題を生んだりする種になります。
たまたま家業があり、
その経営に携わり、
家族が共同で行う事業を早い段階で経験するから、
社内でこのような問題が起こるのです。

結論

つまり、兄(姉)も弟(妹)も、親に認められようとするクセがあります。
親である先代は、これに平等にこたえようとしますが、立場と考え方の違う兄弟にとって、
平等な扱いというのは原則としてあり得ません。

そこに親自身の仕事上の立場の確保といった三つ巴の思惑が、さらにその問題を複雑化させます。
誰もが、自分の感性においては「正しい」事を進めていけばいくほど、苦しい状況が目の前に現れるという不幸。
これが兄弟への事業承継の難しさとなります。

次回、そんな中でもできる対処法はないのか?という事を考えてみたいと思います。

 

合わせて、たった一つの感情で理解できる、兄弟への事業承継の難しさ~解決策編~もお読みいただけると、参考になるかと思います。
——————————————
後継者向けセミナー開催日程はこちら

小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

関連記事

  1. サッカー日本代表の賛否両論から後継者が学ぶべきこと

  2. 後継者が社内の主導権を握る方法

  3. 5月になると悩みが深くなる2つのタイプの後継者(その2)

  4. 困りごとの解決策を探さない人々

  5. 究極の選択で悩んだときにはどうすればいい?~後継者がループにはまるとき…

  6. 風呂屋の三代目が起こすムーブメント~後継者が学びたい仕事の愉しみかた

  7. ある二代目社長が起こした社内会議の大混乱(1)

  8. 事業承継における安定と不安定

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 2016年 7月 26日

ツールバーへスキップ