後継者

ビッグモーターの息子はなぜパワハラが辞められなかったのか?

ビッグモーターの問題が日本中を駆け巡っています。
次々と出てくるずさんな経営状態。
恐らく社員はずっと「こんなことがまかり通るはずがない」と思っていたのではないでしょうか。
いえ、社員だけではなく、後継者であろう社長の息子、兼重宏一・前副社長とて、いつまでもこれが続くとは思っていなかったのではないでしょうか?
悪事はいずれ暴かれる、そんな不安を常に持っていたのではないかと思います。

ではなぜ、歯止めの効かないようになってしまったのでしょうか?


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ビッグモーターだけではない!?成果を焦るインテリ後継者

後継者とMBAの親和性

そこそこ大きな会社の社長の息子。
けっこう、MBAホルダー率高いように思います。
実は私自身、ある程度の年齢になってからですが、真剣に「MBAとりたいな」なんて思った時期がありました。
幸か不幸か、思い切りもお金もなく諦めましたけど。

MBAというのは、経営学修士というもの。
簡単に言うと、会社経営のプロ的な視点を持つための学びの場です。
バブルのころは、金融機関などが若手の有望株を海外に数年留学させ、このMBAを取得させて帰ってきたときに本社の経営企画などで活躍してもらうような動きがあったように聞きます。
たしか、かの大塚家具の大塚久美子氏もMBAホルダーだったかと思います。

なぜ、後継者ってこんなにインテリなんでしょう。
たぶん私的には3つの理由が思い浮かびます。
一つ目は、親が教育熱心であるということ。
二つ目は、親の経験に対抗するために知識をつけたいということ。
三つ目は、時代的にスマートな効率化が求められた世代であること。

親との人間関係の中で培われる後継者の特質

親子はライバル。
そんな言葉を聞くことがありますが、実際に様々な親子経営を見ているとそれを感じます。
ただ、ヤヤコシイのは、表立ってライバル意識むき出しというわけではないのです。
本人もあまり自覚がないのです。
けど常に、何かを考えるときの基準は、親であるとか息子であるとかと言う前提があったりします。

たとえば、親が後継者に、「今より会社を大きくせよ」と言ったとします。
このメッセージの背景には、自分を越えろという裏メッセージがニュアンスとしてあります。
けど、簡単には越えさせないぞ、という負けず嫌いなのが親である経営者です。
ある意味挑戦状ですね。

これを受けて立つ息子=後継者は、何とか頑張るわけです。
その時に、単純に経験だけを言うと、親になかなか対抗できない。
親が何十年もやってきたことを、数年で上回るのは気の遠くなる話です。
であれば、別の方法をとることになります。。
それが、賢く振る舞うというか、泥臭い現場重視の経営から、ピカピカのMBA的経営が登場してくるわけです。

Keith JohnstonによるPixabayからの画像

勝ちたい後継者のビッグモーター化の傾向

親の会社に入社した後継者は、ひとまずは「社長の息子」ということでチヤホヤされます。
もっと言うと、腫れ物を扱うような感じです。
ビッグモーターほどの規模の会社ならその傾向はけっこう強いと思います。
その中で、後継者はぬくぬくと育つか…というと、話は逆です。
後継者は孤独にさいなまれるのです。
仕事上での悩みや本音を吐露する場もなく、親に相談するわけにもいかず、「腫れ物」として孤独な状態を経験します。

そんな時に、自分を受け入れてくれるような人間がいれば、その人にはきっと心を許します。
そういった人がその後の、後継者の仕事上のパートナーとなるでしょう。
後継者はまずはそのパートナーたちの信頼を裏切らないように頑張ります。
えこひいき的なことをすることもあるかもしれませんし、彼らから「弱いやつ」とみられたくないのでだんだんと社内での高圧度が増してきます。

すると、一部の社員であれ、みな、大変なことに巻き込まれないようあたふたと後継者に従います。
こうなると、自分の思い通りに社員を動かせなければイラっと来るようになってきます。
後継者の中では、親に認められたい、腹心に認められたい、という思いからどんどん強く出るようになります。

親子のライバル心のねじれ

Herbert BieserによるPixabayからの画像

親子のライバル心のしわ寄せ

このような親子のライバル心を、小さな会社なら自分でやることでなんとか売上を上げようという発想になります。
しかし、ビッグモーターほどの規模になると、一人で頑張ったところでわずかな変化しか起こせません。
そこで社員を動かす必要が出てきます。

MBAを学んだのであれば、マネジメントのノウハウなども学んだのではないかと思います。
ただ、社員を動かすというマネジメントの極意は多くの場合、リーダーがまずは社員を受け入れることから始めなくてはなりません。
それよりも手っ取り早い、恐怖政治のほうが即効性があり、手ごたえもあります。

だから安易に、恐怖政治、パワハラの扉を開いてしまうのです。
そして、一度、手にした「楽なマネジメント」は手放せません。
一度手にした売り上げも手放せません。
そして腹心からはやし立てられたりする地位も、手放すことはできません。

結果として、ズルズルとパワハラがエスカレートし、いつしか感覚がマヒし、ゲームのようになってきてしまうのではないでしょうか。
そこそこしっかりした親ならば、そんな様子を見るとさすがに歯止めをかけようとするのでしょうが、そのような抑止力は起動しなかったようです。
そもそもの企業文化なども影響することがありますので、やはりそういった種は以前からあったのかもしれません。

先代は人格者?

さて、週刊誌の報道レベルの情報ですが、このビッグモーター、社長は人格者だったという話も耳にします。
真偽のほどはわかりませんが、世の親子経営のパターンからすると、そういうパターンも少なからずあります。
かなりナナメ視点に見えるかもしれませんが、人格者は根っからの人格者と、人格者であろうと努力している人とがあります。
もし後者であった場合、基本的にその人は、「自分がどう見えるか?」についてとても強い関心を持っています。
その結果、周囲の人に嫌われないようなベクトルを持って行動するケースが割とあります。

その場合子どもからすると、なんとなく自分への関心が薄いと感じがち。
結果として、ぐれてみたりして親の関心を引こうとしがちです。
あるいは今回のビッグモーターの問題は、そんな親にこっちを見てほしい、という思いから頑張りすぎた(というレベルを越えてはいますが)というカラクリがあったように想像します。

人を動かそうとするとひずみが出る

人を動かしたいという誤り

これも後継者あるあるなのですが、人を自由自在に動かしたい、と強く思う時期があります。
社員はもちろん、家族、恋人、子どもなど。
そしてだいたい痛い思いをして気付くのですが、どんなに人をコントロールしようとしても人は動きません。
いえ、むしろ、コントロールしようとすればするほどおかしなことになりがちです。
私の経験では、社員の一斉退職を経験したりしました。

人を動かしたいときどうすればいいか。
それは、自分が変わることが必要だということです。
人を動かしてどうこうするというより、人が動きたくなる気持ちを持つにはどうすればいいか?という考え方にシフトしてみます。
そして信頼関係の構築が必要で、この組織や、このチームのために頑張りたいという思いを持ってもらう必要性がわかります。

その方法は実は、ハーバード大学当たりでは大体共通して解明されていることがあります。
それはメンバー1人1人を尊重することです。
その人の存在を認め、意見や考えを尊重し、耳を傾けるということです。

難しいテクニックや、圧は不要。
圧で人が動くという意味では短期的にはあるのですが、持続するのは難しいようです。

そんなところを気を付けてみると、後継者のマネジメントはもっと安定し、良い会社づくりができるようになるのではないでしょうか。


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