後継者・跡継ぎは「赦す」ことを覚えると楽になる

後継者・跡継ぎの方が、真剣に社業に取り組めば取り組むほど、こんな風に言われるのではないでしょうか。
「ストイック」と。
これは誉め言葉ではある一方、どこか相手にとっては、ついていけない感覚を感じ取っている可能性があります。
たとえば、元メジャーリーガーのイチローさんをみて、「ストイック」という表現がぴったりだと思う人は多いと思います。それはすなわち、イチローさんと同じことを自分もできるとは思っていなくて、イチローさんの努力やこだわりは、自分には縁遠いものだと感じている人が多いと思います。

わかりやすく言うと、あんなふうにはなれないな、と思う相手に対して使う言葉ではないでしょうか。もし、後継者・跡継ぎの方が周囲の人から「ストイック」と言われている場合、社員の人たちとの距離がどんどん離れている可能性があります。それを防止するのに必よなことを考えてみました。

 

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価値観の違う人に使う言葉「ストイック」

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ストイックになりたくない人が人をストイックと称する

冒頭でお話ししたとおり、ストイックという言葉はネガティブな言葉ではないと思います。自身を律し、集中して求める結果にまい進する様子がイメージされます。人に対して、「あの人はストイックだ」という時そこに批判的な意味合いはなく、素直に感心していることが多いんじゃないかと思います。しかし、一方で、心のなかではこんな声があるのではないでしょうか。
「でも、自分はあんな風にはなれないな」
「あそこまでストイックに仕事をしていて、他の楽しみは捨ててるのだろうか」
こんな風に、その人の価値観との違いを明確に感じているように思うのです。きっと「あの人はストイック」という言葉の裏には、少なからず「あんなふうになりたいとは思わない」というニュアンスがあるんじゃないでしょうか。ストイックな当事者にとってその思いは、自分以外の人との差別化といういみでそう思ってくれる人がいるのは自分にとって有利なので、誰も困らないから良いと言えばよいわけです。

ただ、このストイックさは、個人プレイならいいのですが、チームプレイになるとときおり問題を生じさせます。一つは、チームメンバーにもそのストイックさを求めてしまう可能性がある、ということです。たとえば、なによりも仕事を優先するリーダーがいると、スタッフの一部がたとえば、子どもの行事を見るために会社を休みをとるということにストレスを感じるとか、多少の発熱でも無理して会社に来てしまうとか、すべてを犠牲にして会社を優先させなければいけないような雰囲気を醸し出したりとか・・・。そう、昭和チックなブラック企業の様相を呈してきます。親の世代ならそれが当たり前だったかもしれませんが、これからの会社を担う後継者・跡継ぎの方がこれをやっちゃうと、かなりの時代遅れになってしまいます。

ありがちなのは、孤高の人であった先代である親を見習うあまり、後継者も孤高の人になろうとして頑張りすぎちゃうパターン。これは自分自身も多大なストレスを負いますし、周囲にもプレッシャーを与えるので結構注意の必要なスタイルかもしれません。

ゴールが明確だった時代のマネジメントとゴールのない時代のマネジメント

今の後継者・跡継ぎから見た先代の時代は、ストイックで仕事のできる親がグイグイと組織を引っ張ってきた印象が強いんじゃないかと思います。そして後継者・跡継ぎもそういったリーダーシップを求められているような気がします。だからストイックに頑張るわけなんですが、ストイックさは先ほども言ったようにひとを寄せ付けない雰囲気があります。とくに、それだけストイックな人に対して、誰かが意見を言えるはずもないとは思いませんか?たとえて言うなら、イチローさんに対して、「これからの野球はこういう路線を目指すべきではないか?」なんていう野球論を議論できる人がどれだけいるでしょうか。たぶん、イチローさんと同じくらいに努力している人、イチローさんと負けないくらいストイックな生活をしている人、という自覚のない人がとてもではありませんがそんなことを言えるわけがありません。

多くのまじめな後継者・跡継ぎはその立ち位置を目指しているんじゃないかと思うのです。意識してるかどうかはわかりませんが、チームメンバーである従業員が意見を言えないような孤高の人になろうとしているのではないでしょうか。

実は、昭和時代はそういった孤高の人がもてはやされました。なぜなら、ゴールが明確だったからです。たとえば人生のロールモデルはこうです。いい学校に入り、いい会社に入れば将来安泰。社会全体が大きくなっていたし、日本の経済は規模を毎年大きく伸ばしてきたから、普通に会社をやっていたら売り上げは伸びました。需要に対して供給がまだ十分でなかったので、そこそこ儲けもとれました。だから、親の代では今までやってたことを一生懸命やるということと、その一生懸命やる人を増やすことで、会社は大きくなったし、それがすなわち昭和時代の成功でした。しかし今はどうでしょう?いい学校を出ていい会社に入ってもいきなりリストラされたり倒産されたりという現実があります。ある方はご子息に厳しい教育を施し、見事メガバンクへの就職を決めましたが、その年にメガバンクは万人単位のリストラを発表。若い彼らがリストラされるわけではないにせよ、将来に対する重い空気を感じざるを得ません。

なにかの本でみましたが、昔はドラクエやFFといった「明確なゴール」「明確な敵』があるゲームが人気だったのが、最近は、ポケモンGOやどうぶつの森に代表されるように、明確な敵もいなければ決められたゴールもないゲームが人気のようです。パターン化されたゴールではなく、だれもみえず、正解のない道を私たちの世代は進む必要があります。

ゴールの見えない中で一人で悶々と考え込んで、その答えを伝え、指示するのではビジネスの変革は出遅れてしまいます。リーダーのみならず、メンバー全員が五感で感じ取ったことを持ち寄り、次の一手をどうとるかをそれぞれが考えるということが今の組織に求められることなのではないかと思います。そういったときに、リーダーのこれ見よがしなストイックは、少し弊害をもたらす可能性が出てきそうです。

完ぺき主義は自分の価値を認めていない可能性大

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

なぜ後継者・跡継ぎはストイックになるのか?

後継者・跡継ぎと言われる立場の人のうち、たぶん7~8割くらいの人はストイックさとは縁遠いところにいると思います。どちらかと言えば、あまり物事を深く考えず、親の会社を親の言いつけ通りに運営している感じじゃないかと思います。そうではなくて、今まで通りやるとか、親のやり方でやるとか、そういったことに対する葛藤を持つ人が自分なりの考えを持ち、一人努力をしているのではないかと思います。それゆえけっこう精神的にしんどいところにいると思います。

そしてストイックな行動や生活習慣を持つ人の多くは、自分に対して非常に厳しい人が多いと思います。多少の成果をあげても満足できない。一瞬は喜ぶのですが、きっと心の中にこう諭す人格があるんじゃないかと思います。「いやいや、まだまだだ。このくらいのことで喜んでいてはいけない」と。つねに自分を律し、もっと、もっとと欲を持つのは悪いことではありません。ただ最近思うのですが、「もっと」という欲は留まることを知りません。ある後継者は、会社の売上を自分が代替わりして数年で倍にしたのに、まったく満足できないでいます。この「どこまで行ってもやり切った」感がないのはどこに原因があるのでしょうか。

ところで、私は人の人生は「幸せに生きる」ことが目的だと思います。そして幸せをどんな時に感じるかというと、物事に一生懸命取り組んでいるときだと考えています。いい結果が出た時ではなく、一生懸命な時です。しかし、多くの後継者・跡継ぎは一生懸命な自分では満足できず、結果を求めます。ビジネスパースンとして、結果を重視するのは当たり前、と言われるかもしれませんがなにかがその「結果」にフォーカスさせているような気がしてなりません。そのなにか、を私は「自分が認められたい」という思いだと分析しています。

認められたいから、ストイックに努力するし、認められたいから結果にこだわる。
逆に言うと、一生懸命やっている時間は本当はめちゃくちゃ楽しいはずなのに、それを楽しむことに禁欲的になって、結果だけに依存しようとするわけです。
ストイックな後継者・跡継ぎが無意識に持っている価値観は、自分が人生を楽しむということではなく、自分が誰かから認められることが最も優先されているということ。これ、少しツッコんだ言い回しをするなら、自分のための人生を生きてるとはいいがたい状態じゃないでしょうか。自分の幸せ以上に優先するものがあるわけですから。

まずは自分を赦す

結局、成果を出せば自分が認められるに違いない。そんな他者からの評価を求めている後継者・跡継ぎは、どこまで行っても空虚な思いを抱えることが多いようです。その空虚さを「野望」みたいな大きな夢をあえて打ち立てて紛らわせようとしますが、たぶんそれを達成したところで、心の渇きは癒されることはないでしょう。
ストイックに努力する、結果にこだわる、いずれも社会的には素晴らしいことだと言われていますし、私もそれは大事なことだと思っています。ただ、そういった方向へ突っ走る中でも、まずは自分を赦すというオプションを検討してみてはいかがか?と思うのです。なにしろ、ストイックなふるまいは「自分は何かが足りない」という前提がある可能性が高いと思います。ないから、獲得すべく行動するわけです。

何か自分ではうまくできないことがあるとします。それを克服しようと努力することも素晴らしいことですが、自分の得意分野ではないのだからと認め、人にお願いすることも結構大事だと思います。後継者・跡継ぎの人って、たぶん人に頼み事するのが苦手じゃないですか?命令ならできるんでしょうけど、あいだがない(苦笑)人を頼ってもいい、という赦しを自分に与えてみてください。そうすると、今まで一人で歯を食いしばってやってきたことが、とっても楽に解決することもあるかもしれません。

苦しい思いをしても努力し続けることが美徳ならそれをやめる必要はありませんが、できても、できなくても、自分は自分として価値がある事を自分に対して認めてあげるというのがもしかしたらいま後継者・跡継ぎにとって必要なことかもしれません。

他人を赦す

そして次の段階では、人を赦すことを身につけるとすごく楽になります。具体的に言うと、たとえば10年目の社員がいて、自分の感覚だとこの社員はもうこのくらいのことはできてあたりまえだと感じているとしましょう。しかし実際にやらしてみると、全くダメなわけです。なぜこんなこともできないのか、なぜこの程度の気配りができないのか、なぜこのくらいの勉強をしていないのか、と腹立たしい思いをすることはあるのではないでしょうか。それは、自分はこんなに努力してきたのに、この社員は自分と同じだけの努力をしていないんじゃないか。だとしたら、不真面目じゃないか、となって、だんだんと自分が馬鹿にされているような感覚に陥ることがあります。

実は意外かもしれませんが、これもまた、自分への評価が低いから出てくる考えなんです。自分ごときがここまでできているのに、そこまでできてない他人が許せないのです。

しかし、人の能力も、習得するスピードも、見える世界も、それぞれに違います。また、仕事にかける情熱もやっぱり違うでしょう。後継者・跡継ぎはいずれ会社全体の責任を持つ前提で働いていますが、彼らはあくまでサラリーマンとして使われる立場としての視点しか持っていないことがほとんどです。そんな人と比べて、「自分レベルに達していない」と腹を立てるのはちょっとおかしい。人はそれぞれであって、彼らの持ち味がそれぞれにあって、そういった彼らの行動をしっかりと見極め、彼らが何を考え、どこへ向かっているのを少し受け身的に見てみるといいかもしれません。それぞれが愛すべき人間です。こういった人々の、ちょっとしたやらかしも含めて赦し、受け入れます。そうすると、小さなことで腹を立てることが少なくなってきます。

親を赦す

親子での事業承継は、親子の確執のドラマでもあります。これも、後継者・跡継ぎの視点から見ると、なんとも自分たちにとって困った動きばかりする親がいたりするわけです。私も一時期、父が自分の思う通りに動かないこと、私の考え方にコミットしてくれているとは思えない行動にいちいち腹を立てていました。しかし、彼には彼の想いがあり、行動パターンがある。それを合わせようとしてくれているような痕跡も見えるし、そうでないときもある。そんなところを見ていると、まあ少しは歩み寄ろうという努力もしてくれるのかな、と思うわけです。すると、身勝手に見える行動も赦すことができるかもしれません。そうそう、そういえばコロナの影響でビジネス上なかなか見通しが不安な中、私の社用車は8年乗っているのに私に断りもなく新型クラウン買ってましたが、まあそれも含めてにやりと笑って赦せる。こんなもんだ、と思えば意外と大丈夫です。私たちは「自分に都合がよくなるべき」という思い込みをしているからしんどいのであって、思いどおりならない前提であることを受け入れることさえできれば、案外いろんなことが受け入れられるのかもしれません。

極論すれば、自分の代で会社をつぶすことになったとしても、自分なりに納得する理由があればそれも仕方のないこと、と起こりうることを赦すことも場合によっては必要なことも出てくるんじゃないかと思います。もちろんそんな事態は避けたいわけですが、はじめに覚悟をしておくとそれなりに大胆にも慣れるものではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

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