後継者

後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(4)自分が受け入れられるとなぜ問題が解決するのか?

親の会社を継ごうとする後継者の末期症状としてこんなものがあります。
「周囲の人間が自分の思う通り動かないと気が済まない」というものです。

前回の記事、後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(3)社員を受け入れる方法にひきつづき、
今回は、自分が受け入れられるとなぜ問題が解決するのか?ということについて考えてみたいと思います。
——————————————

■後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック

後継者のストレスの本当の原因

仕事が合わない?自分の言う通り動かない?

後継者として壁にぶつかると、いろんなことを考え始めます。
ずーーっとあるのは、「仕事が自分に合ってない」ということ。
あとは、周囲の人間が、自分の言う通り動かない、
思い通りに動かない、といういら立ち。

一応さぁ、後継者だって言って祭たてられて、
それなりに息苦しい日々送ってきて、
それなりに自分は頑張ってるつもりなんだけど、
誰もそんな自分に協力的じゃない。
そういうことに気付いてしまうと、もう、やってられるか!ってなってしまいます。

後継者の理想

じゃあ、後継者にとって理想の姿は何か?というと、
自分にとって楽しい仕事であってほしいし、
社員は自分が「こんなことしたいなぁ」と思ったらそれに合わせて動く。
実行計画とかまでは考えなくたって、アイデアだけぽろっと話せばそこに向かって馬車馬のように働く右腕がいる。
そんな状態じゃないでしょうか。
私はそうでした(笑)

これって、ある事への反動なんです。
それは何への反動なのでしょうか?

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

尊重されてもよいのでは?

義務と責任と権利

後継者って多くの場合、義務からその役割を演じています。
そして、その義務は責任としてのしかかります。
じゃあ、義務の裏にある権利だって手にしていいはずです。

それに応じた報酬とか、自分が思ったように組織が動くとか。
けどそれをなかなか手にできないわけです。
その理由は例えば、親が握りしめて話さないとか、
そもそも社員がそういうことにコミットしないとか。

理由はどうだっていいのですが、後継者にとって大事なのは現状です。
自分は義務を果たそうと頑張っているのに、誰も権利を与えてくれない。
これはいいかえると、自分は尊重されていない!
という思いに集約されているのではないでしょうか。

義務とか責任に応じた扱いをされていないじゃないか。
これが多くの後継者の本音レベルの言い分じゃないかと思うのです。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

尊重されるとどうなるか?

じつは、後継者の不満の多くは、この「尊重されていない」という思いにあると私は考えています。
症状としての出方は、冒頭のお話のように様々です。
しかし、
仕事が向いていない→仕事が楽しくない→やらされている
という感情と、
人がついてこない→自分のことを尊重していない
という感情が重なって、後継者のストレスを構成しているんだと思います。

いろんな症状の原因が、後継者が「尊重されていない」という思いだとすれば、その原因を取り除くことでほとんどのことが解消されてしまいます。
もちろん、今の会社のビジネスが古いとか、会社の改革が進まないとか、リアルな問題はありますよ。
けど、それだって、ちゃんと社員とのコミュニケーションがとれれば、何とかできるんじゃないでしょうか。
自分がフラットな状況で会社のかじ取りをできれば、たいていのことは何とかなるものです。

「奪われ」感が後継者を苦しめる

全体を見渡してみると・・・

後継者の心的ストレスの最も大きな部分。
それはたぶん、「奪われ」感なんですね。

自分の人生を奪われた、
自分の夢を奪われた、
自分の未来を奪われた、
自分の楽しみを奪われた、
自分の幸せを奪われた。

まあいろんな表現があると思いますけど、
親が商売人だったから、自分は後継者だし、
後継者として頑張っても、誰も認めてくれないし、軽く扱われる。
けどけど、一番の問題は、自分が自分を軽く扱っていることにあるんだと思います。

人は、自分で自分のことを認められれば、決して他者の評価を気にする必要はないのです。
けど自分で自分を満たすことができないから、他者に満たしてもらわないといけないわけです。
こういった他者依存があるから、後継者は環境に左右されます。
結論を言ってしまうなら、「他者がなんといおうと大丈夫な自分」になるとすごく楽だし、面倒がない。
そのシンプルな方法が、自分の思いに正直なる、とういうこと。

congerdesignによるPixabayからの画像

自分に正直になる練習

そもそも後継者の場合、「本当の自分」ってどんな自分だろう?
そこから始まることが多いと思います。
それぐらい、自分のことへの関心よりも、周囲から見た自分のことに集中しすぎているんですね。

こうなると、意識的に「自分の本心」を探るのは難しいので、日々の生活の中で「いつもとは違う選択」を常に心がけてみるのがおすすめです。
このシチュエーションで飲みに誘われてもいかないよな、という状況で「今回だけは」誘いに乗ってみる。
人とこんな風につきあわないよな、という状況で、「今回だけは」付き合ってみる。

まあ、それがすべて気づきにつながるとは言いませんけど、何度かに一度「ああ、自分ってこういうことが好きなのかも」と思える小さなことに出会える可能性はあります。
そもそも選択のパターンを少し変更することで、自分の選択回路が変わってきます。
だから長期的視野で見て、常に「いつもと違う選択してみようかな?」と自分に問うてみてください。
きっと何か発見があると思います。

それは自分を「尊重している」ということ。
そうすればたぶん、自分が喜びます。
まあそこまでいかなくても、社員に尊重されたらその一歩手前までは行きますから、いろんなことに余裕を持つことができます。
これは私自身経験していますので、ぜひ体験してみてください。

 ——————————————

■後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック

関連記事

  1. 究極の選択で悩んだときにはどうすればいい?~後継者がループにはまるとき…

  2. 親子の事業承継で起こる問題は直接的に解決できないことが多い

  3. 率先炊飯が苦手な後継者の方へ ゼロイチ(0→1)とイチジュウ(1→10…

  4. 事業承継の問題は心の問題

  5. どこに行くかが見えないと、人はついていくのがばかばかしくなる

  6. 親子の事業承継を拡大解釈してみると・・・

  7. 「何もしない経営者」を後継者がやるとしたら……

  8. 事業承継 技術に頼った経営継承の失敗例