後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(3)社員を受け入れる方法

あなたは、社員を受け入れてません!
なんていうお話をさせていただいたのが、前回のお話でした。
(『後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(2)後継者が居場所を作るステップ』)

じゃあ具体的にどうすれば受け入れることができるのでしょうか。
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コミュニケーションの不動のコツ

反応してはいけない!?

心理学者のトマス・ゴードン博士は、取ってはいけないコミュニケーションの反応としてこれだけのことを挙げています。

命令・指示(相手を強制する)
脅迫・注意(それをすればどんな結果になるか言う)
説教・訓戒(何をすべきかすべきでないか言う)
提案・忠告(助言、忠告、提案する)
講義・論理の展開(理詰めで迫る)
批判・非難(相手に否定的な評価をする)
賞賛・同意(肯定的な評価をしたり、賛成する)
悪口・屈辱(辱める)
分析・解釈(動機は何かを解釈したり、原因を分析したりする)
同情・激励(今の気持ちから抜け出させようとする)
質問・尋問(原因、理由を見つけようとする)
ごまかす・注意をそらす(相手を悩みからそらそうとする)

ゴードン博士の人間関係を良くする本

これに従うと、ほとんど相手の会話に反応することができません。
一般的には「褒めて育てよ」という話もありますが、「賞賛・同意」もまた、あまりお勧めできないコミュニケーションの反応です。

なぜかというと、褒められることはおおむねいい関係を作るのですが、時と場合によってはそうとも限らないからです。
たとえば、自分が自分より格下と思っている意図から、「おお、よく頑張ったね」なんて言われたら、「何上から目線でしゃべってるんだ」とムカついたりしませんか?
褒めるというだけではなく、これらの反応はすべて、シチュエーションによっては話し相手が「自分が尊重されていない」と感じる可能性が高いのです。

「提案・忠告」などは、目に見えてムカッとするわけではないかもしれませんが、「余計なお世話」と心で毒づくこと、ありませんか?
「ごまかす」というのも、自分のことをちゃんと聞いてくれてない、という印象を植え付けますし、質問攻めは「いい加減にしてくれ」となります。

じゃあ、果たして私たちは、社員とどんなコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?

ただ、聴く

そこでトマス・ゴードン博士は、「ただひたすら聴く」ことを勧めています。
相手に集中し、適度に相槌を打ちながら聞く。
時に、話を促すような合いの手を入れながら、ただ聴くのです。
時に、相手の言葉をオウム返しのようにいうと、相手はそのことに「聴いてもらえている」という安心感を持つとともに、自分が何を言っているのかを第三者的に見ることができるようなったりもします。
ゴードン博士は、話の聴き手は、相手の「鏡になるべき」と言っています。

相手が話したいだけ話すと、どこかのタイミングで話し手はだんだんと冷静に自分の話を判断するようになってくることがあります。
「ほんとはこんな風になってほしいんだけど、やっぱりそれって、わがままですよね」なんて言う風に自己完結し始めるんですね。
そこまでは、ただただ、耳を傾ける。
ゴードン博士はそんな振る舞いを推奨しています。

Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像

話を聴いてもらえたという喜び

私たちは自分の話を最後まで聞いてもらった経験は少ない

今あなたが思っていること、感じていること、伝えたいこと。
これらをしっかり、じっくり聞いてもらった経験はどれほどあるでしょうか。
たとえば親友に「悩みを聞いてほしい」と誘い出しても、きっとあなたが10分も話さないうちに、
・アドバイスや個人的意見
・その友人の見解
・あなたの意見への同意
・あなたのふるまいへの批判
など、いろんな反応があるんじゃないでしょうか。

そしてその都度、あなたの話の腰を折られてしまいます。
これは別に、親友が悪いわけではありません。
親友は親友で、その場で何かしら物事を解決してあげたいという、好意からの反応です。
しかしあなたはきっと、そんな解決策を表向きは求めていても、心の奥底では求めていないんじゃないでしょうか。
ただ話を聴いてほしいだけなのです。
話を聴いて、スッキリすれば、自分なりの解決策を用意できるはずなのではないでしょうか。

誰しもがそんな状況にあります。
それはあなた自身もそうですが、あなたの部下もきっとそうなんです。

最後まで話を聴けば起こる事

「書く」ことで、考えがまとまったり、ストレスが低減されたり、気分が軽くなったりした経験はないでしょうか?
うつ病の方が、とにかく思ったことをノートにつづるだけで、その病状が軽くなったということもあります。
私見ですがその理由は、上記の「やってはいけないコミュニケーション」をやられることなく自分の思いを吐露できるからなんじゃないかと思うのです。
たとえどんなに腹黒い話でも、どんなにみじめな話でも、誰も見ないノートに書く言葉は評価も受けなければ、批判もされません。
そうやって自分の気持ちを吐き出すことで、うつ病の病状が良くなることはけっこうあるようです。

普通の人たちも同様で、常に私たちは「批判されたらどうしよう?」とか、「変な奴と思われたらどうしよう?」とかいった恐れを常にいだいています。
だから本当の気持ちを人前で吐露することはかなり珍しいのです。
しかし、あなたが相手なら、批判もされず、評価もされず、ただ耳を傾けてくれるという状態だとしたら・・・。

きっとその人にとっては、生まれて初めて本当の自分をさらす相手にあなたがなるのではないでしょうか。
そんなことができる相手を、果たして軽く見ることがあるでしょうか?
普通はないと思います。

社員を受け入れるというのはそういうことなのです。
相いれない価値観なども含めて、まずはそれを批判も評価もせず受け入れる。
ここがスタートになります。

serrano1004によるPixabayからの画像

社員を受け入れればあなたは受け入れられる

そうやって社員を受け入れることができれば、社員もあなたを受け入れ始めるはずです。
そりゃあそうですよね。
これほど深くつながった相手をむげにするはずがありません。

もちろん意見が合わない部分も当然出てきます。
けどそれは、相手は相手、自分は自分としてお互いの価値観を尊重しあえばいい話です。
そもそも、相手の価値観を知るというところまでもいかない関係だから、後継者は疎外感を感じる状況に追い込まれるのではないでしょうか。

人間という生き物はどうも気が短いようで、
「俺を受け入れろ」とばかりに相手に迫ろうとします。
逆の立場だったら、そんなの受け入れられないというのはわかるはずなのに。
けど逆に、まずは相手のことを受け入れてみる。
そうすると、相手にとっての大事な人になれるというどこか逆説っぽい考え方。
実はこれが、非常に効率的なんですね。

ぜひ、じっくり、関係各所の方とひざを突き合わせて対話をしてみてください。

次回は、自分が受け入れられるとなぜほとんどの問題が解決するかをお話しします。

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