後継者が社員教育や、社員の育成にあたる機会はけっこうあると思います。
勉強会を開いたり、OJTを施してみたり。
しかし、一向に部下は成長を見せない。
そんな困りごとを持っているとしたら、学習の三要素について考えてみるといいかもしれません。
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組織で学び、成長させる。
たぶん、同族経営の後継者にとっては、避けては通れない責務だと思います。
そこで、社内勉強会を開いたりするわけです。
専門的な学びを、専門家を呼んで教えてもらう。
先輩が後輩に教える機会を作る。
後継者自身が講師となることもあるでしょう。
しかし、繰り返し教えても、一向に社員がレベルアップしない。
そう感じることは少なからずあるものです。
ある時は、次から次へと新しい知識を教えてみる。
ある時は、何度も何度も同じことを教えてみる。
知識は多少は増えるかもしれませんが、実際の行動の変化はあまり見受けられない。
そんなことを感じてガッカリすることも多いのではないでしょうか。
ところで人の行動の9割というのは、実はけっこうシンプルな「反応」でできています。
ある刺激がスイッチとなって、脳内のプログラムに応じて一定の行動につながる。
こういったたくさんの「反応プログラム」を誰しも持っているわけです。
たとえば、「この野郎!」と誰かが殴り掛かってきたとき、
すかさず頭を守り丸くなる人もいれば、
その場から逃げ出す人もいる。
なかには、反撃のために構える人もいるかもしれません。
そこまで極端な話ではなくとも、「今月もうちょっと頑張ろう」と言われれば、
よし、頑張るぞ、と気合を入れる人もいれば、
バカバカしい、と聞こえないふりをする者のいる。
その場が苦痛で、顔が青くなる人もいるかもしれません。
本人は意識していませんが、何かをされる、何かの声掛けをされる、といった刺激にどう反応するかは、人それぞれが持っているプログラムです。
学習というのは、そのプログラムを書き換えないと、行動につながらないのです。
そこで意識したいのが、ピーター・クライン博士が言う、「学習の三要素」です。
これは言葉としては決して難しくありません。
①インプット
②統合
③アウトプット
この三つです。
インプットはこれまでの勉強会のような学びです。
この時点で、学びは知識として取り込まれます。
社員教育のほとんどは、ここで終わってしまうんですね。
だから行動が変わらない。
学んだことと、日常の業務は別物になっている状態なわけです。
ここで、統合という作業が必要になってきます。
この統合というのは、今までもっていたプログラムを、新しい知識を取り込むことで書き換える、という作業です。
わかりやすい言葉で言うと、「腹落ちする」という状態ではないでしょうか。
この過程においては、まずは考えて、自分で答えを出してみる、という動作が必要なのではないかと思っています。
だから、何かしらの良質な問いを提供しなければなりません。
考え、その考えを使ってみて、経験していく。
そうして実感したことは、次からの行動に変化を及ぼします。
その変化というのがアウトプットですね。
そのアウトプットに対する良いフィードバックを受け取った時、人のプログラムは書き換えられます。
ということで、学び→考え→実践という流れが必要なのではないかと私は考えています。
だから教育者は、考える機会、部分的にではあったとしても、実践させるフェーズが必要です。
そうしてその体験を共有した時に初めて学習の1つのサイクルが完了する、という考え方です。
で、実はこれをとても簡単な言葉で表した人がいます。
かの山本五十六氏です。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
社員教育というのは、おそらく、教育者自身も成長することが前提となる役割ではないかと思っています。
ぜひ、積極的にかかわっていきたいものですね。
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