親の会社に就職し、その会社を継ごうと頑張っている後継者がその事業そのものを愛せなくなることがあります。
その過程には色々複雑な心理背景があるのですが、結果として親の事業が嫌で、じゃあ新しい事業部を設立しようというテーマが出ることもあると思います。
そうなった時に、気をつけたいことについてをまとめて見ました。
Contents
とにかくやってみる(できれば小さく)
ハレーション対策は小さく始めること
とかく親の会社で後継者が何か新しいことを始める場合、様々な妨害を受けることがあると思います。
それは時に先代自身の反対であったり、古参社員の不服従だったり、従業員による見て見ぬふりだったり。
これまでそこそこ安定して、変化の少ないルーチンワークを行う中で、社内からしてみれば後継者はまったくのよそ者。
そのよそ者が社内改革だー!といっても、なかなか見方はあらわれません。
後継者としては、明らかに「変わった」という強い印象を残せることをやりたいという本音はありますが、たいていは様々な反対にあうでしょう。
そうした場合には、小さく始めることをお勧めします。
わざわざ事業部を作らなくとも、個人的なトライアルから始めるという事にもなり得るかもしれません。
そういったところから、まずは小さくとも実績、あるいは実績につながりそうな兆しを創り出すことが周囲を説得する材料になります。
「こうすればいいはず!」と掛け声や企画書ばかりが立派なプロジェクトはなかなか受け入れられませんので、お気をつけて。
一人でもやるという気持ちを持つこと
後継者は、何かを始めるときに組織を動かそうとする傾向があります。
もちろん、立場的には、若いうちから部長や常務、専務といった役職にあり、リーダー的役割を受けていることが多いと思います。
そういったことがあったり、自分は将来のリーダーであるという自覚を持っていたりする関係で、組織を動かすことに強い執着を持っているケースも多いのではないでしょうか。
その結果、自分でもやるけど、周囲も動いてくれないと困るという前提で物事を考えがちです。
しかし、新しいことを受入れるというのはなかなか難しいものです。
後継者という責任感があるからできる事ですが、一般社員はそうそうそこに対応できるものでもありません。
なのに周囲にも動いてほしい、という思いを持っていると後継者はその希望とのギャップでどんどん苦しくなってしまいます。
ならば、そもそも「ひとりでもやり切ってやる」という思いをもって始めることで、周囲の協力を得られなくともガッカリせずに済みます。
最後は一人になってもやり切る。
この覚悟は、しょぅらい自分が経営者となった時にもとても大事なものになるはずです。
やりきることを第一に考える
締め切りのない仕事の難しさ
多くの仕事には、意識するとしないとにかかわらず締め切りがあります。
いつまでに回答しないとお客様を怒らせてしまうとか、いつまでに納品しないと契約がダメになるとか、いつまでに申告しないとサービスを受けられないとか。
しかし、新規事業というのは特段の締め切りはありません。
そもそも本業があって、そちらがお金を生み出している間は、さほど焦らなくとも会社はつぶれないわけですからスピード感が遅くなったり、すぐにあきらめたりを繰り返しがちです。
もちろん、やりかけて見込みがないなら早めに撤退するのは大事なことだと思いますが、努力の余地を残して撤退を繰り返すのはいかがなものかと思います。
マストでない仕事をやるのが新規事業です。
その難しさについてしっかりと認識したうえで、前にすすむことにきをつけていきたいところです。
やり抜く力を持ちたいですね。
孤独な闘い
中小企業における新規事業の位置づけ
ずいぶん昔から言われているのは、企業の寿命はだいたい30年くらいということ。
これは、ある調査から導かれたものですが、大企業であってもその程度なので単に、事業承継の失敗とはいいがたいと考えています。
それは単純に、主力商品の商品ライフサイクル上の寿命が尽きたという事じゃないかと思います。
本来なら、次から次へと新しい商品を生み出すことができればいいのですが、多くの会社は今の商品の延長線上にある商品しか作り出せず世間から取り残されていくと言った構図があるのではないかと推察しています。
となると、中小企業においても、事業承継と同じくらい大事なのが新事業の開発です。
しかし社内にその役割を担う人もおらず、プロジェクトチームを組めるほどゆとりがないのが多くの中小企業の実情ではないでしょうか。
そこで会社の本流のルーチンとは外れて仕事ができる人がいるとしたら、後継者であることは間違いないと思います。
なかなか実績も出ず、評価もされない仕事です。
そして多くの場合孤独になりがちです。
だから、つらくなってしまうのですが、そういう役割なんだと割り切って事に当たる必要があるんだと思います。
それこそが事業承継の目的なんじゃないかと思います。