後継者

後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(2)後継者が居場所を作るステップ

後継者が会社の中で居場所を失いがちであるはなしは、前回お話ししました。
(『後継者は居場所を作ればほとんどのことは解決する(1)なぜ居場所がなくなるのか?』をご参照ください)

自分の精神的なよりどころを失ってしまうから、焦り、社内をコントロールしようとし、それが逆に会社からの距離感に感じるような結末になりがちであるということをお話ししました。
そしてそういった距離ができてしまう理由は、自分が相手を受け入れていないから、ということでした。

では今回は、どうすればその状況を脱することができるのか?を考えてみたいと思います。

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社員が自分から離れてしまった・・・と感じたら?

Brigitte WernerによるPixabayからの画像

後継者は頑張るほど社員との距離が離れる

皮肉な話ですが、後継者が頑張れば頑張るほど、既存社員との距離は離れがちです。
そして、その距離を縮めるために後継者は何をするかというと、相手を動かそうとするのです。
社員を自分の思い通り動かすことで、自分との距離をちぢめようとする。
しかし残念ながらうまくはいかないですよね。

なぜなら、それは社員を自分が受け入れていないから、という話を前回しました。
厄介なことに、自分では気が付かない状況で、社員のことをシャットアウトしていたのです。
社員の行動の一つ一つが気になる。
つまり、社員の行動を信用していないわけです。
社員が思考錯誤しようとするのを受容していないのです。

このニュアンス、文字でお伝えするのは難しいのですが、なんとなくの雰囲気はつかんでいただけているでしょうか?
社員が失敗するかもしれない行動を受容できない。
だから、失敗しないよう指導・強制するのです。
それは誰のためか?といえば、自分の身を護るためです。
厄介な問題を社員がおこさないよう(そもそもあいつらは問題を起こすかもしれないと信じている自分がいる)、問題につながりそうな行動を制限してしまうのです。

社員からすれば、面白くない話です。
まったくの自由を奪われて、仕事がイマイチ楽しめない。
会社の中の雰囲気はどんどん悪くなりそうですね・・・。

許すことができるか?

ここで大事なのが、社員のミスをゆるすことができるか?という問いです。
いかがでしょうか?
ミスや失敗に対して、腹立たしくてしょうがない、ということであればたぶんあなたと社員の距離は相当離れているでしょう。
なぜかというと、社員から見たあなたは、上司としての責任を果たそうとしていないからです。
自分がミスの責任をかぶりたくないから、部下を自在に動かそうとする。
これって構図としては、自分の保身のために、部下を動かそうとしてることになります。
そして部下は、損な上司の意図を見抜きます。
「ああ、この上司は、自分のために俺たちを使ってるんだ」と。

じゃあ、とばかりに社員も割り切った関係でいいじゃん、ということになります。
必要以上のことはしないし、必要以上の気遣いもしない。
ただ言われたことを言われたようにしかやらない。
そうやって、社員はどんどんモチベーションを下げていきます。

許すことで起こる事

いっぽう、社員のミスや失敗を許し、自分が責任を負う覚悟をもったとしましょう。
社員は思いっきり自分の能力を使おうとします。
かりに、ミスが起こって上司である後継者がツラい立場に立つことになったら、その社員は上司である後継者のために役立ちたいとは思わないでしょうか?
GIVE&TAKEというほどシンプルではないと思いますが、助けてくれたり、後ろ盾になってくれる上司に部下は貢献したいと思うでしょう。

しかし、ミスを責める上司には、義務以上の仕事をしない。

人間というのはあまのじゃくな生き物なのかもしれませんね。

受け入れるということ

Sven LachmannによるPixabayからの画像

自分の後ろ盾となってくれた人に、人は尽くす

部下がミスや失敗をしたとします。
そのことを責めることなく、部下の成長のために尽力した後継者がいたとしましょう。
部下一人一人の成長にコミットしている後継者に何が起こるでしょうか。

予想通りのことが起こるはずです。
部下は後継者を信頼し、後継者の声に耳を傾け、後継者の力になりたいと考え始めます。

「オレに従え!」と気張れば気張るほど、部下は反抗的なのに、
「お前たちが成長できる環境づくりをする」と決めた途端に、部下はあなたのほうに注目を始めます。
やっぱり人はあまのじゃくなんですね。

なぜこうなるかというと、カラクリはシンプルです。
だれもが、自分のことが一番大事だということ。
そしてその自分のことを大事にしてくれた人を、人は信用するのです。
ただそれだけのことです。

人を受け入れるということ

人を受け入れるということは、このように相手の失敗も含めて受容することです。
人間、自分の弱点や欠点を人に見せたくないと思っています。
なぜかというと、そのことで嫌われることが怖いからです。
しかし、そういうことを含めて、「大丈夫」というメッセージを無言のうちに相手に送る。
それが、相手の失敗を受け入れることだと思います。

そしてこれがスタート。
相手を受け入れることで、後継者はだんだんと受け入れられるようになります。
かけがえのない存在になるまで、そんなに長い時間を要しないと思います。

そして弱さを見せる

相手を受け入れ、自分が受け入れられたら、自己開示の時間です。
自分の弱さを社内で見せてください。
「ああ、これ出来ないんだよね」
「苦手なんだよなぁ、こういう作業」
「誰関わってくれる人いない?」

人間、誰しも完璧なんてありえません。
後継者が完ぺきであるべきなんて話も幻想です。
そんな幻想をいつまでも信じている必要はありません。
とにかく社内で弱い部分を明確にしてください。
そうすると、自然に、あなたの弱い部分をカバーしてくれる人が出てくるはずです。
これぞまさに、目指してた全員経営じゃないでしょうか。

受け入れればすべてうまくいく

ということで、今回のお話はある意味薄い。
お気づきになられた通り、とにかく社員を、部下を受け入れよう。
それしか言ってません。

けど私たちは、まずは自分を受け入れさせようとするばかりに、相手が遠ざかっていることに気付いていません。
順序が逆なのです。
だからまずは相手を受け入れ、次に自分を受け入れてもらう。
この順序さえ間違えなければ、ほぼほぼうまくいきます。

じゃあその具体的な方法について、次回考えてみましょう。

7721622によるPixabayからの画像

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