ある商店がこんな実験をしたそうです。
店先に、あるボタンを用意した。
そこには看板があって、
「入店時には必ずこのボタンを押してください」
と書いておいた。
その結果は・・・
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ずっと観察してたわけではないので正確なデータとは言えないそうですが、9割近い人がそのボタンを押したそうです。
何の意味があるかもわからないボタンを、押してくださいと言われたから押す。
まあ、よくある話ではあるものの、こうやって言葉にすると「それでいいのか?」と心配になります。
他にも、ホームページなどでよくある、「ご購入は今すぐクリック!」という文言。
実はこの文言も、あるとないとでは、購買率がかなり変わるそうです。
とうぜん、今すぐクリック!とあったほうが、圧倒的にクリックされやすいとか。
後継者に限った話ではありませんが、人は指示された時意外と無意識に従っていることが多い。
人が集まるところで「立ってください」と言われると、急ぐ必要もないのにそれなりに早くたたなきゃ、なんて思ってしまう。
さて、この無意識に・・・というところが厄介なところ。
なにしろ何も考えずに、行動してしまう。
いわば、反射的にやってしまうわけです。
たとえば、「売上を上げよ」と言われたとします。
すると、なんの思考もなく、身体を動かそうとします。
営業の立場の人なら、たくさんのお客さんに電話・訪問するとか、営業マネージャーなら営業社員のケツをたたくとか。
要は、過去の習慣を反射的に強化する。
今まで、やってなかったのか?と言われると、そんなことはないでしょう。
ここで問題のループが発生します。
①売上が思った以上に上がらない
↓
②営業活動の強化をする
↓
③期待通りの結果が表れない
↓
④限界を感じて嫌になる
↓
⑤行動がしにくくなる
・・・で、振出しに戻るわけです。
冷静に考えれば、営業活動の強化を行ってもうまくいかないなら、他の方法を考える必要があります。
たとえば、商品に改善が必要なのではないか、
顧客層を変える必要があるのではないか、
商品のアピールポイントがずれてるのではないか、
売り方を変える必要があるのではないか、
などなど、検討すべき項目はいくらでもあります。
しかし、こういったループにはまっているとき、営業会議を開いてもほとんど公開処刑。
たまたまうまくいった人は労われ、そうでない人が問題児としてやり玉にあがる。
会社の雰囲気はどんどん悪くなって、成果も上がりにくくなる。
これが、いろんなシーンで起こっています。
たとえば、何気なく発された先代の言葉。
本来は、後継者を攻めるつもりなんて全くないものであったとしても、後継者は即座に「自分が責められている」と感じがちです。
以前ご紹介した話ですが、私が会社の原付で事故を起こしたとき。
父である先代は、大声で「どうした!?」と叫びました。
私はそれを「会社の原付で事故を起こすなど言語道断」と責められていると思いました。
しかし、それを見ていた従業員は「あなたのことを心配して焦ったから大声になった」というのです。
それも冷静に考えれば、理解できる話だったのかもしれません。
なのに、私にとって先代から怒鳴られることイコール私が責められること、という条件付けがされるので即座にそのように結びついてしまいます。
先代が怒っていたら、私のせい。
こういう反射的な反応が身についていたのでしょうね。
さて、ボタンを押せと言われればボタンを押す。
ここには「自分の考え」が差しはさまれていません。
結果を出せと言われて、営業強化をする。
これも自分で考えるという動作が抜け落ちています。
そして、大きな声で話されることイコール責められている。
これまた反射的に湧き上がる感情。
つまり、これらの例の共通点は、自分で行動や感情をコントロールしていない(しようとしていない)結果です。
もう無意識でやっちゃってるから、自分で考えていないことさえ気づいていない状況。
まずは、「自分で考えていない」ことに気づくことから始めないのかもしれません。
そこで、タイトルのお話です。
何か指示や投げかけられた言葉、さまざまな外的な刺激があった時、まずは止まってみる。
ボタンを押せと言われたら、押す前に止まる。
結果を出せと言われたら、行動する前に止まる。
怒鳴られたら、反射的に反抗する前に止まる。
そのうえで、状況を把握し、考え、自分なりの答えを探してみる。
そういう癖をつけることで、自分がいかに反射だけで暮らしているかがよくわかります。
このトレーニングを行うことで、状況を冷静に観察することができるようになり、周囲で起こっている事の理解が深まります。
こういうことを意識することで、あなたが先代に感じる感情の正体がわかる可能性は高いと思います。
一度試してみてください。
参考文献
『アレクサンダー・テクニーク やりたいことを実現できる〈自分〉になる10のレッスン』(小野ひとみ)
マンガでやさしくわかるU理論 (中土井遼)
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