会社を起業するというのは、普通の人にできることではありません。
なにしろ、うまくいく確証もないことに飛び込むわけですから、相当なリスクです。
今なら、ライトな副業から始める起業や、1円起業といった比較的リスクを取らない起業が可能になっていますが、私たち二代目経営者の親の時代にはそんなに生易しいものではなかったはずです。
そうやって会社を作り、軌道に乗せてきたという創業社長は、ある意味、異能の人といえるかもしれません。
率直な表現をすれば、変わり者といっても差し支えのないくらい個性的なのではないでしょうか。
そして私たちはそんな個性あふれる創業者の子どもとして生まれ、その会社の未来を託されているわけです。
それゆえ、悩みも多い。
あれだけバイタリティ溢れる親のあとを自分が担うことができるのだろうか?
そんな思いが強く去来するのではないでしょうか。
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Contents
先代は異能の人。二代目社長は?
創業者は火を興し、二代目は薪をくべる
創業社長というのは、リスクを負うことをいとわないことが多いと思います。
しかし実は、そのリスクを負わないというものにも、ある一定の法則が見て取れるはずです。
それは、そのリスクを冒した結果、自分が称賛される・認められる・注目される、といった結末が予想されるときです。
もともと自己顕示欲が強いタイプの人が多く、自慢話は大好きなのでそのネタ作りになるならリスクをいとわない傾向があります。
そもそも起業するというかなり大変なことをやり遂げる原動力には、自分が評価されることへの強い欲求があると考えられます。
こういった特徴を持つ人ですから例えば、会社の資金繰りが厳しい時にでも見栄を張っていいものを買ったりすることがあったり、寄付みたいなことをしてみたりすることがあります。
二代目社長からすると、意味不明な行動も、実は創業社長のなかでは一貫した「自己顕示欲を満たす」という行動なのです。
こういった比較的本能に近い思考回路で動くことの多い創業社長は、それゆえにパワフルです。
自分の情動に対して非常に純粋ですので、その力強いモチベーションが会社を成功に導いてきたという現実があります。
さて、こういった私的な強い思いを傾けて創業し、会社を育ててきた創業社長は、いわば会社という火を興した人です。
焚火でも火をつけるのが一番大変なのですが、その役割を創業社長の強い思いで実現した後、その炎を放置すれば残念ながら火は消えてしまいます。
私たち二代目経営者は、この炎を維持するための「薪」をくべる役割があるのではないかと思います。
創業社長と二代目の役割は違う
私たち二代目経営者は、親である創業社長と同じことを同じようにできるべきである、という思いを持ちがちです。
しかし、せっかく創業者が興した火を放置して、自分で違う火を興すのはあまりにも非効率です。
必要に応じてそうすることもアリなのかもしれませんが、できる事ならば、創業者が興した灯を絶やさないように薪をくべ、育てていくのが一般的な考え方でしょう。
つまり、創業した親と、後継する二代目経営者の役割は、まったく違うという事です。
それは、個別に人の手でやっていたことをシステム化やルール化したりして効率化していくフェーズでしょう。
ただ現実問題としての難しさは、たんにシステム化、ルール化で終わらないところではないかと思います。
そこに新しいテイストを追加していかないければ、ビジネスは劣化していきます。
たとえば、30年前の創業であれば会社も何度かのマイナーチェンジはしたかもしれませんが、そろそろフルモデルチェンジが必要となっている可能性も少なからずある、という事だと思います。
二代目経営者の原動
フルモデルチェンジとなると必要なエネルギーは、起業に匹敵するくらいのものになるのではないかと思います。
では、そのエネルギーはどこから来るのでしょうか。
それを創業社長は、「称賛されたい」という強い思いからだったのですが、二代目社長についてはあまり言語化できていないケースが多いと思いますが、「親に認められたい」という思いが利用できるのではないでしょうか。
実際には、親に認められたいという思いがかなえられることは多くはありませんが、何かを興す原動力としては利用できるのではないかと思います。
そこで、日清食品の二代目社長の事例を参考にしてみてはいかがかと思います。
創業者のビジネスを凌駕する
打倒!親のビジネス
こういったメンタリティーが良いか悪いかは別として、参考となりそうな話が、『カップヌードルをぶっつぶせ!―創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀 』(安藤宏基)という本の中で紹介されています。簡単にいうと、「打倒!親の作ったビジネス」です。創業者のビジネスが有効な間にそれを凌駕するビジネスを育て上げようというものです。
ベタな言い方をすれば、二代目社長による第二創業といわれる話ですね。
もちろん、その過程は決して簡単なものではありません。
すくなくとも、創業社長はあまりいい顔をしないことが多いのです。
なぜなら、自分が作り上げたビジネスを否定されているかのように考えるからです。
自分が称賛されるためにこれまでやってきた創業社長が、過去の人にされるのはけっこうな恐怖感じゃないかと思います。
ただ一方で、そういった先代を乗り越えていくという事で、二代目社長が育っていくというのも事実じゃないかと思います。
色んなジレンマはあるものの、前に進む必要はあるんじゃないでしょうか。
成功するかしないかはやってみないとわかりませんが、そこへ向かった試行錯誤を始めることがとても大事だと思います。
そして、そういった苦労の中で初めて、創業社長のことを理解できる一面があるのではないでしょうか。
親との確執を乗り越えて自分のビジネスを作り上げる
実際にはそこに向かう道のりにおいて、例えば親子の確執もあるかもしれません。
しかしそれも、ストーリーの通過地点。
そう言った葛藤を乗り越えて次のステージに進んでいくことが、私たちにとっては必要なことなのかもしれません。
後継者として親の会社に入った人は、その仕事に好きになれない部分もあるかもしれませんが、何を言ったとしてもまだまだ親の作り上げたビジネスで飯を食っている部分は少なからずある方のほうが多いと思います。
ここは素直に感謝する必要はあるように思います。
そのうえで、やっぱり自分の道を作り上げたいところです。
誰にも文句を言わせない、後継者ならではのビジネス。
私はそこが二代目社長の一つの目標じゃないかな、と思います。
多くの場合は、親の事業を引き継ぎ護るイメージで会社に入っているんじゃないかと思いますが、そこはちょっと気持ちの転換が必要かもしれません。
打倒、親のビジネス。
これ、いい考え方かもしれませんね。
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