後継者

風呂屋の三代目が起こすムーブメント~後継者が学びたい仕事の愉しみかた

銭湯ときいて、何をイメージするでしょうか。
時代遅れとか、誰が利用するんだ?とか、
あまり繁盛しているイメージはないのではないでしょうか。
少なくとも私はそうでした。
しかし、ある銭湯はとても元気です。

その銭湯の三代目は、仕事を楽しんでいる。
そんな風にしか見えないのです。
ここに後継者が学ぶべき姿があるのかもしれません。
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私が子供のころ、まだ自宅に風呂がなく、近所の銭湯に通ったことをおぼえています。
昭和の安アパートだったからなのですが、もう少し時間をさかのぼると、
自宅に風呂がないというのが当たり前だった時代もあるようです。

そのころには、街にはたいてい公衆浴場、いわゆる銭湯がありました。
風呂につかった後のコーヒー牛乳をビンで飲む。
それが子供のころのちょっとした贅沢でした。

そんな時代にもほどなく別れを告げ、団地住まいになってからは自宅に風呂が付いた。
風呂が自宅にあるなら、わざわざ銭湯に行く理由もありません。
すくなくとも、その界隈に銭湯はもうすでになかったように記憶しています。
今や、銭湯を見つけることさえ難しい時代になりました。
実際に、次々と銭湯は廃業。
大きなお風呂に入るにしても、たいていはスーパー銭湯。
まちの銭湯に行く人はごく僅かじゃないかと思います。

 

そんな時代に、家業の銭湯を引き継いだ三代目がいます。
彼の銭湯は立地もあまりよくない。
大通りからは外れており、町の人たちも銭湯の存在を知らない人も多いようでした。
そもそもどう見ても、斜陽産業です。
銭湯のニーズは非常に低いし、そのニーズを救あげるのは大資本のスーパー銭湯。
勝ち目なんてどこにも見当たらない。
あきらめても、誰も三代目を責める人はいないでしょう。

 

けど、彼は、立ち上がったわけです。
銭湯という広い場所の中で、バンドを立ち上げました。
あの、音楽のバンドです。
さらに、「オフロンピック」なるイベントまで・・・
今話題のカーリングをもじって、ふろおけに車輪を付け、
風呂掃除用のモップで競うカーリング。
なかなか面白いですね。

そんなことを「オフロンピック」と称して企画・運営をしてきたようです。
自分達の銭湯の認知度を上げようというのがその発端のようです。
その「オフロンピック」はどうやら結構なムーブメントになりつつあるようです。
同じ大阪の違う銭湯に”聖火”が運ばれ、オフロンピックが開催されたそうな。
新聞などの取材がきたり、飛び火して九州でも開催されたりもしています。

これらのムーブメントが、どう収益につながるかはわかりませんが、
こういったコミュニティを作り上げるとなかなか強いと思います。
だんだんとその輪が広がり、大きなムーブメントとなる。
こういった広がりを作り上げるまでは、大変な苦労があったと思います。
バンドにせよ、オフロンピックにせよ、やったから人が集まるというものではありません。
それを続けてきたからこそ、やっと人が集まるようになったのではないかと推察します。

 

このお風呂屋さん。
たぶん、今までの「銭湯」というカテゴリーの中で考えると、
風呂の掃除をもっとやろうとか、
風呂の設備を改善しようとか、
風呂としての機能ばかりにとらわれがちなのではないかと思います。
けど、そもそも、それは同業他社との比較。
そこを抜け出して考えていくと、お客さんが銭湯から離れているわけですから、
その問題に対処しなければならない。
そう考えたときに、単に「お風呂に入る場所」から、「遊び場」として再定義することで、
新しい世界が見えてくる、という一つの事例じゃないかと思います。

私たちは、とかく、誰かと競争しがちです。
しかし、同業他社を打ち負かしたところで、その業種時代が衰退していればあまり意味のない話です。
自分達の仕事を再定義する。
それも、今までの枠組みから出たとこで発想していく、というのは今の時代、大事なことじゃないかと思います。

家業には将来性がないから・・・とうなだれているぐらいなら、
そこに将来性を生み出すアイデアを社員と一緒に創り出していけると、
後継者の仕事はもっと楽しくなるのではないでしょうか。
マジメに人生を遊んでみる。
そんな感覚も必要じゃないかな、と思うのですがいかがでしょうか。

 

オフロンピック主宰者 朝日温泉さんのWEBサイト

「オフロンピック」の様子をSankeiNewsが取材された動画です。

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