経営者になんかなりたくなかった、という後継者

その後継者の方は、ボソリとつぶやかれました。
「本当は経営者になんてなりたくないんですけどね」
詳しく伺うと、こうおっしゃいます。
「社長という地位にあこがれもないし、オヤジを見ててさほどお金もたくさん稼いでるとも思わない。
親が商売やってなかったら、サラリーマンとして暮らしたかった」

「俺の背中を見ろ、というオヤジさんがよくいますが、少なくとも私の場合、親の背中からは何も読み取れませんでした(苦笑)」
と肩を落とす。

——————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

 

その後継者のお父様の会社は、機械工業。
いつも汗と油にまみれた父親。
ガシャガシャと動く機械。
機械から吐き出される小さな部品。
そんな風景の中でその後継者の方は育ったようです。

一般的には、創業社長は強い存在であることが多い。
しかし、その後継者のお父様は、物静かで、何も言わない。
ただ黙々と機械に向かい、自分の仕事に集中しています。
会社には父と同年代の工員が数名。
母親が経理をやっています。

 

後継者はいったんは上場企業に勤めたものの、
父の具合が悪くなったということでサラリーマンをやめ、
家業を引き継ぐことになりました。
後継者の方も決して前に出るタイプではなく、
黙々と働く父親同様、目の前の仕事を機械的にこなす日々。

孫請けの企業ですから、注文があったらそれを作る。
注文がなければ、仕事もない。
だから、発注者の無理難題も聞かざるを得ない。
FAXやメールで送られてくる注文書や仕様書が、
その会社の生命線です。

発注者の都合で右往左往して、値段だっていいなり。
暇なときは暇だけど、短納期の仕事が入れば休日返上。
そんな生活に後継者の方は嫌気がさしてきたようです。

さらに、取引先の支払いは遅いけど、支払いを遅らせるわけにはいかない。
今の売り上げ規模だと、工員が多すぎるから減らしたい。
けど首にするなんて泥はかぶりたくないし、訴訟も怖い。
そもそも父はそれには大反対。
なんだかどぶさらいをやってるかのように嫌な仕事ばかり。
社長なんかになっても、なんのいいこともないじゃないか。
こんなことならサラリーマンを続けていればよかった・・・。

そんな話をぐるぐると何周もし始めると止まらない(笑)

 

頭を抱えていても仕方がない。
そもそも、サラリーマンに戻るなら戻っちゃえばいい。
大変なのはわかりますけど、一生のことなんだからそれなりの決断は必要です。
けど、もうちょっと頑張ってみよう、と思うなら筋道立てて考えたほうがよさそうです。

じゃあ、そもそも、会社がどうなればいいんでしょうか?
「安定した仕事ができて、土日は普通に休んで、それなりに儲かる。
できたら自分は現場を卒業したいなぁ」

あらあら、けっこうちゃんと条件は明確なんですね。
じゃあ、なんで安定した仕事ができないんでしょう?
「そりゃあ、発注者の都合で仕事をしなければならないから」

ああ、たぶん、ここですね、問題は。
じゃあ、発注者が安定的に仕事を出してくれるような提案をしましたか?
たとえば、発注者のこんどの商品開発に対するアイデアの提供とか?
「いえ、ただ言われた仕様で作るだけです」
何か提案できませんか?
「情報がないので何とも・・・」
じゃあ、そういうことを先方と話してみる必要、あるかもしれませんね。

そもそも、発注者は御社に何を求めてるんでしょうね?
早さ?品質?値段?
どれも大事でしょうけど、優先順位があると思いますが、そんな話、担当者とされたことはありますか?
「いえ、あんまり・・・」

つまり、先方のニーズがつかみ切れていない、という問題があるのかもしれません。
もう少し突っ込んで考えれば、自分たちができて、ほかの業者ができないことや、
自分達の業界では当たり前だけど、ほかの業界で応用できれば良い提案ができることや、
そもそも一般の家庭に売ることができる商品やサービスがないかとか、
考えられる方法は、けっこうあるものです。

どれか一つをやれば、圧倒的に改善できるとは言いませんが、
少なくとも現状は打開できます。

 

今の状態は、「言われたことを言われたとおりにする」というビジネス。
これ、サラリーマンだと、「言われたことしかできないやつ」と低い評価を与えられるパターンではないでしょうか?

この後継者の方は、きっとサラリーマン時代はしっかりした仕事をされていたのでしょう。
なのに、後継者という立場で親の会社を継ぐようになって、それができなくなってしまった。
そりゃあ、経営者として楽しくないです。
経営者の一番のだいご味は、やっぱり自由であることではないでしょうか。

自由を失っている原因は、親の会社であるという気負いかもしれないし、発注者の強い発言力かもしれない。
こういったプレッシャーは人を思考停止状態にしてしまいます。
そんな時こそ、ちょっと気分を変え、周囲の人との新しい関係の中で新しい刺激を受けるというのが大事だと思います。
一旦、リラックスモードで考えなおしてみてはいかがでしょうか。

 

——————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

関連記事

  1. 感情を忘れた後継者

  2. 業界の未来が見えなければ、ルーツを探れ ~後継者が知っておきたい会社の…

  3. 親子経営の意見の食い違いは意見の食い違いではない??

  4. 人生のロールモデル

  5. 後継者が安定を捨てるとき

  6. 後継者が”正しいこと”を追求し始めると親子の確執が生まれるというジレン…

  7. 先延ばしも、すぐやるのもOK 何より大事なのは・・・

  8. 帝王学が示す姿は後継者の未来の姿?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ツールバーへスキップ