「自分はこんなもんじゃない」と思っている家業の後継者の方へ

親の会社に勤めて、いずれはその会社を継ぐ予定。
そんな家業の跡継ぎ・後継者の方々の中で、どれだけの人が自分の能力を最大限発揮できているでしょうか。
私の感覚で言えば、限りなくゼロに近いのではないかと思います。

今の成果をけっこう出している人なら、さらに出せるかもしれないし、
成果は今と変わらなくても、仕事(というより人生)における充実感はもっとかがるかもしれません。
逆に、今、仕事で自分を活かしきれていない人なら、自分を活かす方法を発見することができるかもしれません。

しかしどうも私たちは「今の状態が人生の結論」みたいな思い込みを持ってはいないでしょうか?

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どこまで行っても「幸せ」を感じられない跡継ぎ・後継者

Sasin TipchaiによるPixabayからの画像

終わりのない道

跡継ぎ・後継者の方々の悩みを伺っていると、なんだかすっきりしない感覚を感じます。どこまで行っても「快晴!」という感じじゃないんですね。かならず、どこかに雲が残っている感覚とでもいうのでしょうか。そんなどことなく靄ッとした感覚が残るように思います。

まず、跡継ぎ・後継者の方の中には二つのタイプがあります。一つは、家業の仕事そのものは好きで、自分なりに成果をあげているつもりである、という人。もう一つは、家業のことが好きに慣れず、成果もなかなか出ずに悩んでいる人。それぞれについて考えて行きましょう。

家業の仕事は好きで成果をあげている跡継ぎ・後継者

まず家業の仕事が好きで、成果をあげているケース。これ、普通のビジネスパースンというカテゴリーから考えると、「いったい何が不満なんですか?」と言いたくなります。自分はこんなに頑張っていて、自分の頑張りで会社の業績がこんなに上がった。いわば、自分がいたから今まで会社がもっているんだ、という自負もある。じゃあ、こういう人は悩みがないのかというと、実はそうではありません。仕事にまい進し、会社も順調なのに重い何かを引きずっています。たいていは、親との関係です。個性的な親であるが故、いろんなところで自分の仕事や生き方において障害を感じている。親のことは尊敬はしているが、人としては受け入れられない。そういったことを悩んでおられる方が多いようです。

ただ、はっきり申し上げて、会社も仕事も順調なら、親との関係は別のジャンルとしてある程度割り切れるはずだと思うのですが、それはできないと言います。それがなぜかというと、いきなり答えを行ってしまうとこういう人は「親に認めてもらいたい」「親に自分を認めさせたい」という思いが心の奥底にあるのではないでしょうか。自分が頑張って、どんなに業績を上げても、親にそれを認めてもらえなければ満足できないのです。その「認められない」という空虚さを抱え続けている人がけっこう多いのではないでしょうか。

家業の仕事が好きになれず成果をあげられない跡継ぎ・後継者

一方で、仕事においてなかなかうまくいかない、いつまでたっても一人前になれない、誰かと比べて仕事の能力が劣っている。そんな悩みを持つ後継者も結構います。こういう人は、確かに仕事と自分の能力のマッチングがうまくいっていない場合もあるかもしれません。しかし、それ以前に、会社の中で自分の良さを出すことができていない可能性は高いと思います。そもそも親に自分のすべてを見せる人はそんなに多くはないと思います。特に男性の場合、親にこっそりやることの方が多いくらいではないでしょうか。むしろ、親にこっそり・・・という世界のほうが自分らしいと思える人が多いと思うのですが、自分らしくない形で会社に出てきて、仕事で成果を上げるというのはまあ至難の業ですよね。言ってみれば、一人静かに考えごとをするタイプの人が明朗快活な体育会系の自分を演じるとか、お酒が飲めない人が飲兵衛のキャラクターを演じるとかいうのと同じようなことを、ビジネスの現場でやっているようなものです。それだけでしんどいはずです。

だから、そもそも論の仕事があうあわない以前の話で、親の前で取り繕った自分を見せることにエネルギーを使っていて、本来の自分の持っている推進力にエネルギーが回っていない可能性があります。

ポイントは、自分らしさと方向性

「もっと」を重ねても期待する結果は得られない

前者の「仕事好きで業績がいい」後継者の場合、そこへ突き進めばいずれ満たされる時が来るような気がしそうな気がします。しかし、どうもそうとは言えなさそうな考え方があります。一つの例として、収入と幸福感の関係を考えてみたいと思います。ある調査では、低所得層の人が収入が上がると、それとほぼ比例して幸福度は上がりました。しかし、一定の所得を超えると、そこからは収入が増えても幸福度は上がらなくなったそうです。研究によっては、一定程度をこえると逆に幸福度が下がるというものもあったようです。

これはどういうことかというと、生活に不自由しているレベルの人は収入が増えることで、不自由がなくなります。すると幸福度が上がるのですが、それ以上の贅沢になると、ぜいたくにはすぐに慣れてしまいます。だから更なる上を目指したくなるわけです。つまり、いつも満足できない状態続くということなのです。となると何が問題かというと、「方向性」です。お金を稼げばいずれ幸せになれると思って頑張ったけど、火星でも稼いでも幸せになれない。けど、そのことに気付くことなく人は突き進みがちです。これをフォーカシング・イリュージョンと言います。「幸せにはお金が大事」と一旦思い込むと、そのことがあたかも重要なことのように思えてくるのです。しかし現実は、「不自由しないほどのお金は必要だけど、それを超えるとあるに越したことはないけど、幸せになる不可欠な要素ではなくなる」ということなのに、カネの亡者としてむしろ人からも敬遠されるような不幸な人生を歩みがちです。

だから、がんばって「もっと、もっと」と頑張っても、満たされない何かがあるときは「方向性」が間違っている可能性があります。会社の仕事を頑張って業績を上げていくというのは、跡継ぎ・後継者の行動としては正しいと思います。しかし、一人の人間の人生としてそれが望む道かどうかは、立ち止まって考える必要があるかもしれません。ここを踏み違えると、数値的な稼ぎに気を取られるあまり、周囲が敵だらけになってしまう可能性もありそうです。

自分の武器は何か?

逆に業績が振るわなかったり、家業になじめない人の場合は、ありがちなことは「仕事に自分を合わせよう」と四苦八苦しているのではないかということです。確かに昭和の時代は、「顔のない従業員」とでもいうか、会社をシステマチックに動かすことが正解のように思われていました。高度に合理化された仕組みの中で、個性を発揮することなく、決められたことを決められたように仕事をすることが全ての社会辞任に求められていました。この時代はすべてがマニュアル化されていて、たとえば人生の歩み方さえもマニュアルのようなものがありました。それは、いい学校を卒業して、一流企業に勤めることが人生の勝ち組と言われるマニュアルに沿って、子育てが行われ、自分たちもそのレールに乗るべく努力してきました。ゴールが決められたゲーム、たとえばドラクエやFFのようなものです。しかし、近年のゲームはあつ森やポケモンに代表されるように「決められたゴールがない」「明確な敵がいない」という昭和の価値観ではありえないストーリーがあるわけです。こういったゲームが受け入れられることは、社会そのものがそういった状況を呈していると考えても大きな間違いはないのではないでしょうか。

こういう時代は決められたゴールに一直線に向かうより、自分なりのゴールを見つける必要があります。かつては一流企業で出世することが社会というゲームのルールであり勝敗の決定要因でしたが、今は、サラリーマンは選択肢の一つにすぎず、YouTuberや歌い手さん、絵師さんなど、いろんな生き方がある時代です。この時代に、親の会社を継ぐ跡継ぎ・後継者といえど昭和の時代につくられたゴールへ向かうことが果たして良いことなのでしょうか?たぶん、新たなゴールを再設定するタイミングではないかと思うのです。

こういったときに、今の仕事と自分のミスマッチを感じている後継者の視点は大いなる武器となります。私が思うのは、今の家業の仕事で業績が今一つ上げられない後継者の方に関しては、自分の強みが何かをまず明確にすることだと思います。そして、その強みに集中し、それを活かすことだけをしばらくの間は考えてみてはいかがかと思います。

そして、ちょっと家族のいる場所で自分の個性を発揮しにくいな・・・とおもう気持ちを乗り越えて、自分の個性を発揮させる勇気を手にすることがとても大事なのではないかと思います。

できることとできないこと

何かをやろうとしたときに跡継ぎ・後継者の前に立ちはだかるもの

じゃあ自分を活かすように頑張ってみようとか、今までの方向とは違う方針を考えてみようとか、そういった変化を創り出そうとするとき、ちょっとばかり萎える思いを感じることはあるかもしれません。「よし!こうしよう!」と未来への希望を胸に、一歩踏み出そうとするのですが、リアルにその一歩を踏み出す時にはたいてい、自分のゆく手を阻むような出来事が起こることがけっこうあります。それはたとえば、親である先代の反対かもしれませんし、社内の従業員が乗り気ではない場合もあるかもしれません。それ以外の外的要因などもあるかもしれませんが、これらは言ってみれば、あなたの覚悟を試す関門のようなものです。新しい行動、新しい結果を手にするには、それなりの抵抗はあるのが当たり前。そういう前提で見ることが大事だと思います。

そのうえで考えたいのは、動かせることと動かせないことの区別をする、ということです。もう少し詳しく言うなら、たとえば自分が朝起きる時間を変えるとすれば、それは簡単にできます。簡単ではないと言えばないのですが、ここで考えたいのは自分の努力だけでできる、ということです。しかしじゃあ、親を変えることはどうでしょう?たぶん難しい。それは頭ではわかっているのですが、気持ちの中で「自分が正しいから、親は道を譲るべき」という思いがあるから、何かの不都合や衝突が起こるとき、自分の意見を通そうとします。しかし、思うように動かないからこちらも意固地になります。そしてまさに、親や従業員が自分の言う通りに動かないことには、何もかもがうまくいかないかのような錯覚にハマってしまいます。これが先ほどもお話ししたフォーカシング・イリュージョンです。ここにハマってしまうとますます意固地になってしまうので、もはや目的のことを忘れて、手段ともいえる周囲の状況を帰ることばかりに必死になってしまいます。

そうならないためにも、こういう作業をしてみてください。自分がコントロールできる問題と、コントロールできない問題を分けてみます。そのうえで、コントロールできる問題に集中し、そちらを整えることに注力するのです。論理的に考えれば当たり前に思える事なんですが、うまくいかないときというのは往々にしてコントロールできない問題を動かすことばかりに集中しています。

問題所有の原則

ここで一つ、大事なことをお話ししておきます。心理カウンセリングの世界ではとても重要視されているのが、問題所有の原則です。これは簡単に言うと、「問題を感じている人が、それを解決する必要がある」ということです。具体的な例を考えてみましょう。親子の経営の中において、後継者は今の経営を変えていきたいと考えているけど、親はそのことに賛成してくれない。そのことにとても大きなストレスを感じているとしましょう。これは後継者は、「自分の意向を親は汲んでくれない」という思い、つまり問題を抱えている状態です。一方、親の立場はどうでしょうか?跡継ぎ・後継者である子がやいのやいの言ってくるけど、耳に入れるつもりがないとしたら、親は何の問題も感じていない可能性があります。経営も今まで通りでいいし、後継者がいろいろ言ってはいるけど、まあ良くある話だ、と気にしていなければ親に関して言えば全く問題を感じていない。ということは、跡継ぎ・後継者である子が問題を持っており、親である先代は問題を持っていないことになります。

じゃあこの事態を改善するために動くべきは誰かというと、跡継ぎ・後継者である子ということになります。この原則からすると、後継者が親を動かそうとするのはちょっとおかしい、ということになるわけです。後継者が何かしらの対応を行い、今の状況が後継者にとって気にならない状態にする必要があります。言い方を変えれば、後継者は自分の外を変えようとするのではなく、内側を変える必要がある、ということです。

結局は受け入れられるか受け入れられないか

Alexas_FotosによるPixabayからの画像

親を受け入れているか?従業員を受け入れているか?

では何が起こっているかというと、跡継ぎ・後継者である子にとって、親の行動や態度が受け入れ難いということになります。となると、課題は親の行動や態度を受け入れられればそれでOKなのです。たとば、自分が何かをしようとしたときに、親から止められる、あるいは賛意を得られない、という状況に陥ったときどうするか。それは、賛意を得られなくてもやるという選択もあるし、賛意を得られないから違う方法を考えるという選択もあります。また、見せ方を変えて、親が抵抗しないような持って生き方をするとか、親が自分の提案に賛成するような筋書きを作るとか、まあいろんな方法があるわけです。もちろんその核兵器的な強力な解決策は、自分が会社を去って起業するとかいうところも視野に入るかもしれません。第三者である私が、どうせよということは言えませんが、取れる手は無限なわけで、なのに私たちは自分が変わる前に、相手を変えようとする。それが難しい事であるのはわかっているはずなのに、です。

親の行動や親の態度が我慢ならないという感情(壁と言ってもいいと思います)が目の前にドン、と立ちはだかり、私達はそのことばかりに目を奪われてはいないでしょうか?まずは、自分の思うように動いてくれない親や、従業員のことを「人間ってそういうものだよね」と受け入れることから始める必要があります。それができて初めて、親との関係、従業員との関係がマイナスからリセットされてフラットになるのではないでしょうか。

起こる出来事を受け入れる

もう一つ大事なのは、日々、刻々と過ぎゆくときの中で、様々な出来事や様々なシチュエーションが目の前に現れます。私たちはそのことに対して、愚痴を言ったところで始まりません。その現象を良い事とか良くないこととか判断する前に、事実として受け止めることが必要になります。もう少し具体的に言うと、たとえばコロナの問題で、たぶんほとんどの会社では少なからず影響を受けていると思います。そういう時に、コロナにくしとか、コロナのせいでとか、そんな風に思ったって仕方がないことです。それは起こったのだから、現実を現実のまま受け取る必要があります。ああ、コロナの問題が出て、人の行動や経済活動が制限されて、会社の業績がかなり低くなっちゃったな。これがスタート地点だと思います。そこで、コロナと闘うとかいう話ではなく、自分はどうしたいかを考える必要があります。たとえば、もしかしたら今の本業がイヤな人にとっては、それを捨てるチャンスかもしれません。あるいは、このままやっていてもうまくいかないであろうことを、数年前倒しをして結果を見せてくれたのかもしれません。コロナは私達の邪魔をするつもりはなくて、彼らは彼らで生きようとしてるだけ。私達もまた、自分らしく生きたいだけ。となると、状況を恨んだり、ラッキーを待つのではなく、その場その場で起こることを自分に言いように活用するだけじゃないかと思います。

そして何があっても、自分は自分のやるべきこと、やりたいことをやるというのがあくまで私たちにできることです。そういう覚悟ができると、世の中がどう変わろうと、自分なりの生き方を見つけられるんじゃないかと思うのです。もしかしたら収入は減るかもしれませんが、それ以上の幸せを手にすることだってあるわけです。足るを知る、とでもいうのでしょうか「もっと、もっと」は案外人を不幸にすることがあるようです。相対的な幸せではなく、自分基準の絶対的な幸せを目指したいと思うのは、変でしょうか。

経験することすべてが私たちの糧

親が事業をやっている家庭に生まれた私達は、そういった境遇を変えることはできません。しかし、そういった家業を引き継ぐかどうか、家業をどう切り盛りしていくか、親や従業員、そして既存の顧客とどう関係を作っていくかは変えることは可能だと思います。もちろん、その過程にいろんなハードルがあるのは、家業を継ぐ場合もそうでない場合も同じだと思います。サラリーマンをしてたって、ブラックな会社があり、ロクでもないバカ上司がいたり、理不尽な仕組みや使えない部下がいたりということは誰もが経験することです。その誰もが経験することを、ほんの少し体裁を変えて経験しているのが私達跡継ぎ・後継者難じゃないかと思います。たとえば、スター・ウォーズはある意味、親子の関係を描いた映画であるのですが宇宙や未来を舞台にしているからSF映画なわけです。それが人によっては、恋愛ドラマや、サスペンスの舞台設定があるかもしれませんが、中で体験する立場としては、ある一つの共通のテーマがあるんじゃないかと思っています。それは、今自分がいるシチュエーション、そして自分のパーソナリティーで、今の人生を味わいつくそう、というものなのだと思います。

となると私たちがもちたい思考は、「親が事業をやっていたという環境に、跡継ぎ・後継者として生まれた自分がその人生を最大限に味わうにはどうすればいい?」という問いを持つことじゃないかと思います。それが、忠実に親の会社を守ることであるかもしれませんし、そうでないかもしれません。しかしそれ自体は手段であって目的ではないと思っています。大事なのは、あなた自身が、充実した人生を過ごすことではないかと思います。そこをブレさせなければ、目の前の問題のほとんどは恐らく、些末な問題なのではないでしょうか。

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