創業者

統制の時代から自律の時代へ

組織は、長年、力を持ったものがそうでないものを統治してきました。
小さなものでは、家族という組織。
会社、国家、みな同じ形をとってきました。

有史以来連綿と続くその歴史が、今変わろうとしています。
そりゃあ、混乱もします。
というよりその混乱が変化の証拠でもある、と思っています。

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目指すべきところは、誰かが決めてくれた。
たとえば、学校教育。
小学校に行けば、教科書で学び、テストで評価される。
その評価をもって、中学に進学し、高校、大学と
お決まりのルートが用意されています。

そこから外れることは、原則許されず、
その道を外した時点でマイノリティとなります。

 

社会に出ても、そのルートは基本がある。
大企業に入って、そこで勤め上げる。
そこから外れることは原則許されない。
それは死を意味するから。
死という言葉が強すぎるとすれば、
くいっぱぐれるとでも表現すればいいでしょうか。

その大企業は、採用を学歴で決める。
なぜなら、人を図る基準はそんなものしかなかったから。

別の見方をしてみるとこんな風にも考えられます。
大企業においても、組織として統治・統制されていることが重要視される。
つまり、統制された中で働く人は、
統制された中で努力した人でなければなりません。
はみ出し者は、採用したくないし、活かせない。
なぜならば、会社は人を生かす組織ではなく、
会社を存続させるパーツでなくてはならないから。
人に仕事を合わせる手間が取れないから、
仕事に人を合わせる必要があるわけです。

 

さて、そんな時代も今や終わりに近づいています。
しかし、人はそんなに簡単には変われない。
例えば、70歳代の人は、70年の人生を
統治・統制の中で育ってきました。
社会のルールにのっとり、与えられた目標に忠実で、
何も考えることなく、与えられた目標に突っ走ることだけを求められました。
学校でよい成績をとり、良い会社に就職し、
会社で出世し、一つの会社をつとめあげる。

その中で何人かの人は、その道をドロップアウトします。
たとえば、家庭の事情などで、十分な学歴を残せなかった人。
この人の人生は、ある限界値を超えては良くはならない。
わかりやすく言うと「どんなに頑張っても、せいぜい係長どまり」という感じ。
そのことに気づいたとき、会社という組織を飛び出しました。

 

しかし、大企業という組織を出ても、統治・統制のシステムは社会全体に存在しています。
勃興する産業のいずれかを選び、その中で人と競争する。
人と競うことが、当時の統治・統制のシステムの根幹にありました。
世の中に果実はどんどん実をつける時代だったから、早い者勝ちで奪えばいい。
統治・統制のシステムが求める学歴を持たないなら、
腕力・体力・根性で果実をもぎ取ろう。
そうやって生きてきた世代です。

60歳代はさらにその競争が激化した時代です。
上の世代が一足早く、縄張りを主張した中にねじ込む。
70歳代ほどには強引ではないかもしれないけど、
奪い合い、競い合いの中で生きてきて、
今の時代の変化を遠い眼で眺めながらも、
人生の逃げ切りを実感している。
なぜなら、数多い果実を手にできた世代だから。
それがその時代に一生懸命に生きた証なのだと思う。

 

50歳代、40歳代は微妙だ。
60歳代、70歳代が、生み、育て、奪い合った果実はもうない。
しかし、統治・統制の社会システムだけは今も色濃く残っている。
何よりそれらは、前世代の人たちが形成したシステム。
今、40歳代最後の年を迎える私は、そのシステムの中で違和感を感じながら生きてきました。
学歴こそが、将来へのパスポートと言い聞かせられて育ち、
それを信じてきたものの、働き盛りの年齢でその価値観がガラガラと崩れ始めている。

50歳・40際代の親に育てられた世代の子どもはさらに複雑。
親は、社会が今も統治・統制のシステムで回っていると信じて疑わない。
そういう価値観を植え付けられようとするものの、子どもたちが見ている時代感は少し違う。
その不調和が、登校拒否などの現象となって表出する。
不登校は、実はいじめなどの直接的理由がないことも意外と多い。
それは前述の通り、自分の感じる世界と、親が伝える世界のギャップにあるのではないかと思う。

 

今、社会は、統治・統制のシステムが崩れようとしている。
その兆しが、職場でのうつ病などのメンタルヘルス不全の問題として現れる。
そして学歴は徐々に、意味をなさなくなってくる。
なぜなら採用面接は、履歴書ではなくSNSの内容をAIが分析するようになるから。
過去の強制された学びではなく、本当の意味での人間性が事前にわかる時代になってしまった。
歌手デビュー、作家デビューは、かつてその業界の”プロ”の目にかなわなくてはできなかった。
しかしいまやYoutubeでファンが先につく世の中。
プロダクションや出版社は、事前に「売れている」人と契約を結べばよくなった。
つまり、訳知り顔で評価する”プロ”は不要となりつつある。

 

何がいいたいかというと、これまでは人は社会が決めた価値観の中で、
社会が決めたルールの中でしか、生きていけなかった。
しかし、これからはそうではないだろう、ということ。
これからは、一言で言うと自律の時代だと思うのです。

過去から引きずっている価値観に従う必要はない。
一方で、誰かが決めてくれる時代でもない。
自分で決めなければならないという、もっとも厳しい問題が突き付けられる。
私たちは、自分で決めているつもりでいる。
しかしその多くは、世間の言う常識や、社会でいうあるべき姿に惑わされている。
それはすなわち、ひと世代前の統治・統制の残り香。
それを振り払うには、自分の奥底深く入っていかなければ見えない。
今の子どもは、それを多くは十代のころに経験しています。
その機会のなかった40歳、50歳(場合によっては30歳)代の人たちは、
この年になって自分探しをせざるを得なくなる。

しかし、それは必要な過程。
今からでも遅くない。
そこに踏み込む勇気を持つべきだ。
そんな風に思うのです。

あなたの周囲の人たちが、まだまだ古い価値観を捨てきれなかったとしても、
孤独を感じる必要はない。
あなたは価値観を共有できる人とつながれる時代でもある、ということ。
ちょうど、何千年もかけて組まれたブロックを、いったんバラして、
新たな形を作り上げる過程なんだと思います。

そういう意味では、未来が選べる時代。
けど、それは、自分で選ばなくてはなりません。
親の価値観でも、社会の価値観でもなく、
自分の価値観を明確にしなければならない。

私が親から会社を受け継ぐ過程で学んだこと。
それは、自分を知ることでした。

事業承継って、親子の成長物語なんだとおもいます。

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