創業者

缶コーヒーBOSSのCMに見る意外な事業承継の縮図

たまたま車で移動中、FMラジオを聞いていたところオモシロイCMが耳に飛び込んできました。
トミー・リー・ジョーンズ扮する宇宙人ジョーンズが体験する日本の文化。
短い中に、事業承継の縮図のようなものが詰め込まれている内容があったので、ご紹介します。

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本当は、音源を聞いていただくのが一番かと思い探してみましたが、
ラジオCMはなかなか見つかりません。
そこで、簡単に文字で再現してみたいと思います。

宇宙人ジョーンズは、ある和菓子職人のやり取りを見ています。
若者:「新作を作ってみました」
ボス:「こんな洋菓子みたいなもの、あかん」

で、ジョーンズはタイムマシンで、一世代前にさかのぼります。
その時、現在のボスは「若者」でした。
若者:「こんな新作作ってみました」
ボス:「こんな舶来品のようなもの、和菓子じゃない」

そして、宇宙人ジョーンズはさらに一世代さかのぼります。
若者:「これが舶来物の菓子か。おれもこんなもの作りたい」

いかがでしょうか?伝わっていますでしょうか。

 

要は、3代前の”若者”は、初めて食べる海外のお菓子の甘さに、目を輝かせた。
自分もこんなものを作って、世の中に広めたい。
そんな思いで起業したのでしょう。

それが、軌道に乗った頃、若い弟子をとったのだと思います。
文脈から行くと、息子さんなんでしょうね。
起業家だったボスは、新しいお菓子の世界に目を輝かす息子をたしなめます。
和菓子職人たるもの、和菓子が何たるかをわきまえよ、と。

 

皮肉な話ですが、新しい世界に目を輝かせた起業家は、
同じように新しい世界をのぞこうとする後継者を制約という檻の中に閉じ込めます。

BOSSのこのCMの中では、
「和菓子の世界では、革新より伝統を重んじる」
というアナウンスが入ります。
伝統があるからこそ今がある、という結論とももちろん取れます。
しかし、そこにはやはりちょっと皮肉めいた意味付けがなされているのではないかと思います。
単に、伝統が素晴らしい、というストーリーであれば、新たな世界に目を輝かせる起業家の描写はいらないからです。

 

多少のデフォルメはあるかもしれませんが、現場で起こっていることをうまく表現していると思います。
創業社長にとっては、後継者は危なっかしい。
しかし、それは創業社長も若き日は同じ道を歩いていたはずです。
そんな後継者を、広い心で見守ってほしいな、と思います。

そして後継者は、新しい扉を開くべく、どんどんと革新の世界をのぞき見してみてほしいと思います。

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