後継者

家業に愛着が持てないからこそ発揮できる、後継者の卓越した能力

「家業が好きになれないんです」
ご相談の中でも、比較的多いものの一つ。
それは恐らく、家業が好きとか嫌いとかいう以前に、
家で営む業種の先に夢を見ることができないからではないでしょうか。

————————————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

 

 

傾向として、製造業の方に多いような気がしますが、
医療機関だったり、サービス業の方でも時折います。
家業が好きになれない、という方が。

一般的に流布されてるアドバイスを紐解くと、
「好きになるまでがんばれ(一生懸命没頭できていない)」
「好き嫌いを言っていてはいけない」
「甘えた気持ちの表れ」
なんていうものが多いと思います。

ある部分でそれらは当たっているような気もします。
時として駄々っ子のようにいやだいやだと言ってるケースももちろんあります。
ただ、こういったことで悩む方の気持ちももちろんわかります。

その理由は3つほど浮かんできます。

一つ目は、論理的に考えてそのビジネスそのものが衰退期に入っている、ということ。
製造業でこのような悩みを持つ方が多い、と書きましたが、実際に製造業は先行きが厳しい業種が多いようです。
海外の安い製品が輸入されるし、日本の企業もどんどん海外へ進出しています。
特別な技術を持っているならいざ知らず、なんら特徴のない製品づくりをしているとしたら、そりゃあ未来を描けそうにない。嫌にもなります。

特徴のない事業。そこには競争しかありません。
安さ、早さ、一定程度の品質での大量生産。
どこぞの牛丼屋さんではありませんが、厳しい競争に打ち勝つことを叩き込まれる。
けど、その先にはいったい何があるのだろうか。
そんなことを考えずにはいられないことでしょう。

もう一つは、自分の性格や特性と、家業が求めるそれとが合致していないケース。
たとえば繊細な技術が要求される職場なのに、自分は大雑把。
新しいアイデアを考えるのは好きだけど、同じことを延々と繰り返すのは苦手。
だけど家業に求められるのは前者のような気がする。
そんなケース、結構あります。

最後に考えられるのが、そもそも選択肢がなかったことに対する不満。
自分が積極的に選んだ仕事ではないから。
自分でも気づかない潜在的な部分で、そんな思いが仕事への集中力を断ってしまう。

 

いずれのケースも、理解できる話です。
ただ、こういった後継者の方こそ、その会社を担うにふさわしい。
私はそう考えているのです。

なぜなら世の中が変わっているから。
一つ目の理由としてあげた、安く、早く、品質も良く大量生産、というニーズ。
これ、まさにAI(人工知能)がやるべき仕事ですよね。
人がかかわる意味が見出しにくい仕事だと思います。
当然、そういった仕事からは脱していかなければならない。
しかし、きっと先代がその音頭をとるのは難しい。
そんな変化が見えていないわけではないと思うのですが、考える前に手を動かせ、というタイプでしょう。
だから延々と同じ仕事を繰り返し、その結果に一喜一憂しています。
景気が良くなれば喜び、景気が低迷すればいずれ良くなることを祈る。
ちょうど、関西ではえべっさんが1月10日を挟んで開催されます。
(商売繁盛の神様へのお祈りがお祭りのようになったもの)

日頃まったく信仰心もない私の父も、えべっさんだけは目の色変えてお参りに行きます(笑)
この世代の人にとって、世の中の変化はどうにもできないもの、という認識なのです。だから、目の前の現状の中で努力をするけど、それを超えた部分へは手を打とうという思考には至りにくい。
まさに神頼み。変化に合わせて柔軟に変化するというより、一徹に事を継続して行くのが得意なのが先代にありがちなパターン。

二つ目の、自分の性格と仕事内容の不一致。
これと一つ目の問題を考えたときに、あるつながりが見えてきます。
それは、
あなたが会社を変えなさい
ということではないでしょうか?

後継者って、きっとそういう役割なんです。
そう考えると、今の事業に愛着が持てないのは、
あなたにとっては絶大な力。
だって、事業に恋して盲目な人たちの中で、
後継者一人が正気なんですよ。
それこそが、あなたが世の中に求められてる役割。
そんな風に思い始めると、神様(?)に後押しされてるとしか思えない(笑)

 

さて、最後の「選択肢がない」という状況。
これはまさに退路を断たれた状況。
背水の陣でやりましょうよ、ってことなんでしょうね。
やることはシンプル。
会社を変えることです。
これこそ神の采配・・・なんていったら大げさすぎますかね。

 

はっきり言って、30年前の事業承継と、
現代の事業承継は全く性質が違います。
30年前は、日本に物を溢れさせよう!という松下幸之助さんの水道哲学に
ほぼすべての産業人がのっかった時代です。
それが長いこと続きましたが、それもそろそろ終わり。
金太郎あめのような製品を、人が次から次へと作り出す時代ではない。
それは機械が自動でやってくれるから。

じゃあ、どうすればいいのだろう。
それを作り出すのはパターン化されたノウハウではないのだと思うんです。
だから自分たちがそれぞれ考え出さないといけない。
そこが大変なんですが、逆に独自の世界観を作り出すポイントなのでしょう。
猿まねでは生み出せないもの。
それを生み出すファシリテーションを行うのが、今の後継者の役割ではないかと思うのです。

だから、商品に愛着持てなくても、全然オッケーなんだと思うんです。

新しい価値を生み出すって、これはこれで結構大変なんですが、ちょっと楽しそうじゃないですか。
選択肢は無数にあります。
実は、家業がどんな仕事であるかは、後継者にとっては全くと言っていいほど関係のない話なのです。
とりあえず持ってるもので使えるものは使う。
そんな感覚でいいのだと思います。

あとは、覚悟だけ。
用意はいいですか?

————————————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

 

 

関連記事

  1. 後継者の方は学んでおきたい「リーダーシップの誤解」

  2. 自分が一番うまくできるというジレンマとどう付き合うか?

  3. 課題発見能力があればPDCAが回りだす-後継者は余計なことをしなくてい…

  4. 後継者が会社を強くするために必要な〇〇心

  5. もし自分の欠点をさらけ出すことができれば、二代目経営者は一人前である。…

  6. 跡継ぎとして親の会社に就職した私がやる気を取り戻した経緯

  7. 女性後継者が孤独を感じる時

  8. 会社での評価の奴隷になりがちな理由【明日使える話のネタ】

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。