ポジティブ発言に感じる違和感

「大変な時代を迎えたいま、会場の方々に、今後の抱負をお聞かせください」
最後を締めくくる形で、インタビュアーの問いかけにその経営者はこたえます。

「確かに、変化が激しく大変な時代がやってきています。しかし、変化はチャンス。私たちは、変化に立ち向かって前進していこうと思います」

業界がどこであれ、テーマが何であれ、人を変えれば成り立ちそうな締め。
こんなインタビューがあちらこちらで繰り返されています。
私はそんなシーンを、いろんな場所で見てきました。

しかし特にここ数年、こういったコメントに得体のしれない違和感を感じるのです。
その違和感の正体は何なのだろう・・・。
ずいぶんと考えた結果、なぜ違和感を感じるのかが、見え始めたような気がします。




こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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セミナー会場で行われるインタビューや、パネルディカッション。
色々と大変な環境ではあるけど、最後の最後、それでもがんばるぞ!
そんなエンディングは、わりと人気が高いようです。
どんよりするような現実を見た後、あの人も頑張ってるから、自分も頑張ろう。
そうやって自分を奮い立たせることが出来るからなのかもしれません。

 

ただ、ここ数年、それに違和感を感じている、というのは冒頭にお話ししたとおりです。
もちろん、そんな舞台でお話をする人は、それなりの戦略を持たれているはずです。
しかし、彼らの話をきいて、頑張れば何とかなる、と自分を説得している側の人間としては彼らとは違う状況があるわけです。
彼らは、魚のいる池を見つけて、糸を垂れているのでしょう。
なのに、魚のいない池でいつまでも糸を垂らして、そこで頑張っているような間抜けな自分が頭の中で映像化されるのです。

 

10年前に言われていた「激動」と、
今言う「激動」とは根本的に質が違います。

 

先日機会があって、調べ物をしました。
私の父の家業である保険業界には、損害保険募集従事者(損害保険を販売する資格をもつ人)が約200万人います。
日本の人口が1億2700万人とすると、約64人に一人が損害保険募集人です。
それだけライバルがひしめいています。
今、人口は減少傾向ですから、伸びない市場の中でお互い潰しあってビジネスをしていかなければなりません。

保険という仕事は、個人も法人も、老いも若きもお客さんになりえる商売です。
皆さんの商売は、分母となる顧客の総数はもっと少ないでしょう。
お仕事の内容によっては顧客数ではなく、業界全体の市場規模をその市場のプレイヤーの数で割ってみるとより分かりやすいかもしれません。
多くの場合、少ない市場を多くの同業他社で奪い合っている実情が見えるのではないでしょうか。

 

しかも、世の中には、ライバルは増えています。
今までのあなたの商品を扱う業者は専門業者だけだったのかもしれません。しかし、今や一般の流通業や、通販でも扱われているかもしれない。
今まであなたの製品を作っていたのは国内企業だけだったかもしれない。しかし、今や海外からも安い製品が流通しています。

どの業界も厳しいから、近接業界の商品や、自分たちの技術を活かせる別の製品を扱うところにビジネスの領域を広げていきます。
ダイソンが自動車の開発をするというニュースを見ると、まさにそんな思いを強く感じるのです。

いやいや、うちは品質が高いから。
そういう人は多いのですが、そもそもお客さんはそんな品質を求めているのでしょうか?
その品質の価値を認めているのでしょうか?

職人気質はいいのですが、それもお客さんに認められなければ市場では何の意味も成しません。

 

基本的に、商品やサービスは、世の中にありふれると価値が下がります。
それは値下げの圧力だったり、営業のしづらさになって現れるでしょう。
今までなら、そんな辛い時代も、しばらく嵐の時をしのげば、いつしか晴れ間は見えると信じられた話です。

しかし、これからはいくら待っていても晴れの時はやってきそうにありません。

 

それでも先代は、晴れ間が見えるのを待とうとするかもしれません。
いえ、彼らも待つつもりはないのですが、そこから抜け出す思考回路を持っていないのです。
どこへ進んでいいかわからない。
だから考えるのをやめて、今目の前の事だけをやろうとする。

それを冷ややかに見ることができる後継者は、実は、会社にとっては一条の光です。
もしかしたら、親子経営で子が親の事を受け入れられることができなくなるのは、会社が脱皮するために組み込まれた仕組みではないかと思えるくらいです。
親への反発が、会社を変化させる原動力となるのかもしれません。

 

さて、冒頭の話に戻りましょう。
いくらポジティブなことを考えてもどうにもならないことがあります。
魚のいない池で釣り糸を垂れて何日粘っても、釣果は得られないのと同様に・・・。
恐らく、変化に立ち向かうという感覚、あんまりいい結果を生まないと思います。
生き残りをかけて、という表現も私はあまり好きではありません。
バトルロイヤルするなんて、大変じゃないですか。

私は誰もいない秘密の場所で、悠々と仕事がしたいと思っています。
それは変化に立ち向かうというより、変化の中でできる空白地を作るとか探すとかいうようなイメージです。

その空白地を探すコツもシンプルです。
同業者の群れから離れることです。
彼らがいないところに行こうとすると、まったく違う世界であなたの商品や技術、スキルや経験を求めている人と出会うことになるでしょう。

 

一例をあげましょう。
ある企業では、自社の技術が大企業の下請けで持ち腐れになっていたといいます。
それを全く違う業種に持ち込んだら、桁が変わるほどの取引になったそうです。
ポイントは、顧客となる企業にたいして、その会社の製品を活用することで顧客が成功するイメージを描いたからだとおっしゃっていました。

これまで企業は、自社の製品が正しく機能する事であったり、取り扱う商品を手軽に買えることが価値だったように思います。
しかしこの例から考えると、顧客がハッピーな状態になる事、いわばカスタマー・サクセスに思いをはせることへ転換したことでビジネスが変わっていったようです。

 

変化に合わせるというより、変化の先頭に立つ。
これからの中小企業にとって、大事な心構えのように思います。
そしてそれは、ちょっとした考え方や捉え方を変えるだけで実現するもののような気がするのです。
肩ひじ張って頑張るというより、しなやかに考える。
そんなことが必要とされる時代なのではないでしょうか。

 

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