もし自分の欠点をさらけ出すことができれば、二代目経営者は一人前である。




もう20年近く前の事です。
当時、弊社で勤めていた事務社員からこんな風に言われたことがあります。
「もっと素(す)を出せばいいのに」

実は私自身、それを感じていました。
変な表現になりますが、私の血液型はO型です。
しかし、お客さまからはA型に見られる。

はじめのうちは、それだけちゃんと仕事をしているという事だろう。
そう自分を納得させようとしましたが、どうもそんなに単純な話ではなさそうです。






こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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持ち味を出し切れない後継社長

O型なのにA型と言われ続けた私

科学的根拠があるかどうかは別にして、日本人にはなじみのある血液型による性格分析。
よく言われるのは、おおむねこんな感じではないでしょうか。

O型はおおらかでバイタリティがある。
話し上手で積極的・情熱的。
型にはまらないアイデアマン。
楽天家。
大雑把なところに注意すべし。

A型は几帳面で、まじめ。
指示されたことはしっかりやり、
周囲からの信頼は厚い。
神経質で繊細であるところは注意。

 

はっきりいって正反対。
私の血液型はO型。
実は多くの血液型による性格分析、
結構当たっているな、と納得するわけです。

しかし、お客さまや人付き合いの中では、
A型と言われることが多かったのです。

 

そのこと自体に良し悪しはありませんが、
ちょっとした違和感を感じざるを得ません。

このままで向かう先にあるものは?

日常的には、それでさほど困ることはありませんでした。
お客さまから几帳面とみて頂けている。
それはそれで、自分としては誇るべき状態だったと思います。
ちゃんと、仕事をしてたんだな、と。

しかし、残念ながら出せる結果は並み以下。
こんなにちゃんとやっているのに・・・
この事をずっと悩み続けていました。

後継者って結構大変ですよね。
何をやらせても社内でそこそこの力量を見せなければならない。
そんな義務感に駆られて一生懸命働くわけです。
なのに結果が伴わないわけです。

なぜだろう?
やっぱり自分は能力が人より劣っているのだろうか?

そんな悩みが今度は未来に向きます。
今は、オヤジが会社を仕切っている。
だからその傘の下で何とかやっていける。
けど、その傘がなくなったら・・・

自分はきっとぬれねずみ。
社会という厳しい雨の中に立ち尽くすしかないのか。
将来、自分は家族を養う事も出来ず、
社員を養うだけの力ももたず、
会社は左前。

早いところサラリーマンになったほうがいい?
いや、もはやそれさえも出来ないかもしれない。
思考はグルグル回り、どん底の気分を味わうことになります。

変化のきっかけ

苦手科目で勝負しているという現実

ある時、転機がありました。
それはある方のアドバイスによるものです。

「あなたは、本当の自分を押し込めている。
もっとはっちゃけたほうがいいんじゃない?」

え。
いやいや、それってどうなの?
だって仕事ですよ。
一応後継者ですから、責任ある立場ですよ。
だからちゃんとしなくちゃいけない。

心の中で小さな抵抗がおこります。
その場で頭を抱え込み、
うーーん、と考え込んでしまいました。
顔はさっきまでの薄笑いが凍結しています。
あわあわと、半開きの口があいたり閉じたり。
そのコメントに反応しようと思うけど、
適切な言葉も浮かばない。

な、なにを言い出すんだ、この人は、と。

その場を後にし、少し反すうしてみました。
その時に頭に浮かんだのが冒頭の言葉。
20年前、社員に言われた言葉です。

「もっと素を出せばいいのに」

当時、自分は決して素を隠しているつもりはありませんでした。
仕事なんだからこうあるべき。
そういう思いと行動が、日々の習慣になっていました。
つまり、本当の自分を隠すことが
当たり前になっていたわけです。

だから、素を出せと言われても、
なにが素なのかわからないわけです。

改めて考えてみると、そりゃ成果が出ないわけです。
大雑把な人間が無理して几帳面に見せているのです。
それだけで、無駄なエネルギーを使っています。

しかも、自分がもっている能力を隠して、
持っていない能力で世間を渡り歩こうとしてるわけです。
そりゃあ、上手くいくわけがありません。

頭では理解できるけど・・・

それを論理的に理解することは可能です。
ただ、現実問題として、几帳面に振る舞うクセをもっていれば、
気が付けば几帳面であろうとしています。

素を出せ、はっちゃけろ、と言われても、
明日からパーリーピーポーになれるはずもありません。
そうなる必要もないのですが・・・笑

これはクセだから、考える前にそう身体が動いている。
意識する前に、そう振る舞っているわけです。

 

たとえば、何かすべき仕事があったとします。
私に関していえば、その仕事が評価されないことは、
屈辱以外の何物でもありませんでした。

だから評価されるレベルでできること以外はしなくなります。
批判されるであろうことも、取り組まなくなります。
自分の中で、ここまでやればまぁそこそこ評価されるだろうというレベルのものでなければ、その仕事はアウトプットしません。

つまり、世間様に受け入れられるかどうか?
が私の判断基準でした。
そんな状態で鍛えられれば、お陰さまで、それなりの評価は頂けるようになりました。

今までやったことで、周囲から批判を受ける事は少なかった。
しかし、それでもずっと胸の中にわだかまりが残っているのです。
どこまで言っても満足できない。
何かが足りないという感覚。

会社だってとびぬけた業績にはならないし、
個人としても満足できるような結果が見えない。
いつまでたっても満たされない日々を送っていたのです。

まずはクセを知る

大リーグ養成ギプスをつけた後継経営者

O型であり、その特質を持っているであろう私が、
なぜ仕事に絡むとA型のように振る舞うのでしょうか。
わかってしまえば簡単です。
それは思い込みです。

後継者たるものこうあるべき。
ビジネスマンであれば、こうすることが当たり前。
こうしなければ上手くいかない。

こんな思い込みが私をA型風な人間にしました。

誤解のないように言っておくと、A型人間が悪いわけではありません。
本質がそれとは違う人間が、A型人間のように振る舞うことが問題、
いえ、苦行なのです。

私の人生の半分は、「●●しなければならない」「●●すべき」
といった言葉の中で生きてきました。
これは、人を型に押し込む危険な口癖です。
星飛雄馬の大リーグ養成ギプスのようなものです。
(このたとえ、若い人には理解が難しいですかね・・・汗)

もう少しわかりやすく言うと、本来左利きとして生まれてきたのに、
右利きに強制されることに似ています。
左手でやればもっと上手く出来るのに、
社会とのかかわりのために苦手な右手を使う。

私は、O型的特質を持っているのに、
社会とのかかわりのためにA型的特質をもって生きてきた。
こういえばわかりやすいでしょうか。

多くの場合、その監督者は親です。
そして、家業を継ぐと、監督者が身近にいる状態。
だからその呪縛から逃れることは難しい。

何度かこのブログでお話ししていますが、よく言われる
「親をこえろ」
という話は、技術や知識で親をこえろという意味ではありません。
子どもの頃、親から授かった価値観を打ち破ることが、
後継者にとって親をこえるという事です。

「素」を知ることから始めよう

大リーグ養成ギプスは、小さい頃は私たちが生きていくために、とても役立ってきました。
まだ人としての判断力を持たない子供にとって、親から授かった価値観は世の中を渡っていく中で非常に大切なものです。

しかし、大人になった今、そのギプスを脱ぎ捨てるタイミングがやってきました。
それを外したとして、その内側には何があるのでしょう。
実は多くの人は、あまりに長い間ギプスを付けているがゆえに、本当の自分の姿を忘れているかもしれません。

それを取り戻そう、というのが「自分探し」ブームです。
彼らは、人生に足りない何かを感じ、その原因が自分を見失っていたことに気づいた。
そして、旅をしたり、自然の中に身を置くことで本当の自分を探したわけです。

しかし、ビジネスの現場にいるあなたにはそんなチャンスはないのかもしれません。
(そう考える事もまた、一つの呪縛ではあるのですが)
もうすこしインスタントに素を知る方法があります。

 

それは、自分の心の中の声に耳を傾けることです。
「この仕事、この程度で出したらちょっと恥ずかしいな」
「社員の前で人生論を語るなんて、なんかいやだな」
「そもそも自分がこんなことで悩んでいるなんてちょっと・・・」
そんな声が聞こえたとき、少し掘り下げてみます。

恥ずかしいと感じるのはなぜだろう。
そう問うと、他人の評価を気にしている自分を見つけることができます。
その時点で、本当の自分の声ではなく、他人から見た自分がどうあるべきかを考えている事がわかります。
人目を気にしてる、ってやつです。
じゃあ、本当の自分はどう感じているのでしょう?
そうやって掘り下げていくと、だんだんと自分の正体がわかるようになってきます。

すこしずつでいい

そうやってちょっとずつ、自分を知る機会が出てきます。
たとえば、「後継者たるもの、社員の模範になるべし」と考えていたとしましょう。
しかし、どうやら、自分はそんなにしっかりものではないこともあるでしょう。

そんな時、
「おれ、こういうの苦手なんだよね。誰かやってくんない?」
と正直に話をすると、手を差し伸べてくれるかもしれません。

するとまだ強く存在している、几帳面なあなたは頭の中で叫ぶでしょう。
「いやいや、それではいかんだろう。自分の責任を全うしろよ。」
そんな時には、こう言ってやればいい。
「だって、めんどくさいんだもん。」

素晴らしい経営者ほど欠点が見える

会社をまとめるコツ

さまざまな経営者を見て気づいたことがあります。
私が、素晴らしいな、と感銘を受ける経営者ほど、そこに勤める社員さんは経営者の欠点を知っています。

「社長はこういうの苦手ですもんね。
私がやっておきます。」

社員さんは、当たり前のようにこんなことを言うんです。

私たちは、経営者たるもの完璧であれ、そんな風に考えがちです。
しかし、臆面もなく、自分の欠点をさらけ出している経営者は、ちゃんと社員がサポートをしてくれます。

しかし一方で、欠点をひた隠しにし、完璧を装う社長は大変そうです。
たしかに、「あの社長はすごいな」という社長個人への賞賛は耳にします。
とはいえ私はそのあとこう感じるのです。
あの会社は、あの社長で持っているな、と。
逆に言えば、その社長がいなければ会社が成り立たない、と感じさせられるのです。

まとまっている会社ほど、経営者の欠点が丸見えである。
これ、恐らくとても重要なポイントではないかと思います。

後継者が完ぺきな経営者を目指せば目指すほど、会社はまとまりを欠き、経営者が一人で汗をかかなければならなくなる。
もしこの事が本当だとしたら、そんな経営者になりたいですか?
たぶんNOですよね。
私だったら勘弁してほしい。
なにしろ、O型なものですから。

経営者の生産性

会社全体の事を考えてみましょう。
経営者が完璧であるために、本来得意ではないことを一生懸命やっている。
左利きの経営者が、右手で経営してる感じですね。
これ、生産性上がりますか?
なわけないですよね。

中小企業においては、社長の生産性が大事といいます。
会社の中で、一番の金食い虫は経営者です。
その経営者が、苦手なことを克服するために働くなんてナンセンス。
経営者は得意なことを最大限発揮することで、パフォーマンスを高めなくてはなりません。

ランチェスター戦略、船井幸雄氏の長所伸展法、その他多くの戦略の教科書は、「強みを伸ばせ」と言っています。

つまり、後継者は、世間で言うところの完璧な経営者を目指してはいけないのです。
得意なところがどこかを突き止め、自分の性格の強みを突き止め、それを最大限活用すること。
それが後継者が自分を高めるために必要な意識です。
そして自分の弱い部分をさらけ出し、協力を得ること。

きっと、真顔で自分の欠点をダダ漏れにできるようになれば、自分探しは終了でしょう。
なぜなら、弱点をさらすことができるという事は、そんな弱点をもった自分を認めている証拠なのですから。

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