後継者

PDCAのPにこだわってはいけない ~同族会社の二代目経営者のネタ帳

ある業務改善を専門とするコンサルタントの方との会話でこんな話がありました。
ほとんどの企業で、PDCAは機能していない、と。

PDCAとは、いわゆるPlan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)という、管理業務を円滑に進めるフレームワークです。
どうやるかを考え、やってみて、振り返ってみて、次の改善を行う。
こういったサイクルなわけです。

しかし、これが多くの企業では機能しない。
その原因はどこにあるのでしょうか。

 




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件の業務改善コンサルタントの方は、さらにこうおっしゃっていました。
「大企業の多くは、Planの段階で8割の労力を使い切っている。」
つまり、びっちりと行動計画を作りこんでるのはいいのですが、そこで完璧にしようと躍起になるのです。
結果、「正しい」という前提で作られた計画ですから、形ばかりの振り返りはするものの、改善にはつながらないことが多いといいます。

大企業であれば、何かしらの作業工程がある場合、それを何層もの意思決定プロセスにかけたうえで承認されなければなりません。
そのためには、入念なPlanの作りこみが必要となるのも無理もないかもしれません。
大企業における計画段階の資料は立派なもので、いくつかの会社が「社内プレゼンにパワーポイントの使用禁止」といったのも理解できます。

 

しかし、中小企業は、それを真似する必要は全くありません。
多くの場合は社長や経営幹部がOKを出せば、採用です。
それが先代であるか、後継者であるかは状況によってまちまちでしょうが、説得する相手は一人です。
だから、成果が出る予感を感じさせれば十分なわけです。

それよりむしろ、やってみて失敗して、それを経験値とする方がよほど重要です。
そのためには、計画で力を使い切ってはいけないのです。
変えていく前提で、「とりあえずやってみる」のが正しいのではないかと思います。

 

これは私の体験から感じた事ですが、中小企業にとって計画段階で大事なのは、
継続可能性を高めるやり方
を意識すべきです。
プロジェクトがフェイドアウトしても誰も気づかないことが多いのが、中小企業にありがちなパターンです。
やり始めたプロジェクトは、辞めようという判断なしに、消えてしまわないことが重要です。

 

最終的な完成形では、複雑な仕掛けになるとしても、シンプルな一つの作業からスタートさせる。
会議の議事録は必要最低限にとどめる。(例えば、開催日・参加者・だれが・なにを・いつまでにするがわかれば十分)
評価方法も難しい指標を組み合わせることなく、シンプルな一つの指標を取り出してみる。
会議の開催は忘れず集まれるタイミングを定める。
一回ごとの会議や作業に必要以上負荷をかけない(やりすぎない)。

そんな工夫が必要でしょう。
継続させる事が、一番難しいのです。

 

ところで、ほとんどの人は自分一人のPDCAは常に体験しているはずです。
例えばこんな感じです。

PDCA ステップ1
P:休日に家族の買い物に付き合わされる。
D:一緒に行ってみたら自分はそっちのけで妻と娘が服を買いに行った。
C:そこについていっても妻と娘は迷惑そうだ。
A:次回からは自分は別のところで過ごす方法を考えよう。

PDCA ステップ2
P:今回の買い物では妻と娘とは現地で別れて同じショッピングモール内のマッサージ店に行こう
D:マッサージ店に行ってみたら満員で2時間待ちだった。
C:マッサージ店に休日飛び込みで入るのは難しいようだ。
A:次回は家を出る前に予約の電話を入れよう。

PDCA ステップ3
P:今回の買い物ではすでにマッサージ店に予約済みである。
D:マッサージを堪能する。(ひとまず成功!)
C:時間がまだ余るようだ。
A:カフェに立ち寄る。但し退屈なので次回は本でも持ってこよう。

 

・・・といった感じでしょうか。(実はこれ、私の体験談です笑)

 

こんな日曜の父親業だけでなく、いろんなシーンでPDCAやっていますね。
言葉を変えると、試行錯誤です。
ゴルフのショットの練習でもやっているでしょうし、知人との会話でも受ける話し方を意識している人もいるでしょう。
何をするにも、たいていはよりよく出来るよう、日々試行錯誤をしています。

それが、会社という組織の中で上手く出来なくなる要因の一つに、そのサイクル間隔が長くなるという事があります。
たいていは、1か月や四半期ごとに見直そう、という事になると思います。
しかし、ゴルフのショットを1か月後違うやり方を試してみよう、なんて言っても今やってることを忘れます。
仕事だって、四半期もたってしまえば、今やっている事がスタンダードになってしまいます。
仕事の種類によっては結果が出るまでに時間がかかることも少なくないのですが、そうでない場合は1週間単位程度では回した方がわかりやすいのではないかと思います。

とくに、PDCAサイクルを回し始めたときは、早々にたくさんの課題が出てきます。
当初は、3日とか1週間単位で見直し、徐々に長いスパンに変えていく、というのが理にかなっているでしょう。
そんな短期間に人を集めるのは大変かもしれませんが、一体感を作る効果もあるので、ここぞ、という事に対しては頑張ってみてはいかがでしょうか。
(1回のミーティングは長くやる必要はありません。)

 

私の会社もできているとはいいがたいです。
ただ、「PDCAの見直し会議やるぞ!」と大上段には構えませんが、あの件、上手くいってる?具体的な問題が見えてきたものある?
といった問いかけを行うことは多いです。
そこで共有が必要なものは、少し朝礼で話をし、意見を求める程度の事ならやったりします。
PDCAというと、出来てないような気にもなりますが、試行錯誤と言ってしまえば、それなりに機能している気にもなります(笑)

べつにPDCAのチェックや改善について、会議を開かなくてはならない義務はどこにもありません。
そんなことは大企業に任せておいて、私たちはお手軽に実を取る方法ととればそれでいいのです。
その小回りこそが、中小企業に求められている価値なのですから。

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