後継者

後継者にとっての仕事の空白

最近私は「無我夢中で没頭できること」があることが幸せそのものじゃないかと思います。
それは若いころ営業で訪問できる先がなく、仕事らしい仕事ができなかった日々を過ごしたことが原体験としてあるのかもしれませんが、割といい線言ってるんじゃないかと思います。
しんどい時も、楽しい時も、とにかく何かに没頭してるときって無心じゃないですか。
例えば、記録に到達できるかも、と思って練習に励むとき。
例えば、会社としてこれまで不可能だった開発が完成に向かっているとき。
例えば、自分が自分の役割を全うしようと、必死に動き回るとき。
その時には何も感じていませんが、あとから振り返って「ああ、あの時は良かったな」と思えることはないでしょうか。

もし、跡継ぎの方で、親の会社で働くことに嫌気がさしているとしたら、夢中になれないからかもしれません。

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私が家業を継ぐべく親の会社に入った時、はじめにやったのは営業です。
いわゆる飛び込み営業というやつで、取引のない家や起業のドアを一軒一軒ノックする。
そして保険を売り込むことが、入社すぐの仕事で、その後1年くらいはその仕事をやっていました。

まいにち100件くらい営業すると、個人宅だと留守が9割くらい。
在宅されていても、突然やってきた見知らぬ人から保険の話なんて聞こうという奇特な方は1人いるかいないか。
企業を訪問しても、決定権を持つ人に会えるのはやはり、100件訪問して、1件あえるかどうかです。

1日の仕事時間を8時間とすると、7時間55分は何の生産性もないことに費やされます。
(ちなみに、たまたま会えた1件の訪問先で5分話ができた場合)
これはとてもむなしいです。

自分は会社の役にも立たず、社会の役にも立たず、無為な7時間55分を過ごしているのです。
そしてさらに、ほとんど人と会えない現実を知ると、だんだんとノックするのさえ億劫になってきます。
初めてサボるために入った喫茶店に、朝9時半ごろ多くのビジネスパースンがたむろしていたのを見て、ホッとしました。
ああ、自分だけじゃないんだ、と。

 

そのとき何がツラかったか?といえば、多分一番の思いは、
会社に何の貢献もできていない
ということだったと記憶しています。
もういっそのこと、給料がないほうがどれほど気が楽か、と思ったことをおぼえています。

断られても、断られても、たくさんのお宅を訪問することが私の仕事、と割り切ることができればまだよかったと思います。
しかし、実際はやっぱり、契約を頂けて初めて仕事です。
つまり私は、毎日、会社に貢献する仕事をすることなく、過ごしていたことがどれほど苦痛だったか。

 

できる事なら、与えられた仕事を仕上げればいいという、事務のような仕事を望んだものです。
そういう仕事ならソコソコ頑張れるのに。
なにより、仕事時間に「空白」がないことは、空白しかない時間を過ごした自分にとってはとてもうらやましい状況です。

かつて「窓際族」という言葉がありました。
会社で「もう辞めてほしい」という社員に、会社は仕事をさせず、窓際の席を与えます。
丸一日、何の仕事もしないでその場にいる、というのは相当つらいようで、そういう状況になった社員が自ら会社を去るケースはけっこうあったようです。
それほど、「仕事時間の空白」というのはつらいものです。

Steve JohnsonによるPixabayからの画像

さて、会社において、もし跡継ぎの方が今の仕事がイヤだとか、家業に否定的だとか、そんな状況がある時一つの状況を疑ってみます。
それは、自分にとってその仕事が夢中になれる物かどうか?ということです。
確かに毎日真剣に取り組んでいるとは思います。
それでもなんだか虚無感を感じるような日々があるとすれば、どこか夢中になり切れない要因があるように思います。
それは、仕事がつまらないからでしょうか。
会社の環境でしょうか。
そもそもハナから自分が夢中になるまい、と構えているからでしょうか。

私の話は会社に貢献できていない感が、仕事に空白を感じる原因でした。
今目の前にある、顧客訪問という作業が、それなりに意義あることに感じられないということが原因です。
あなたの場合はどうでしょうか。
目の前で任されていることが、誰かの眼(会社?先代?社会?社員?)から見て、意義ある(あるいは評価の対象となる)ことに感じられないところに夢中になり切れない原因があったりはしないでしょうか。

 

厄介なことに私たちは、仕事の中に虚無感を感じる空白をみつけると、そこを何かで埋めてしまいがちです。
たとえば、いつも時間が余るから、あまり意味のない仕事を作って、時間を埋めて忙しいふりをするというパターン。
忙しければ自分は誰かの役に立っている気がする、という誤解が生みだす空白のうめかたです。
けどそれは、空虚感を増幅するだけであまり意味がありません。

そういったことを繰り返しているとしたら、ここでいっちょ転換が必要かもしれません。
それは自分が夢中になれることは何か。
今の仕事を夢中になるためには何が必要か。
損な問いかけが必要なのかもしれません。

 

人は無意識に空白を埋めがちです。
しかしそこにはがらくたが詰められていることが多い。
もう一度、そんな空白部分を見直してはいかがでしょうか。

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