後継者

事業承継の中で大事なことは状況を俯瞰する力

中小企業の事業承継には、親子で会社を引き継ぐ場合が多い。
それは家族であるから難しいという側面もありますが、家族でなくとも難しい側面はあります。
その理由は、事業承継における登場人物の本音と建前が一致しないから。

たとえば、先代は「早く会社を誰かに任せたい」と言いつつ、会社の手綱をはなさない。
後継者は、「早く任せてほしい」と言いつつ、会社のことにおいて責任を持つことから腰が引けてることが多いように思います。

こういった状況下を、後継者・跡継ぎ・二代目経営者の視点で見るとまさに、相手である先代に対しての責め心がどうしても前に出てしまいます。
自分はこれだけ一生懸命にやってるのだから、そろそろ認めてほしいという気持ちがある半面、先代は会社のことを手放さない。
ただ、そう言う心持ちであるうちはなかなか事業承継がうまくいくことはないのではないでしょうか。

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事業承継がうまくいかない会社の特徴

事業承継における視点の低さ

「物事を俯瞰してみよう」という話はよく耳にします。起こっていることを少し高い視座から、冷静に眺めてみよう、ということだと思います。
経営ということを考えるに際して、じつはこの「俯瞰」ということが大事だと思います。
会社の過去と未来、世の中の現状と今後、お客様の振る舞いと自社との関係、お取引先や従業員との関係…などなど。
会社の中で働いていると、こういったことを会社の中から感情を伴ってみていることが多いように思います。

たとえば、世の中はこんなに早く進んでいるのに自分の会社はまだまだだ(不安や恐怖)、とか、従業員は自分が言ったことをしっかり実行できていない(憤りや怒り)など。
教科書的に言うなら、経営者というのはこういった感情に巻き込まれることなく、常に冷静でありたいものです。
そして、冷静であるということは、現場と少し遮断したところから物事を見てみる時間というのが大事なのではないかと思います。

感情に流されるから事業承継で親子が仲たがいを始めてしまう

これは、親子の事業承継における、親子の確執でも同じことが言えるのではないかと思います。
たとえば後継者の思いとしては、自分が考え、実行していることがあるとすれば、先代は会社をスムーズに発展させるためにそこに協力的になるべきだ、と考えることでしょう。
しかし現実はそうでないことが多いわけです。
感情の渦に巻き込まれてしまうと、その事実は「自分を尊重しない先代」という意味付けになり、そこに対する怒りであったり、絶望であったり、孤独と言った感情から逃れられなくなります。

しかし、この感情から一歩引いて物事を少し高い視点から見てみたとします。
そこには、先代や従業員を思い通り動かしたい自分がいて、その通りに行かない現状がある。
その現状に対していつもカリカリしている自分がいる。
さてこの状況を、俯瞰してみたとき、果たしてその先に、素晴らしいゴールが見えるでしょうか。
たぶん、そんなゴールはないと言えるんじゃないかと思いますがいかがでしょうか。

大事なことは、私たちはこのパターンを来る日も、来る日も、繰り返してはいないでしょうか。

気付いて変えることが事業承継での後継者の学び

感情を理論で打ち負かそうとする後継者

少しイメージを膨らませて、先ほどのように自分の会社の人間関係と感情の構図を俯瞰してみてください。
会社が思うように回っていなかったり、自分のやろうとしていることがうまくいかないとき、私たちはどう対処しているでしょうか。
大体のパターンは、自分の言うことを聞かせるために、ルールの強化、マニュアル化、給与制度の変更などといった社内の人に行動の壁をつくるような行動を後継者は取りがちです。
これは自分自身に行動の壁が立ちはだかっていることから、それを他の人間にも適用しようという方法論じゃないかと思います。
それはきっと論理的には理解できるかもしれませんが、世の後継者が感じるような閉塞感を社内の一人一人が感じる状況を創り出そうという行動ではないでしょうか。

これはとても大事なことなので、もう一度言います。
後継者・跡継ぎ・二代目経営者は、自分が経験した行動に対する閉塞感を、先代やほかの社員にも強要しがちなのです。

だとすると当然、先代も従業員たちも、その仕組みに対する反発心、よからぬ感情を抱き始めます。そこから社内は殺伐とし、あるいは大量退職などの事件がおこったりすることがあるかもしれません。
後継者で「自分の代になって社員が一斉にやめてしまった」という事件を経験されている方はけっこう多いです。
それは、自分が信用されていないというより、自分がやっていることが受け入れられないからかもしれません。

理論も大事だけれど感情への配慮が一番

さて、高所から俯瞰した時に、こんなシーンが見えてきました。
まずは自分が周囲を囲われている不自由を感じています。
その囲いを後継者は、先代や従業員にも課しています。
これを上から見れば、会社の中の登場人物は、全員が囲いの中に孤立している状態です。

もし、後継者として「ウチの会社の社員は自主性が足りない」と思っているとしたらまさにその囲いが原因となっている可能性は非常に高いと思われます。
社員を孤立させて、自分も孤立する。
社内のだれもが孤独感を感じ、この状態で協力体制を思考としてもなかなか難しいと思います。
じゃあどうすればいいかというと、この囲いを取っ払い、社内の人間をつなげることから始める必要があります。
この時もちろん、一般の従業員も、先代も、分け隔てすることなく行うことが大事だと思います。

囲いを構成するのが、ルールや規則、マニュアルと言ったものだとお話ししました。
ただ、組織である以上、それを撤廃するというのはなかなかハードルが高いかもしれません。大事なのはこれらのルールや規則があるのが、「他人を強制するため」のものだというところが問題なのではないかと思うのです。
リーダーなのだから人を動かすのは当たり前、と言いたいかもしれませんがそれを「圧」で動かそうとすると、そこには不満しか生まれません。
ましてややらされ仕事ですから、本来の力が発揮できるとは思えません。
彼らここに持ちがちな囲いというのは、実はルールや規則というよりも、心の壁です。
彼らを信用していないから作られたルールや規則が、彼らを孤立させ、結果として私たち後継者・跡継ぎ・二代目経営者もまた孤立してしまうという残念なスパイラルが起こっているように思います。

後継者・跡継ぎ・二代目経営者はまずはその状況に気付こう

さて、大事なのは、そういった状況を作っている自分の振る舞いに気付くことから始めたいところです。
それを気づけば、こんどはその状態を変えるにはどうすればいいかを考えることです。
一般的には、信用しないから離れた心を再びつなぐには、信用することしかないようにも思います。
それはとても無防備で、恐ろしいことに感じられるのですが、それこそが或いは経営者として独り立ちするための覚悟なのかもしれません。
今まで同じパターンのサイクルを繰り返してきたとするならば、今までとは違うパターンを作ってみる。
そんなシンプルな思考が必要とされているように思います。

そんな考えも、一旦、自分の感情の中から抜け出さないと見えてこない部分です。だから、感情という自分の視点で物を見ている状態から、少し俯瞰した形で会社を見て見ていただきたいと思います。
第三者のような視点で見たときの自分、先代、従業員はどんな状態で、何を考えていると推測できるでしょうか。
その視点を手にすれば、打つ手も増えると思うのですが、いかがでしょうか。

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