後継者は、ある時は持ち上げられ、ある時は軽んじられます。
どういうことかというと、社内で声を大きくしてもだれも振り返らないことがある、という事です。
自分は一生懸命会社の方針を考え、それを社員に伝えようとするのに、その言葉はなぜか伝わらない。
ひどいときには、先代の鶴の一声で、後継者の主張は泡と散ってしまう。
後継者がこんな時に取るべき行動は、どのようなものなのでしょうか。
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後継者が会社になじみ始め、実務に習熟したころ、リーダーとしての役割を負う必要が出てきます。
将来、経営者であることを半ば義務付けられている以上、いつまでも実務専任という訳にはいかなくなります。
つまり、ベテラン社員の頭を飛び越えて、責任ある立場につかなくてはならないのです。
これがなかなか大変で、特に力を持った社員は、そんな後継者を子ども扱いすることもあるでしょう。
これではいけない、と威勢を張れば張るほど、社員とあなたの距離は遠のいていく。
こんな経験をされる後継者は、相当数に上るようです。
さて、人は、人の上に立つにあたって、間違った認識を植え付けられているようです。
人の上に立つという事は、人に指図し、圧力をかけて従わせる。
言葉にするときつい印象を持つかもしれませんが、大抵の管理職の方はこんなマネジメントをしているのではないでしょうか。
私に関していえば、かつてそのようなマネジメントをして、社員に総スカンを食らった事があります。
社員は一斉に退職し、それを反省するどころか、
「詰まった血管をきれいにするには取り換えればいい。向こうから辞めてくれるなら、そのいい機会だ。」
なんていう、ブラックぶりを発揮していました(汗)
しかし、今はもう少し風通しはよくなっていると思います。
社員は、
「社長(私の事)に、いつまでも実務をやらせてはいけない。」
なんていう言葉が社員から出てくるのはうれしい限りです。
リーダーシップの専門家である、オリビア・フォックス・カバンは著書「カリスマは誰でもなれる」の中でカリスマを発揮するのには、以下の三つの要素があるといいます。
- プレゼンス
- パワー
- 誠実
これは私なりの解釈ですが、プレゼンスというのは存在感。
存在感を発揮するには、声を大にするか?というえばそういう意味ではないと思っています。
私はこれで失敗しました。
特に、後継者の場合は、あなた以上に声の大きい、先代経営者がいるでしょうから、声の張り合い。
これを続けると、社員はどっちに向いていいかわからなくなってしまいます。
面白い話なのですが、プレゼンス、つまり存在感を強くするためには、こちらからの発信ではなく、
社員一人一人の言葉に耳を傾けることが重要なのだと感じています。
わかりやすい実験をしてみましょう。
FacebookなどのSNSにおいて、多くの「いいね!」を獲得を指標としてみます。
この時に、あなたの主張を熱く熱く語るのと、
友達の主張にちょっとしたコメントを書いて回るのと、
どちらが簡単に、自分の投稿への「いいね!」を増やせるか試してみてください。
大抵は、後者の方が簡単にあなたの言葉に関心をもって頂けると思います。
人は、自分に関心を寄せてくれる人に、関心を持つもののようです。
力任せに、自分の主張を語る前に、相手の言葉をきちんと受け取ってあげることの方が重要なのです。
二つ目のパワーというのは、まさにその名の通り。
といっても、汗をかき、唾を飛ばしながら熱く語るというのも悪くはありませんが、日本人にはちょっとやりにくいですね。そもそも、パワーという意味では先代のほうがずっと大きいようにも思えます。
そこで考えたいのは、言動の一貫性です。
一度の発言での熱量は少なく感じても、それを繰り返し伝えることで熱の総量は同じになります。
私を直接知っている人の殆どは、私を「熱く語る人」と思っている人は少ないと思います。
抑揚のないしゃべり方をしますが、同じことを繰り返し話せば、それはパワーになります。
そして三つめの誠実さ。
単純に、ウソをつかないという事と、先程の一貫性というところにも絡んでくると思います。
家族経営でありがちなのは、無意識にやってる「コソコソ話」。
これはいけませんね。
この三つを意識して、コツコツと関係を築けば、次第に社員の目はあなたに向き始めます。
無理やり「こっちを向け!」と言えば言うほどそっぽを向いていたのが、不思議なくらいです。
先にお話ししましたが、社員から総スカンを喰った私。
正直、人付き合いというのは苦手科目である私。
呑めないので社内でほとんど飲み会をやらない私でさえ、それなりに(それなりにですけどね)社員との絆は作れてきていると思います。
その過程で気を付けてきたことが、まとめられていたのが上記の3要素です。
もしお悩みの方は、ぜひ試してみてください。
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