後継者

後継者の私が「会社を辞めたい」からどう抜け出したか?

かつて、親の会社を継ぐため頑張ってきたとき、私、親を恨みました。
なんで、商売なんかやってたの?
なんで、この業種なの?
後継者・跡継ぎと言われてそだって、小さいころから「親の会社を継ぐ」のが当たり前と思い込んでました。
それを拒否するなんて選択肢はまったく浮かびません。

それでも今も生きてます(笑)
一体どんな変化があったのでしょうか。


私の著書です。

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合わない仕事と合わない会社

諦め始める?

実はワタシ、親の会社の仕事を始めた途端、壁にぶつかりました。
保険の営業という仕事でしたが、それがそもそも合わない。
しかも、会社の中は殺伐としています。
なぜかと言うと、親である社長が、かなりゴリゴリのワンマンタイプ。
後に、それって中小企業あるあるなのがわかるのですが、この時にはもう信じられない世界。

そんな中で、自分も目立たないよう、一新入社員として過ごしたいという思いがありました。
けど一方で、将来はこの会社を背負わなければならない、という責任もあります。
責任と、逃げたい気持ちの間で随分気持ちが揺れたのを記憶しています。

規律の世界に辟易

私は保険の営業というのがあまり好きではありません。
ならば、と、欲しいお客様が手をあげる仕組みをつくろうという事で、マーケティングをけっこう勉強しました。
けどこれって、なかなか規制の多い業界では難しい。
お客様の眼を引くキャッチコピーをつけた瞬間、文書規制の網に引っ掛かってしまいます。

そのほかにも自分なりにいろいろ工夫しようとするのだけど、それはことごとく潰される。
また、だんだんと先代との考え方のズレも大きくなってきます。
もうやる気はどんどん失せていきました。

最後の決め手は尊重されない世界

さらに、自分なりには頑張っているのに、まったく、後継者として尊重されていないムード。
しんどいばっかりで、何一ついい事ないじゃないか。
収入だって少ないし、朝早くから夜遅くまで働くし、けど何の見返りもない。
もういい加減やってられるか!と思い始めたのは、仕事を始めて5年もたたない事でした。

社員の一斉退職で気づいたこと

組織を動かすという事

そんな矢先、私は自分なりに一生懸命会社を変えようとしていました。
けど私が一生懸命になればなるほど、社員はしらけムード。
言われたことはやるけど、それ以上の事は何もやらない。

そして、代替わりをしたにもかかわらず、社員は私ではなく父である会長の言葉を優先させる。
一体自分って何なんだ!?と思いました。

そこで強硬に組織を動かそうとしたんですけど、それが裏目に出て、社員が次々と辞めていきました。
一人残ったオフィスで、私は涙を必死にこらえていました。

組織マネジメントの基本

この後、死ぬほど組織マネジメントについて学びました。
そこで出てくるのは、リーダーは指示を出し過ぎないで、ということ。
いやいや、それじゃあ人は思ったように動かないじゃないか。
そもそも「人を思い通り動かす」という事が間違いなのだ、という事に気付きました。

けっこう葛藤しました。

けど、ゴリゴリにやっても人は思うように動かず辞めていきました。
ならば、違う方法を試してみようと思いました。
けど、そのためには、我慢が必要だったんです。

ダメなことも受け入れる

社員は常に自分の思い通り動くわけではありません。
けどそれが当たり前なのです。
社員は部品ではなく、人です。
だから、人として動けるような配慮をするのがリーダーの仕事なんだな、という事を感じ始めました。

初めは、思うようにいかないことを「ガマン」してました。
けどそれはストレスが溜まります。
ガマンではなく、「そういうものだ」という、ある意味諦めができるように気持ちを持っていきました。

そうすると色んな気持ちが湧きあがります。
社員が変な行動をして、リーダーの自分が変に思われるの嫌だなー、と。
あ、これって会社のためというより、自分のメンツのために社員を統制しようとしている、というよこしまな気持ちに気付き始めました。
だから、自分のメンツとかそういうものを守ろうとしなければいいんだ、という事に気付きます。
もちろんそれを捨てるには、色々と大変なことはありますが、意識付けは大事だと思います。

人の器

そしてそんな経緯の中から、自分の思った通りに行かないことを受入れることこそが、人の器なのかな、と最近は思います。
つまり、経営者になるっていうのは人の器を広げる修行です。
もしかしたら、先代の会社が組織としてあまり大きくないなら、そういった器は広がってないかもしれません。
けどそれは組織が、先代のひとりの人間としての器の中でモテる組織の限界まで行っている状態だと思います。

まだ人生経験が少ない後継者である私たちは、今の器では先代の持っていた組織はもてない。
だから器を広げていくことが大事なのかな、と思いました。

そしてそれは社員に対してだけでなく、先代が勝手な動きや無茶をしたとしても「そんなものだ」とおもえれば、全然気にならなくなります。
会社の未来の責任はありますけど、それは一旦脇において、今どうするかを考えたときに、先代のワガママも含めて包み込める自分である、という器を持てたら、何が起こっても大丈夫になるんじゃないかと思うのです。

そうすると、あまり細かなことが気にならなくなりました。

 


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