親の会社を後継者が継ぐときの「あるある」ですが、たくさんあります。
その中でも結構多く、しかも結構インパクトの大きいはなしが、社員の大量退職。
あるいは、社員によるクーデター。
この時に、何が起こっていて、どう対処すべきかについて考えたいと思います。
私の著書です。
Contents
親の会社を後継者が継ぐときに起こる問題
後継者が親の会社を継ぐときに起こる問題トップ10
親の会社を後継者が継ぐ際、かなりの確率で発生しがちな問題があります。
その内容を、私の主観的なものではありますが、ランキング形式でまとめてみます。
- 親子の確執
- お金問題(借入・使い方)
- 後継者の孤独・辞めたい
- 先代を追い出し
- 社員の大量流出
- 社内の分裂
- 社内風紀の悪化
- 戦略転換の結果の業績ダウン
- 親子の方針違いによる社内の混乱
- メンタルヘルス問題の勃発
これを見ると、かなりの部分が「人」の問題になります。
そこで今回は、社員の大量流出問題について考えてみたいと思います。
社員はどんな時に大量にやめていくのか?
では、後継者が親の会社を継ぐとき、社員はどのタイミングでやめていくかを見ていきましょう。
実は、社員は親の会社を継ぐ後継者が入社してから、ある程度なんとなく遠巻きに見ているケースが多いと思います。
「お手並み拝見」という感じでしょうか。
人は、異質なものが組織に入ってくると、まずはそれが自分にとって利になるかそうでないかを判断しようとします。
そもそも、社員から見た後継者は、社長側(先代側)の人というのが基本。
下手なことを言うと、後継者から社長(先代)に、情報が回ってしまいます。
だから、後継者との付き合いには慎重にならざるを得ません。
そんなせめぎあいから、だんだんと後継者が実権を握っていく中で、社員には我慢がならないことが起こるのです。
その時に、社員の怒りは爆発し、会社を去っていきます。
その時というのはどんな時でしょうか。
社員は自分を信用してもらえない、と感じたときやめていく
具体的に社員が大量にやめていくとき、社内はこんな傾向にあるはずです。
- 社内に次々と新しいルールや規範が生まれる
- 社員の働きが減点法で評価され、褒められる機会がない
- マイクロマネジメントが行われ、小さな部分まで管理指導される
- これまで社員が積み上げてきた経験や実績が全否定される
- 社員の言葉が後継者の耳に入る仕組みがない
などなど。
シンプルにまとめると、「社員の主体性が尊重されず、社員が信用されず、社員の存在そのものが評価されない」状態といえます。
後継者が親の会社を継ぐときに大量退職が起こる理由
社員は「ここにいていい」という感覚を求めている
会社というコミュニティにおいて、社員の離職率を下げる方法は非常にシンプルです。
あなたたちは、会社にいていい、会社はあなたたちを求めている、というメッセージを発信することです。
たとえば、ある会社では、パーカーを社員にプレゼント。
その旨に、社員一人一人の名前をプリントしたものを贈った時、社員の離職率は下がったと言います。
後継者が親の会社を継ぐときに、まずやることは、社員を自分の支配下に置こうとすることです。
それは、社員一人一人との信頼関係を結ぶというより、ルールや規範で縛り、高圧的な物言いでひれ伏せさせ、やり方などの意見を社員に求めたり、社員に相談したりしない。
計画段階は、誰にも関わらせず、自分で作って、「これでやるぞ」と押し付けていないでしょうか?
きっと、社長(先代)はそんな感じだったと思います。
けど、社長(先代)と、社員たちはそもそもそういう前提でやってきた中で、なんとなくでも人間関係ができている状態。
そこに、人間関係のできていない後継者が高圧的に社員に接しても、上手くいくはずがないのです。
組織で大量退職が起こる原因は殆どがここにあります。
社員を、自分の駒のように使おうとすると、離職が発生します。
後継者が頑張りすぎるとき大量退職が起こる
傾向として、後継者がなんとか自分でイニシアティブを握ろうとするとき、大量退職が起こりがちです。
普通に声をあげても人はついてきません。
そこにいら立ち、ルールや規範、上からの圧などを駆使して、社員を何とかひれ伏せさせようと頑張るとき、社員はやめていきます。
コントロールしようとすれば、アンコントローラブルになるのです。
後継者は一生懸命だけに、かなり精神的ダメージを負います。
けど、こういうことが起こるという仕組みを知っておけば、ダメージは限定的です。
後継者はムリに相手を動かそうとすればするほど、相手はこの場を立ち去ろうとするのです。
親の会社を継ぐ後継者が、社員をやめさせずに組織を引き継ぐ方法
まずは絆づくり
実は、親の会社を継ぐ際に必要なのは、社員との絆づくりです。
そのためには、コミュニケーションが大事。
もちろん飲みにケーションなんていうのもありますが、まずは会社でちゃんと話を聴いてください。
話すのではなく、聴くのです。
はじめは雑談レベルの事でいいと思います。
そこから彼らの価値観をしり、仕事への価値観も知ります。
そういう過程の中で、社員と仕事の話をフラットにできるようになってきます。
実はもっと初めの段階では、相手の顔を見て挨拶をするとか、相手と話をしているときは手を留めて、相手の方に身体を向けて話をするとか、そんなコミュニケーションの基本を見直してください。
バカバカしいと思われるかもしれませんがこれがしっかりできると、ちゃんとお互いの意思疎通が可能になります。
これまでは後継者が一方的に相手に考えを押し付けてきたのではないでしょうか?
そうすることで起こるのは、後継者へのフラストレーションをためるだけです。
コミュニケーションから信頼関係へ
次のステップは、社員を信頼するというフェーズです。
しっかりと、コミュニケーションが取れるようになると、あいてもこちらを無下にできなくなってきます。
その段階では、そこそこ後継者であるあなたの期待に応えたいという思いも持ち始めます。
その時に後継者は、社員を信頼しましょう。
具体的には社員に、仕事の改善アイデアを聴きます。
そして出的当たアイデアは、とにかく一度しっかり受け止め、検討し、採用するか否かを決めていきます。
できることなら、採用する前提で話を聴き、よほどの事でなければ「採用 ⇒ 結果を体験」できるような流れを作ります。
ハッキリ言うと、失敗する体験もふくめて社員に経験してもらうということ。
これはある意味、運命共同体であるということ。
つまり、何があっても一緒に居るというメッセージでもあるわけです。
それを無意識に受け取る社員はきっと、なんとか会社のために頑張ろうと思い始めると思います。
そこまで行けば、いろんな議論ができる状況になれると思います。
人の問題を解決するのは、コミュニケーションがかなりのウェイトを占めるのです。
私の著書です。