後継者

事業承継で後継者が大事にすべきはリーダーシップか?仕組みか?

色んな組織を見る機会があります。
たとえば、3年でリーダーがかわる団体があります。
面白いことに、、リーダーが変わると会の雰囲気は大きく変わります。
けど、仕組みがあると、そこそこリーダーがダメダメでも、かろうじて組織はもったりします。

そう考えると、事業承継というものを中心に考えるとき、実は「ぶれる可能性のあるリーダー」の育成よりも、持続できる仕組みこそが大事なのではないか、と最近思うのです。

これは答えのない問題ですので、皆さんも一緒に考えていただければ、と思います。


私の著書です。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。


伊勢神宮には式年遷宮という行事があります。
20年に1回新しい社殿を作り、御神体を遷すという行事。
これの意味の一つは、常若ということで、常に新しい状態を保つということ。
そしてある説によると、大工の技術継承のためとも言われています。

さて、リーダーシップという言葉があります。
事業承継のさなかの後継者にとって、結構大事な言葉だと思います。
しかし、これをスッキリ説明できる人はさほど多くないように思います。
そこで、ネットで一般的に言われてる言葉をここに引用します。

「指導力・統率力」などと表現され、ある一定の目標達成のために個人やチームに対して行動を促す力のこと。

さて、この話を式年遷宮の話に当てはめてみます。
・社殿を常に新しくしよう
・大工の技術を継承させよう
こういった「目標(というか目的)」達成のために人々を動かすのがリーダーシップ。

しかし、伊勢神宮の式年遷宮に人を動かすリーダーがいるのでしょうか。
確かに指揮統括をされる方はいらっしゃるのでしょうが、恐らくそれはタスクの一環としてされてることと思います。
人を先導してるという感じでもなさそうな気がします。

実はここには、「仕組み」があるのだと思います。
社殿を20年に一度新しくするというタスクがあって、そこまでに至るロードマップがある。
そのロードマップを正確な機械のようにこなしていけば、目的・目標が達せられるという計画や実行の仕組みがあります。

大工の技術の継承も、20年の間に様々なこなすべき仕事があり、その中で自然と伝承される仕組みが作られているようです。

どうも、暑苦しい情熱的なリーダーシップがそこにあるかというと、たぶんそうでもない。
仕組みがあれば、基本的な動きは可能なようです。

ここで、マネジメントの大家、ピーター・ドラッカー氏のリーダーシップについて見ていきたいと思います。

リーダーシップとは、個人の視点を次のレベルに引き上げ、他の人が自身の限界を打ち破り、より高い成果を達成する手助けをすることである。その結果、個人の潜在的かつ革新的な力が引き出され、大きな結果を出すことができる。

ざっくりいうと人の可能性を伸ばす人、という感じでしょうか。

さらに同じく、ドラッカー氏がいうリーダーに必要な能力がこちら。

第一が、人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。聞くことは、スキルではなく姿勢である。誰にもできる。そのために必要なことは、自らの口を閉ざすことだけである。

第二が、コミュニケーションの意欲、つまり自らの考えを理解してもらう意欲である。そのためには大変な忍耐を要する。

第三が、言い訳をしないことである。「自分が間違った」と言えなければならない。

第四が、仕事の重要性に比べて、自分などとるに足りないことを認識することである。リーダーたる者は自らを仕事の下におかなければならない。これまた当たり前のことである。

曰く、特別なことではなく、誰でもできること(だけどなかなかできない事)のようです。

 

さて、話を元に戻しましょう。

私たちは、なんとなくリーダーシップというものを神格化しがちで、そこにカリスマ性を求めがちです。
しかし、実は、カリスマがなくとも、伊勢神宮の式年遷宮は続いています。
それは仕組みによるもの。
そもそもその仕組み(つまり、目的を達成する方法を明確にし、定着させること)が大事なように思うのですがいかがでしょうか?

となると、私たち後継者にとって、リーダーシップというのは、組織を維持し、改善していく仕組みを作り上げることなのかもしれない、と思ったりもします。
随分と散らかった文章になっていますが、今回のお話から、何かしらのインスピレーションを得られる方がいらっしゃれば幸いです。

 

 

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