ある知人は組織のリーダーになって、「現場の人たちと泥まみれになって働く」ことをモットーにしていると言っていました。
実はこれ、美談に見えますが、実際のところどうかな?と思うところもあります。
現場の人ができることと、経営者ができることは違って当然です。
ふんぞり返るという意味ではありません。
役割が違うという事です。
そして私たち後継者の重要な役割の一つが、組織をまとめることです。
そのためには、まずは組織で何が起こっているかをしっかりと観察する必要があります。
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たとえば、何か災害が起きたとき、とにかく駆け出してボランティアに勤しむ。
そういう人って評価されるから、できるならそんなことしたいと思う人もいると思います。
けど、ボランティアで発揮できるのは、一人の人間としてのマンパワーです。
一方で、組織を動かすことができれば、たとえば食品会社なら、食品を輸送でいるかもしれない。
運送会社なら救援物資を運べるかもしれない。
そうでなくとも、会社のリソースをそういった援助活動に割くことができるかもしれません。
これができるのは、経営者だけです。
そこに準ずる後継者はそういった判断をし、組織を動かす(あるいは動かさない)ことをすることができる数少ない存在です。
これは決して有事だけの話ではなく、平時においても大きな組織やリソースを動かすことができる人間である、という自覚は必要です。
だから、時に従業員と泥まみれになって働くことも大事なのですが、いつどこでもそうすべきというわけではない。
しっかりとした役割分担をする必要があるのです。
その前提として、まずは従業員との人間関係、もっと言うなら信頼関係を結ぶことが大事です。
それをせずして、指示だけを出そうとするから組織がうまく回らないのです。
そのはじめの一歩がしっかり組織を見る、ということ。
誰と誰が仲がよくて、どうつながっていて、パワーバランスはどうなのか。
情報はどこからどこまで通じていて、どこで途絶えるのか。
人間関係は、人の身体に例えれば血液のようなものです。
滞っているところがあれば、しっかりそこをケアし、流れていない部分があれば流す努力をする。
そのためには全体をしっかり知る必要があります。
そして、一人一人の顔を見てください。
今朝、社員さんの顔、ちゃんと見ましたか?
実は従業員がついて来るかは、一緒に泥まみれになって仕事をするというよりも、ちゃんと従業員さんの事を見ていますか?という事が最も大事なことではないでしょうか。
ぜひ、組織と、その構成員である従業員さんを、しっかりと見てみてください。
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