親の会社を継ぐことになった後継者。
親族であれそうでなかった場合であれ、中小企業の事業承継には大体似たような問題が付きまといます。
後継者は、その責任の重さや会社の経営状況のみならず、色んなしがらみの中で「もう辞めたい」という思いを持つ方が多い。
周囲を見回しても、後継者が頑張ってる風に見えるので、自分だけ…とさらに孤独を感じがちですが、基本的にはみんな同じです。
外にはメンツがあるから、つらいという思いはおくびにも出さず、けど一人になると、もう逃げだしたいと思っている人、けっこういます。
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Contents
特別視される後継者
損した気分
後継者って、周囲からは「特別視」されている割には、「特別な権力」を持っているかというとそうでもない。
意外と制約が多い中で頑張っている場合がほとんどです。
そうすると、妙に「損している」気分になるわけです。
少し柔らかいたとえをしてみますと、例えば自分が周囲からモテモテに見られてたとしましょう。
周囲の人は自分がいろんな異性ととっかえひっかえ付き合っているかのようなイメージを持たれてる感じです。
しかし現実はというと、そんなに割り切れるわけもなく、そもそもそういうイメージが先行して異性が自分に警戒しがち。
自分は真面目な異性と付き合いたいのに、寄ってくるのは軽い人たちばかり。
ああ、自分は損してるなぁ、と思うけど、「モテてるイメージがツラい」なんて言うと周囲から総スカンを食らいます。
だから、本当の悩みは誰にも相談できないというつらさ。
「辞めたい」「逃げたい」という思い
後継者の持つ悩みというか、閉塞感ってこのモテモテにみられる人の悩みとそっくりですね。
後継者だからいろんなことが優遇されてるイメージがある。
けど自分は、割り切ってボンボンにはなりきれず、けっこう節制してるし人一倍頑張ってる。
だけどみんなは、自分が先代と血縁関係だから今の状況があると考えているけど、そんな事ないと否定しても誰も耳を傾けてくれない。
なかなかの孤独感です。
そんな中、努力が報われそうな気配が見えてくればいいのですが、先代とは人間関係がうまくいかず、自分のアイデアはなかなか採用されない。
そんな閉そく状態の中、「もう辞めたい」「逃げ出したい」という言葉が頭の中にこだまし始める人はけっこう多いようです。
出来事と距離を取る
人生について考える機会
前述のような気持になった時、その気持ちを「いやいや、そんな事ではダメだ!」といって鼓舞したところでそうそう気持ちは切り替えられません。
逆に、「よし、じゃあ辞めよう」というにはハードルが高すぎます。
こんな時、少し視点を現場レベルから話して、人生という視点から考えてみてはいかがでしょう。
これって一つの挫折体験だと思います。
そして、挫折というのは人生のターニングポイントにすることができます。
逆から見ると、今までのやり方、生き方ではうまくいかないときに挫折は起こりますから、何かを変えなければなりません。
その「何か」とは何なんでしょうか。
全てがそうではありませんが、たいていの場合は物の見方を変える必然性があろうかと思います。
じつは、このように後継者が精神的に追い詰められるとき、「自分の我を通そうとしている」ときであることが多いと思います。
それは社内ではもちろん、家庭でも同じことが起こっていたりします。
夫婦関係や親子関係も崩れて居たりはしないでしょうか?
もしそうだとしたら、その人間関係の中心にいる自分の問題を疑ったほうがよさそうです。
自分の意見のアイデアが否定されるのはアイデアの出し方に問題がある場合も
後継者が先代との確執をおこす際、多くの場合「意見の不一致」と言われることが多いです。
しかし、同じ意見でも出し方によって、相手の反応は変わるはずです。
たとえば、社内のペーパレス化を提案する場合のことを考えてみましょう。
先代に対して、「いつまでも古臭い、紙での情報のやり取りはやめましょう」といったら先代はきっとイラっと来るでしょう。
それを例えば、時代の要請もあるので徐々に髪をなくしていきたい、という話から始まる。
その時に先代が感じる不安は、紙がなくなることで自分の仕事が立ち行かなることです。
その不安に対して、当面は例えば社員にサポートさせるとか、ちょっとずつ教えるとか、そういった相手の恐れに対処すれば物事が受け入れられることは多々あります。
つまり、自分の振る舞いが変わると、組織も変わるのです。
そういった意味で、自分がどういう自分になるか?という事を考えるにはとても貴重な機会となります。
辞めたい、逃げたい、と思ったとき、ちょっとだけ自分をどう変えるために起こっている現実だろうか?と考えてみてほしいと思います。
そのあとに、辞める、逃げる、をしても遅くないと思いますよ。
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