後継者

家業を辞めたいという後継者の心の内にあるもの

一度は跡継ぎとして親の会社に入った後継者。
だんだんとしんどくなって、会社を辞めたくなる人も多いと思います。
しんどいというのは、肉体的ではなく、精神的に、です。

その精神的負担の原因はいくつも考えられます。
それは実は、ある一言で表現できるのではないかと思っています。
その一言について、考えてみましょう。

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親の会社に入ると、
・親の自分に対する理不尽な態度
・自分がやりたいことができない環境
・社員との壁
・周囲の視線
・相談先がない
など、様々な問題と対峙することになります。

常にストレスフルで、心身の健康が損なわれ、
ボロボロになる方もいます。

 

その理由は、数え上げればきりがありません。
しかしそれらはある一つの問題に集約されると言っても過言ではありません。
その問題をひとことで言えば、
後継者であるあなたがの存在意義が見えない、
と感じられる状況です。

 

親はあなたの意見を全否定するかもしれないし、
そもそもいつまでたっても引退しないのを「後継者が育っていない」ことを理由にあげたりする。
何か積極的にやろうとすれば、横やりが入るのも後継者であるあなたの意見を尊重していないように見える。
社員はあなたでなく、親を見るというのも、あなたを重視してない証のように感じるし、
周囲はあなたが未熟で、親が正しいと諭す。
そして、そんな思いを吐露する場は身近にはなく、自己肯定感を感じる機会はほとんどない。

自分の居場所はここにはない。
そう考えるから、会社を去ろうと思う。
そんな状況とは言えないでしょうか?

 

自分は会社のために、親のために、とおもって会社に入ったのに、誰も自分を必要としていないように感じられる。
そりゃあ、辞めたくもなりますね。

 

しかし、問題が一つであれば、対処方法は意外とシンプルなのかもしれません。
居場所を確保し、周囲が自分を尊重する状況を作ればいいのです。
周囲が自分を尊重する流れを作るには、周囲に自分の存在を示す必要があります。

ふつうだと、「そのために一番にならないと」とか、「完ぺきな人間にならなければ」なんて思ってため息をつくことでしょう。
しかし、そんな古臭いほこりをかぶったリーダーシップ論をいつまで信じるのでしょうか?
リーダーが完ぺきであるべき、というのは昭和のリーダーシップ論です。

たとえば、アメリカ最強の特殊部隊、ネイビーシールズの伝説のリーダーは、取り立てて強い男でもなかったと言います。
彼が気を付けていたのは、自分は完ぺきではないことを受け入れることなのだそうです。
彼は、メンバーに常にこう問いかけていたといいます。
「自分の考えにある穴を見つけてくれ」
間違いが必ずあるから、それを指摘し、よいアイデアを提案してほしい。
常にメンバーにそう求めていたことで、彼は引退後も尊敬されるリーダーとなりました。

 

色々と学び、実践していく中で、感じたリーダーが組織の中で受け入れらえ、認められ、組織の力を発揮する方法は意外とシンプルです。

・メンバーをまずはリーダーが受け入れ、
・リーダーが自分の弱さを受け入れ、さらけ出し、
・メンバーが考える機会を常に提供する

ということ。

 

家業を辞めたい、という後継者に共通しているのは、「相手を変えようとしている」ということ。
自分は正しいからここを動かない。
お前たちが動くべきなんだ、と。

それを変えてみて、相手のあるがままを受け入れると、
相手はあなたを受け入れ始めます。
すべての矢印が逆方向に動き始めるから面白いものです。

 

どうせ「もう親の会社なんて辞めてやる!」と思うのであれば、恥のかき捨て。
捨て身で社員一人一人を受け入れてみてください。
うまくすると、自分の居場所ができ、自分が尊重され始めることを実感するのではないかと思います。
社員に一斉に退職届を出され、周囲から「アイツの会社はダメかも」とささやかれた時、私がやったことはたったそれだけのことなのです。

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