後継者

事業承継の難しさ ~変化への恐怖は権威失墜の恐怖

学生の頃を思い出してみると、慣れ親しんだクラスから、学年が変わりクラス替えがあると良くも悪くもドキドキするものです。
学生におけるクラス替えは、それを拒否できるものではないから受け入れますが、自分に選択肢がある場合、私たちは新しいクラスを望むでしょうか?それとも居心地の良いクラスを選ぶでしょうか?
親子の事業承継の中で起こる問題は、ここで説明したようなシンプルな問題が発端となることがけっこうあります。
大抵、人は変化を恐れます。
それは変化その物を恐れるのみならず、変化による地震の権威失墜の恐怖がそこにはあります。

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会社の中に変化が起こると、今まで培ったものが使えなくなる可能性があります。
たとえば、金属研磨の職人さんはこれまでの経験値で絶対的な権威を社内で発揮していたと言えるでしょう。
それが、コンピューター制御の研磨機械を導入すると、彼の技術評価は微妙になってきます。
もちろん、機械で実現できないほどの精度を持った職人さんの技術があるのは私も知っていますが、汎用品だとそこまでの精度は求められない。
そこで社内の仕事が機械に置き換えられていくと、研磨一筋の職人さんはその存在意義が薄れてしまいます。

この時の職人さんは、とうぜん機械の導入に反対されるでしょう。
コンピューター制御とかいったって、人の技術にはかなわないとか、徹底的に抵抗すると思います。
なぜか。
自分がここにいる理由が薄れてしまうからです。
いまさら違う仕事なんて覚えられない、と思っていますから、もはや彼は働く場所を失う恐怖と戦っているのです。

親子の経営では、こういったことが「会社の経営」というレベルで起こります。
会社の改革が行われ、近代化される。
就業規則や給与体系が整備される。
社内のIT化や合理化がすすめられる。
そういった手を一つ、また一つとうつごとに先代の居場所が薄くなっていく。
後継者としては、そのための施策なわけです。
別に先代を追い出そうというつもりはないとしても、経営者の役割負担を減らしたうえで代表になりたいから、次第に経営者がダイレクトに圧をかけられる要素を減らしていきがちです。
そこにやはり抵抗が起きます。
それがエスカレートしたのが、親子経営の社内に起きる親子の確執です。

人はそういった恐怖や不安を持った時、どうしても臨戦態勢に入りがちです。
そうなると、もはや話し合いはあまり有効にならないのです。
たとえば、研磨職人が研磨機械導入に際して、「これからの会社のためにこれが必要だ」と説得したって響かないのと同様、会社のために経営革新が必要と説いても先代には響きません。
もはや問題の次元はまったく違ったところにあるのですから。

そこで出てくるのが二つの選択肢。
反対派の先代を追い出すあるいは自分が会社を去るか、
先代の居場所を社内に作るか、です。
この選択は後継者それぞれにゆだねられているものだと思いますが、前者は手っ取り早くできるかもしれませんが、後にいろんな遺恨を残しがちです。
自分のメンタルも傷つけてしまうので、あまりお勧めはしたくない方法です。
後者は「ぬるい」と思われる方も多いかもしれませんが、比較的多くの人をハッピーにできる方法かな、と思います。
そこに至るには、後継者自身の人間的成長が必要になる、というところが一つのボトルネックかと思います。

どんな答えを出すにせよ、後悔の内容にしたいですね。

 

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