後継者

後継者は問題があって会社を辞めたくなるのではなく、会社を辞める前提で理由を創り出す

親の会社を継ぐ後継者が陥りやすい状態。
それは、「会社を辞めたい」という状態です。
その理由を尋ねると、
・仕事が自分には合っていない
・会社の居心地が悪い
・自分の居場所がない
・自信がない
などといろんな理由が出てきます。
しかし、ある考え方によると、こういった理由があって辞めたくなるのではなく、「辞めたい」という思いがはじめにあって、そういった理由を創り出していると言われています。

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親の会社を継ぐ後継者が会社を辞めたくなる時

後継者・跡継ぎが会社を辞めたくなる理由

実は筆者である私も、「もう会社を辞めたい」と思ったことが何度もあります。
そのたびに、「自分は後継者として会社に入ったのに」とか、「自分の役割をしっかりと果たせなかった」とか自分を責めていたことを思い出します。
現状に苦しんでいる自分に、自分で追い打ちをかけている状態と言えます。

その時に私が感じていたことは、「親の会社にこれ以上いても、自分の能力を活かすことができない」という事です。
一つは、職種が自分にあっていないと思っていました。さらに、自分には制約がたくさんあって、自分がやろうと思うことを十分できないと思っていました。さらには、親や従業員との不和からこの会社の中に自分の居場所はないと感じていました。私のなかでは、そういった理由が積かあなって「もうこの会社の自分がいる理由はない。辞めたい」という結論を導き出したかのように記憶しています。

後継者・跡継ぎの「目的論」と「原因論」

さて、そういった一般的ともいえる状況とは少し違う見方をすべきだという主張があります。それは、世界三大心理学者の一人であるアドラーの考え方です。アドラー心理学においては、原因があるから一定の行動があるという原因論の考え方を取らず、目的があるからその目的に応じた原因を思いつくのだと言います。人の行動は目的ファーストなのだと言います。
たとえば、ストレスを感じるたびにお腹の調子が悪くなる人がいたとします。その人は、ストレスがあるからお腹の調子が悪くなるというより、ストレスから逃げる言い訳としておなかの調子を悪くしているのだ、という考え方です。こういうと、「すぐにお腹の調子が悪くなるのは大変なのに、ひどい良いようだ!」とおっしゃる方もいるかもしれません。ただ、私が見ている範囲ではなるほど、その人が本気でお腹の調子を改善しようという行動には出ていないように思います。私の知人でも、医者に診てもらえと言えば「どうせ胃腸薬を出されるだけ」と言いますし、ヨガや瞑想、呼吸法を実践するかと言えばそれもしない。本当にそれを治そうとする行動を意外とやってない方が多いのです。ただ、本人は「本気で治そうとしている」と思い込んでいることが多く、本人視点ではやれることはすべてやっているけど上手く治らないという認識がなされていることが多いようです。

これを後継者・跡継ぎのケースに代入してみましょう。たとえば、会社で自分の能力を活かすことができないと思っているなら、果たしてどの程度自分の能力を活かす努力をしたでしょうか。言われたことに対して一生懸命やっているのでしょうが、その外側の努力をしている人は意外と少ないように思います。後継者・跡継ぎとして悩みは尽きないはずですが、その悩みを解消する方法についてネット検索さえもしていない人が多いのではないでしょうか?本やセミナーに行ってみたりもしていない人も非常に多い。今までのやり方がダメなら違う方法を試すべきなのに、それができていないという事は、「会社を辞めたい」と思い悩む自分を創り出すことが目的と考えられる可能性があります。辞めたいと悩むことを先に決めていて、その理由を後付けでいろいろ作っているというのが現実だ、というとにわかには受け入れにくいでしょうか。

後継者・跡継ぎは何の目的で行動しているのか?

会社を辞めたい後継者・跡継ぎという位置づけで得る物

目的論をベースに考えてみると、会社を辞めたいという言葉は、いったい何を達成したい状態なのでしょうか。
一つには、「会社を辞めたい(のに今も会社で頑張っている)」という自分を演出しているという事が考えられるかもしれません。
自分としては受け入れがたい現実の中で必死に頑張っているという立場に立つことで、たとえば親や周囲に対して自分の頑張りを認めてもらいたいと考えているのではないでしょうか。
そもそも後継者が親の会社を継ぐというのは、親の期待に報いたいという承認欲求がベースにあることが少なからずあります。
そういった前提で、はじめのうちはまっとうに頑張るのですが、どんなに頑張っても親には認められないという現状とのギャップに苦しみ、結局、別の方法で訴えなければならなくなります。
その結果、「辞めたいと言いつつ頑張っている」という悲劇の主人公的なストーリーを作り出してしまうのではないでしょうか。

他には、上手くいかなかったときの「保険」という意味合いもあるかもしれません。
辞めたいと言いながらも頑張ってきたんだから、上手くいかなかったとしても自分のせいじゃない、と思いたいという思いはあろうかと思います。

もちろんすべての後継者が同じパターンをは言いませんが、かなりの人がこれらのパターンに当てはまるのではないでしょうか。

後継者・跡継ぎがどんな目的を持つべきか?

アドラー心理学において、人が生きる目的は幸せであるという事。
そして幸せとは、貢献感だといいます。
貢献感と言っても、純粋に誰かの役に立ったことで得られる心のぬくもりという事で、誰かに奉仕して称賛されることではありません。
称賛や認められることを求めている以上は、他人の価値観で生きているので満たされることは難しい。
そうではなくて、自分がやっていることが、誰かに貢献できたという純粋である、という喜びこそが幸せなのだと言います。
それは決してボランティア活動をするという事ではなくて、たとえば仕事を通じて感じるものというのが現実的だと思います。
そしてその貢献感を感じるには、周りにいる人はみな「味方」と感じることが大事なようです。周りが「敵」ばかりだと奪い合いの人生になります。
こういった物ごとのとらえ方の転換が大事だと思います。

私たちは例えば親であったり、ライバルであったり、社員であったり、お客様であったりを時として敵視してしまいがちです。
だから心を開かないし、警戒するし、壁を作りがちになります。
特に後継者・跡継ぎの立場の人は、親子関係の歴史などから人との壁を作りがちなことが多いので、その壁を崩していく作業が必要になることもあるでしょう。
皆を愛し、皆のために頑張ってみる。
そういったことを目的にしてみると、今までしんどかった会社での生活が一気に見え方が変わることもあるのではないでしょうか。
世界は思った以上にあなたにやさしい。
これは私のメンターから授かった言葉です。
これを皆様にもお届けしたいと思います。

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